暗黒の破壊者になりたくて!   作:淫神リリム

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閑話3 シェリーの選択、陰は加速する

◆〜sideアルファ〜

数日後。アレクサンドリアの執務室にて。

アルファ、ガンマ、その他多数の構成員がいた。

 

「よく出来ているわね」

 

アルファがシャドウとシュヴァルツの手配書を見る。

 

「王国の怨敵シャドウとシュヴァルツ。殺人、監禁、放火、強盗……なんて悪い人なのかしら」

 

「主様方は仰いました。世界中の罪を全て引き受ける、だが何も変わらないと」

 

「ーーーーそれでも」

 

「「「「「「「「「「我らは我らのなすべきことを成す」」」」」」」」」」

 

静かな執務室に響き渡る。

 

「フフッ、いい言葉ね」

 

「はい」

 

「私は正義の立場にあると思っていた」

 

手配書が青い炎で燃え崩れる。

 

「だけど彼らはそうじゃ無かった。彼らの覚悟に我々も応えなくてはならない。

手の空いている『七陰』を集めなさい」

 

蒼い瞳が、彼らの覚悟を一途に見ていた。

 

 

〜sideデュール〜

事件から数日後。焼き果てた学園をシドと共に歩く。

 

「このまま休校で夏休みかぁ」

 

「シド的には嬉しい?」

 

「まぁね」

 

「そう」

 

今回の事件を受け、夏休みが前倒しになったのだ。

 

(……シェリー先輩、大丈夫かな?あれから一度も会ってないけど……)

 

事件解決後、先輩は寮に篭りっぱなしだと言う。

そこまで親密じゃない俺が慰めるのも違うため、寮には行っていない。

 

(メンタル、壊れてないといいけど)

 

なんて歩いていると……。

 

「……」

 

(っ……シェリー先輩)

 

大量の荷物を抱えた先輩が現れた。

まるで覚悟を決めたような顔している。

 

「あの……先日はありがとうございました」

 

「いや、大したことはしてないよ」

 

「そうですよ。別にーーーーその、色々と大丈夫ですか?」

 

声を振り絞り、聞く。

 

「ーーーーまだ、少し。頭で分かってても、心が」

 

(だよな。愛情を注いでくれたと思った義父が、母を殺した犯人だなんて、簡単に受け入れられるはずがない)

 

「今日は報告があって、私留学することに決めたんです。ラワガスまで」

 

(ラワガスって、あのラワガス!?)

 

学術都市ラワガス、世界屈指の研究者たちが集まると言われてる場所だ。

 

「学術都市か……。すごいね」

 

「前に進もうと思ったんです。いつまでも、泣いてちゃダメだって」

 

彼女の瞳に見る。確固たる決意と少々の惜別が見て取れた。

 

「そっか。頑張ってね」

 

「応援してます」

 

馬車が来る。

 

「はい。シド君とはもっとお話ししたかったんですけど」

 

「うん。またいつかね」

 

「はい。またいつか」

 

俺たちに頭を下げ、馬車に乗った。

それに手を振り、見送った。

やがて、馬車が見えなくなった。

 

「先輩、強いね」

 

「うん」

 

「あんな真実を知ったのに、数日で前に進もうとしてる。俺じゃ、どれだけかかることやら」

 

「デュールならすぐに立ち直りそうだけど?」

 

その問いに、少し困ったように笑う。

 

「シドや先輩ほど、俺は強くないよ」

 

 

先輩が留学して数日。

寮はかなり静かになった。この長期休暇を機に故郷に帰ったり、旅行に行ったりで大半の生徒はいなくなった。

 

「よっしゃ!テレヴィも錬成完了!」

 

そして俺は、今日も今日とて、カードの錬成に時間を費やしていた。

 

「ふぅ、ちょっと外の空気吸うか」

 

窓から出て、手すりに体重をかける。

 

(シドが残るから俺も残ったものの、ブシン祭までやることがないんだよな)

 

ぼけっ〜と考えていると……。

 

「おん?」

 

手紙を咥えた鳩ーーーー伝書鳩が来た。

俺の手に留まり、手紙を渡す。

 

「俺宛て?」

 

そのまま去って行った。

 

「どれどれ中身は…………ほお」

 

『暇なら聖地に来て』と書かれていた。

 

(この筆跡と簡潔な文、アルファか)

 

聖地ーーーーそれは古代の記憶が眠る場所。

 

聖地ーーーーそれは魔人の怨みが積もりし場所。

 

聖地ーーーーそしてそれは大罪の領域。

 

「陰は加速する、か」




※最後辺りはただ言いたかっただけです。
書き溜めが無くなったので、聖域編が出来たら、また投稿します。それでは、アデュー。
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