◆〜sideアルファ〜
数日後。アレクサンドリアの執務室にて。
アルファ、ガンマ、その他多数の構成員がいた。
「よく出来ているわね」
アルファがシャドウとシュヴァルツの手配書を見る。
「王国の怨敵シャドウとシュヴァルツ。殺人、監禁、放火、強盗……なんて悪い人なのかしら」
「主様方は仰いました。世界中の罪を全て引き受ける、だが何も変わらないと」
「ーーーーそれでも」
「「「「「「「「「「我らは我らのなすべきことを成す」」」」」」」」」」
静かな執務室に響き渡る。
「フフッ、いい言葉ね」
「はい」
「私は正義の立場にあると思っていた」
手配書が青い炎で燃え崩れる。
「だけど彼らはそうじゃ無かった。彼らの覚悟に我々も応えなくてはならない。
手の空いている『七陰』を集めなさい」
蒼い瞳が、彼らの覚悟を一途に見ていた。
〜sideデュール〜
事件から数日後。焼き果てた学園をシドと共に歩く。
「このまま休校で夏休みかぁ」
「シド的には嬉しい?」
「まぁね」
「そう」
今回の事件を受け、夏休みが前倒しになったのだ。
(……シェリー先輩、大丈夫かな?あれから一度も会ってないけど……)
事件解決後、先輩は寮に篭りっぱなしだと言う。
そこまで親密じゃない俺が慰めるのも違うため、寮には行っていない。
(メンタル、壊れてないといいけど)
なんて歩いていると……。
「……」
(っ……シェリー先輩)
大量の荷物を抱えた先輩が現れた。
まるで覚悟を決めたような顔している。
「あの……先日はありがとうございました」
「いや、大したことはしてないよ」
「そうですよ。別にーーーーその、色々と大丈夫ですか?」
声を振り絞り、聞く。
「ーーーーまだ、少し。頭で分かってても、心が」
(だよな。愛情を注いでくれたと思った義父が、母を殺した犯人だなんて、簡単に受け入れられるはずがない)
「今日は報告があって、私留学することに決めたんです。ラワガスまで」
(ラワガスって、あのラワガス!?)
学術都市ラワガス、世界屈指の研究者たちが集まると言われてる場所だ。
「学術都市か……。すごいね」
「前に進もうと思ったんです。いつまでも、泣いてちゃダメだって」
彼女の瞳に見る。確固たる決意と少々の惜別が見て取れた。
「そっか。頑張ってね」
「応援してます」
馬車が来る。
「はい。シド君とはもっとお話ししたかったんですけど」
「うん。またいつかね」
「はい。またいつか」
俺たちに頭を下げ、馬車に乗った。
それに手を振り、見送った。
やがて、馬車が見えなくなった。
「先輩、強いね」
「うん」
「あんな真実を知ったのに、数日で前に進もうとしてる。俺じゃ、どれだけかかることやら」
「デュールならすぐに立ち直りそうだけど?」
その問いに、少し困ったように笑う。
「シドや先輩ほど、俺は強くないよ」
◇
先輩が留学して数日。
寮はかなり静かになった。この長期休暇を機に故郷に帰ったり、旅行に行ったりで大半の生徒はいなくなった。
「よっしゃ!テレヴィも錬成完了!」
そして俺は、今日も今日とて、カードの錬成に時間を費やしていた。
「ふぅ、ちょっと外の空気吸うか」
窓から出て、手すりに体重をかける。
(シドが残るから俺も残ったものの、ブシン祭までやることがないんだよな)
ぼけっ〜と考えていると……。
「おん?」
手紙を咥えた鳩ーーーー伝書鳩が来た。
俺の手に留まり、手紙を渡す。
「俺宛て?」
そのまま去って行った。
「どれどれ中身は…………ほお」
『暇なら聖地に来て』と書かれていた。
(この筆跡と簡潔な文、アルファか)
聖地ーーーーそれは古代の記憶が眠る場所。
聖地ーーーーそれは魔人の怨みが積もりし場所。
聖地ーーーーそしてそれは大罪の領域。
「陰は加速する、か」
※最後辺りはただ言いたかっただけです。
書き溜めが無くなったので、聖域編が出来たら、また投稿します。それでは、アデュー。