を辿ると、松明が灯る、石レンガの廊下に出た。
「よおシャドウ」
「シュヴァルツか。残念だが、そいつは仕留めた。もう時期死ぬ」
下に目をやると、倒れている幹部がいた。
「こいつの処理は俺に任せろ。
それと、その扉の先で、みんなに会えるぞ」
「本当?いやあ〜迷子で困ってたんだよ。ありがとうデュール」
シャドウからシドになり、扉に向かう。
「じゃ、バイバイ」
手を振り、姿を消した。
「ふぅ、さて……」
幹部の体を起こし、壁へと寄せた。
「……まだ私に用か?」
痛みに耐えてるか、せめてもの悪足掻きか、俺を睨む。
「ああ。あんたに聞きたいのは二つ。素直に答えてくれるか?」
「フン、どうせもう死ぬ身。知ってることは答えてやる」
「じゃあ一つ目、あの錠剤はなんだ?」
「私もあまり分かっていない。上から配られただけの魔力増加薬だ」
本当に分かっていないようで、少し申し訳無さそうな顔をしていた。
「そうか。じゃあ二つ目。とゆうか、こっちの方が本題。
あんた、根っからの悪人じゃないだろ」
「っ!?」
目を見開き、ひどく驚いていた。
「どうして分かったのか、って目をしてるな。
まあなんだ。そういう力があると思ってくれ」
つい最近になって、この力は手に入れた。
と言ってもきっかけは突然。ある日アルファ達を見ると、綺麗な青いオーラが見えた。
そこから、ある程度扱えるようになった。青ければ青いほど善人。赤ければ赤いほど悪人。
こいつは薄青色。つまり、悪事や悲劇で色が薄まってる状態だ。
「とゆうわけで、話してくれないか?あんたの過去」
そして幹部ーーーーオルバは語り始また。
かつて子爵位を持っていた貴族であること。
娘が悪魔憑きになったこと。
治したいがために、騙されて『教団』に入ったこと。
「……なるほどな。
だったら教えてやる。お前が見た女の子達は、元悪魔憑きだ」
「っ!?まさか、本当に治せるのか?」
「ああ。俺とあの少年ーーーーシャドウなら治せる」
「……一つお願いしてもいいか?」
「なんだ?」
「娘を、ミリアを、頼む」
「ああ。約束する。あんたの娘は、治療する」
「感謝、する」
事切れると同時に、ペンダントが落ちた。
そこには、「親愛なるミリアへ」と掘られた文字と家族写真があった。
(っ、分かってはいたが、相変わらず腐った組織だ。『教団』め)
「やっぱり優しすぎるよ。シュヴァルツ様は」
去ろうとした時、声をかけられる。
「……ゼータか。見張りを命じたはずだが?」
「主もみんなも撤収した。後はシュヴァルツ様だけ」
「そうか」
「ねぇ、なんでそんな優しく出来るの?」
(優しく、ねぇ。俺は普通のつもりだけど)
「やつは罪人であり、被害者だ。だから死という罰と、娘を助ける慈悲を約束した」
「やっぱり、理解できないや」
複雑そうな表情をする。
「いや、ゼータも理解できるはずだ。
道こそ間違えど、治療法を探し、文字通り命までも懸けた。
君の父親に通ずるものがある」
それにハッとなり、口元を緩めた。
「ーーーー少し理解できた」
「それで上出来だ。帰るぞ、ここにもう用はない」
「うん。そうだね」
オルバに背を向け、歩き出した。
◇
あれから数日。怪我で少し療養した後に、姐さんは旅立った(今回は見送れた)。
シドは嬉しそうにしていた。まあ、姐さんの束縛が無くなったから当然か。
そしてさらに数日。アルファ達から呼び出された。錬成で篭ってたのもあるが、久々に顔を合わせた。
「私たちは、貴方達の元を離れる時が来たわ」
夕焼けが見える城壁で、そう言われた。
「ーーーーーーーー世界に散らばるのか?」
「ええ。貴方達が言ってた通り、『教団』は世界に根付いている。
奴らの基地の破壊、悪魔憑きの保護と治療、調査も引き続きするわ」
「寂しくなるな」
一方のシドは、何も喋らず、アルファ達を見据えていた。
(絶対にえっ?って、なってるなシド)
「安心して、定期的に連絡に来るわ」
「ああ。絶対に死ぬなよ」
「もちろんよ」
そうして、アルファ達は去った。
「ねえデュール」
ようやくシドが口を開く。
「何だ?」
「彼女達、目が覚めたんだね?」
「???????」
(ちょっと何言ってるか分からないな)
「だから、『ディアボロス教団』なんて存在しない。それに気がついたんだよ。アルファ達は優しいからね。僕たちが傷つかないように、設定を考えて自然に去った。
いつか来るとは分かってたけど、悲しいなあ」
(……なるほど。そう解釈したか。
やっぱり、シドに本当にあることを伝えない方が良さそうだ)
その後も少し話し、それぞれの家へ帰った。
オルバの真の過ちそれは……ウィザードの笛木ほどの力と行動力を持たなかった事では?