あれから2年後、10歳になった。
この間に色々あったが、大まかには三つ。
一つ目、初変身時は負荷がすごく、長く変身出来なかった。これは、毎日変身することによる慣れで克服。
二つ目、『レプリケミートレカ』の複製。このドレッドも原作同様に、カードが使い捨てだった。しかしあの部屋の隅に、取扱説明書?のような物を発見。ドレッドの性能やカードの錬成の仕方が載ってあり、解決。
三つ目、『ディアボロス教団』のこと。『教典』擬きやその他の本を調べた結果、この組織は実在していた。魔人ディアボロスの私物化と復活が目的らしい。
「変身」
『ドレッド 零式』
そして現在、夜の盗賊狩りを行なっている。
教団のものであろうドライバーを持ち出し、あまつさえ使っているのだ。見つかれば、取られてしまう。
Q.では取られないためにどうするか?→A.奪えないほど強くなればいい。
と言う考えの元、実践を積んでいるのだ。
「な、なんだこのガキ!姿が変わりやがった」
「見掛け倒しだ!とっととやっちまうぞ!」
(これで何回目だったか?化け物見るようなリアクションされるのは。ダークライダーなのに)
仮面ライダーは、この世界にいない。
ではなぜドレッドがあるのか?それは『教典』擬きや説明書には載ってなかった。
「我が字(あざな)は仮面ライダードレッド。
貴様らを、屠る者だ……!」
「調子乗ってんじゃねえ!」
一人が剣で突撃する。
(踏み込みが甘いな)
トレカをスラッシュし、『コンススティラー』に装填する。
『APPAREBUSHIDO』
『ドレイン』
日本刀ーーーー『ブラッディーAB』が錬成される。
「ふっ」
「ぐばあ!」
適当に剣を捌き、背中を斬る。
(こっちは人の心を失くさないから、本当にいいもんだ)
原作とは違い、ここでのレプリケミーはかすかな意思すらない。
つまり、『生物』ではなく、本当に『道具』なのだ。
「くっ、弓だ!射れ!」
矢が来るが、ドレッドの装甲ーーーー『ライダゴレム』の前には無力。
(痛くはないが面倒だな。こいつで行くか)
別のトレカをスラッシュする。
『BULLETBAANG』
『ドレイン』
二丁拳銃ーーーー『ブラッディーBB』が錬成される。
「ダブルショット!」
「ごぼっ!」
「がっ!」
素早く引き金を引き、弓使い共を撃ち抜く。
「クソがああああ!!死ねええええ!!」
残りが特攻してくる。
(ヤケになったか。どのみちこれで終わりだけどな)
『ネクベトヴォーグ』を操作し、必殺技を発動。
『ドレッドブレイキング』
「終わりだ……!」
溶岩の如きエネルギーが、足を纏う。
「はあああ!……おらぁ!」
回し蹴りで、残りを屠る。
「ーーーーふぅ、盗賊じゃ相手にならなくなったな」
これは訓練兼治安維持。
ドレッドの力も使えるし、我が領の平和も守れる。
(正直、一推しなドレッドにもなれたから、鍛える以外にも目的が欲しいな)
長年の夢を満たせた俺は正直、若干モチベが落ちていた。
「さて、金目な物だけ回収して、とっとと家に戻るか」
しかしここで、一つの気配に気づく。
「っ!誰だ?」
「あちゃー、バレちゃったか」
茂みから出てくる。
(俺と同年代か?麻袋で分かんないけど)
「君は?」
盗賊よりも強く、悪意のない気配。
(敵意は無い、のか?)
「もぉー、そんな警戒しないでよ」
麻袋を取った。
「僕はシド・カゲノー。そして、スタイリッシュ盗賊スレイヤー。君と同業者さ」
「す、スタイリッシュ?まあいい、俺も名乗ろう」
変身を解く。
「俺はデュール・ホロブアーク。
通りすがりの盗賊狩りだ」
「へぇー、なるほどね」
シドは近づき、マジマジと俺を見つめる。
「なんだよ。変なとこであったか?」
「ねえ君、転生者でしょ?」
「は?」
(今なんて?転生者?まさか……)
「僕も転生者だよ。前世は影野実って名前。君は?」
「……ああ、俺も転生者だ。前の名前は言えない」
「そっかあ、まあいいや。
ーーーー君に一つ提案なんだけど……」
手を差し伸べてくる。
「僕の、相棒にならない?」
純粋な瞳で問いかけてくる。
「相棒?」
「そう、僕はなりたいんだ。陰の実力者に」
「陰の実力者?」
「主人公やラスボスでもなく、ストーリーに陰ながら介入し、実力を見せつける存在のことだよ」
これを聞き、俺は思った。
「何それ。超かっこいい!」
今世で一番、目を輝かせた。
生きた年齢は大人でも、心は子供である。
「やっぱり君もそう思う!いやあ、声かけて良かったよ」
彼も声が高揚し、興奮しているようだ。
(そうだ。ダークライダーの裏で、こういうのにも憧れていたんだ)
であれば、何も悩むものはない。潜んでいた心のピースがキチリと嵌ったのだ。
(ドレッドと陰の実力者になり、教団と戦う。
これが今世の俺の生き様だ!)
「返答しようシド。俺はお前の、陰の実力者の相棒となる」
「フッ、よろしく頼むぞ。我が相棒よ」
この夜、最恐(デュール)と最狂(シド)が手を組んだ。
これが俺たちの始まりの夜(ビギンズナイト)。
最高のパートナー〜出会う時〜