「ふぅ、疲れた」
あの後、シャドウに全て任せ、時計塔の頂上に来ていた。
「来たな。分身」
シュヴァルツが降り立つ。
「ああ、ちゃんと主人公ムーブやって来た。今頃、シャドウの剣に彼女は魅せられてるだろうね」
「そっか。そりゃいい。じゃ、戻るよ」
デュールの体が粒子になり、本体へと戻る。
(『グリード』の初運用だったけど、大成功。もっと力を出せるように、改善は必要だけど)
帰ろうとしたら、異常な魔力を感じた。
「っ、これは!」
次の瞬間、美しい紫の光が迸った。例の下水道で。
「っ〜〜〜〜〜!!!!」
(シャドウの馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)
急ぎ、そこへ向かった。
◆〜sideアレクシア〜
「何なの……今の」
圧倒的な技に、アレクシアは放心していた。
下水道だったはずのここは、その跡すら無くなっていた。核(シャドウ)による影響だ。
「アレクシア!」
瞬間、懐かしい声が聞こえ、抱きしめられていた。
「無事で良かった」
姉、アイリスだ。
「ご、ごめんなさい。冷たいでしょう」
急いでアレクシアから離れる。
しかし彼女は首を横に振った。
「いいえ」
抱きしめる。
「ありがとう。アイリス姉様」
◆〜sideシュヴァルツ〜
(やべ〜、超行きにくい)
岩陰で、尊き姉妹の仲直りを見ていた。
(けど、行くしかないよな)
近づく。
「っ、シュヴァルツ」
「シュヴァルツ?」
アイリスはいち早く気づき、剣を構える。
「姉妹水入らずのところすまない。
お初にお目にかかる。アレクシア・ミドガル。俺は『シャドウガーデン』番外位シュヴァルツだ」
「『シャドウガーデン』……貴方もシャドウの仲間なの?」
「ああ。俺は、彼の相棒だ」
ドライバーを巻く。
「っ!」
それ見て、アイリスはさらに警戒する。
「そう構えるなアイリス・ミドガル。此の度は、相棒がここまでの被害を出したことを謝罪する」
頭を下げる。
「この責任、俺が受け持つ」
「受け持つ?このほどの規模をどうやって」
『TIMELORD』
『ドレイン』
何か言われるより前に、発動する。
瞬間、全てが元に戻った。
下水道も、彼女らが負った傷も何もかも。
「さぁ、夜(よ)が明けるぞ」
太陽が、『漆黒』を照らした。
◆〜sideデュール〜
襲撃・救出作戦から1ヶ月後。アレクシアに呼び出させていた。
「裏がありそうな事件だったけど、表面上は解決ということになったわ」
「だな。冤罪も晴れたし、ゼノンも消えた。ようやく普通に過ごせる。
それで、話はこれだけじゃないんでしょ?」
「ええ、話しておきたいことがあって……前に、私の剣が好きって言ってくれたでしょ。遅くなったけど……ありがとう」
髪をいじり、俯きながら言った。
「礼を言われるほどじゃない」
「ようやく自分の剣が好きになれたの。貴方のおかげでもあるわ」
「良かった。やっぱ人間、自分のことが好きでないとね」
「それで、これまで私たち付き合ってるフリして来たでしょ。でも、今回の事件でゼノンが死んでくれたわけだから……」
手をもじもじさせる。
「もし、貴方さえ良ければーーーーもう少しだけ、この関係を続けて見ないかなって」
頬を赤らめ、告白した。
(…………わぁお、そう来たか)
王女と言う立場上、彼女を狙う者は数知れず。確かに付き合い続ければ、諦める者を出てくるはずだ。
(まっ、答えは決まってるけど)
「うん。俺も、君と一緒にいたい。シャドウに憧れる同士として、よろしく」
面食らった顔になった。けどすぐに戻り、言う。
「ーーーーそう。同士、ね(小声)。これからもよろしく」
「うん」
こうして事件は幕を閉じた。
アレクシア誘拐編終了。ちなみにですが、学園襲撃編まで毎日投稿します。