あれから5日後。大会は優勝し、ブシン祭本戦への出場権を獲得した。この頃には、副学園長のことも忘れかけていた。
「ふあぁ〜、眠い」
学園の屋上にて。一人でのんびりしていた。
(ドラゴナロスとガイアードの錬成のためとはいえ、3徹はやりすぎたな)
3日前、探していたレア素材をガンマ達から受け取り、悪戦苦闘の末ようやく錬成できたのだ。
(今は昼休みだし、寝るか)
睡魔の導くまま、意識を落とした。
◇
「はっ!」
違和感を感じ、目覚める。
空を見ると、赤く濁っていた。
(なんだ?この感じ。………っ!魔力が練れない!?)
まるで何者かに吸われているようだ。だがしかし……。
(うし、完了)
吸収が止まった。
魔力が吸われるなら、吸えないほど強固に練ればいい。この程度、赤子の手をひねるのと同じだ。
「さて、どうしたもんか?」
瞬間、鉄の響き合う音がした。
「ん?」
魔力で耳と目を強化する。
「っ、先輩達!……と誰?」
とある棟の一室に3人。
ボロボロなマルコ先輩。倒れてるグレンさん。赤いバンダナをした悪そうな二刀流のやつ。
◆〜sideマルコ〜
「ぐあっ!」
「あ〜あ、魔力封じりゃこんなもんか」
突然だった。数人の黒外套とレックスと言う男が来たのは。
何とかシェリーさんは逃し、黒外套共も片付けた。しかし、グレン副団長がやつにやられ、俺も限界が来ていた。
「さぁて、トドメだ」
男が迫ってくる。ここで終わりなのかと、目を瞑った。
「させっか!」
雄々しい声に、目を開ける。その瞬間、何かがやつを本棚へ蹴り飛ばした。
「大丈夫ですか!?マルコ先輩」
彼ーーーーデュールだった。
◆〜sideデュール〜
(ぶね〜!間に合った!)
それなりの距離はあれど、俺からしてみれば一瞬だった。
「今治します」
白の魔力で、二人を治療する。
「ありがとう。デュール」
「ええ。間に合って良かったです」
「うっ、うう。私は」
「副団長、目覚めましたか?」
「っ、デュール君。何故ここに?」
「副団長、彼が俺たちを助けてくれたんです」
「そうか。ありがとう。デュール君」
「いえいえ。ところで、シェリー先輩は?」
「時間を稼いで我々で逃した。どこへ行ったかは、分からない」
「そうですか。じゃあ手分けして」
キィン!
剣撃を防ぎ、後退する。
「行かせるわけねぇだろ!」
バンダナ野郎だった。
「ーーーー先輩方、彼女を捜してください。こいつは、俺がやります」
「ああん?」
やつが青筋を立てる。
「無茶だデュール君。いくら君が強いとはいえ、魔力を封じられた状態では」
「そうだぜ。その2人みてぇに斬られてぇのか?」
「二人の任務は先輩の護衛のはずです。俺が相手するのが相場ってやつです」
「だけど」
「シェリー先輩が最優先です。頼みます」
言い聞かせるように、強く睨む。
「分かった」
「副団長!?」
「ただし、必ず生き残れ」
「はい。当然です」
ニヤリと笑ってみせた。
「行くぞマルコ」
「……任せた!」
二人が去っていく。
「話は終わったか?」
「ああ。そっちこそ、死ぬ覚悟は?」
「っ、舐めんな!」
2つの刃が迫る。
「ほっ!」
即座に受け流し、距離を取る。
「少しゃあやるみてぇだな。あの2人よりは骨がある」
「そりゃどうも」
「だがお前は死ぬ。この俺様、『シャドウガーデン』、『叛逆遊戯』のレックスの手でなぁ」
(ーーーーーーーーーーーーあ"?)
魔力が籠る。
「っ!?何で魔力使えて」
「おい」
自分でさえ驚くほど低い声が出た。
「今なんつった?」
「ああ?」
「二度は言わん。今なんと言った?」
「しゃ、『シャドウガーデン』のレックスだ」
「そうか。聞き間違いではなかったか」
冷たい銀眼で射抜き、スライムスーツを展開する。
「我が名はシュヴァルツ。『シャドウガーデン』番外位にして、副盟主」
レックスが一瞬呆ける。しかし、先ほどの獰猛な笑みに戻る。
「ここで本物の、しかも副盟主に会えるとはな」
舌舐めずりする。
「てめぇの首とりゃ、俺の昇進は間違いねぇ」
「黙れ虫ケラ。貴様ら如きが、家族の名を穢すな……!」
迫る剣をスライムソードで応対し、柄で吹き飛ばす。
「ごはっ!」
『ドレッドライバー』
「貴様は知れ。身の程をな」
『STEAMLINER』
『UNICON』
「変身」
『ドレッド 壱式』
UCを錬成し、黄色い眼でゴミを見据える。
◆〜sideレックス〜
「それが報告にあったドレッドってやつか。
だがよぉ、こっちにも秘策ってもんがあんだよ」
剣の末端を合わせる。赤黒い複雑な線で自身を覆い隠す。
「ほぉ、面白いトリックだな」
「何をしたか分かるか?網だ。てめぇがどんな攻撃しようが、網にかかった瞬間、気づき、躱せる」
「ならば……」
『SKEBOWS』
『ドレイン』
超加速で、ドレッドが視界から消える。
(超加速か?だがどんだけ早かろうが、網にかかれガッ!)
腹に痛みを感じ、見る。
「っ!?」
自身を腹をレイピアが貫いていた。
(ば、馬鹿な!ありえねぇ!まさか、網を掻い潜ったのか!?)
「この網、魔力を感知して初めて使えるものだな?」
「はっ!?なぜそれを」
「簡単だ。俺の体と剣から魔力を消し、破壊エネルギーのみを凝縮したからな」
(何、だよ、それ……)
引き抜かれる。
あまりの強さ、底知れなさに、恐怖する。
「何なんだ、何なんだてめぇは!」
その問いを『漆黒』は鼻で笑う。
「フッ、言ったはずだ」
レイピアが首に当てられる。
「我が名はシュヴァルツ。陰に潜み、陰を狩る者」
原作ではレックスの網って、別に魔力なしでも感知できるのでしょうけど、今回は無いと感知できないようにしました。