瑠璃の水面に煌めく銀閃   作:三℃パン

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追憶

ぐったりと部屋のベッドに倒れる。

かなり無茶をしたのがたたって手足を動かすだけでかなり痛い。

こいつは明日まで響くな・・・・・・

そんなことを考えていると扉をノックする音がする。

わざわざノックをするということは金剛じゃないな。

なんとか体を動かして扉を開けると木曾が立っていた。

先ほどまで入渠していたのか少し髪が湿っている。

「どうした?」

「すまない。少し話があってな。大丈夫か?」

「なんとかってところかな。昼のことか?」

木曾は複雑な表情をしてこちらを見る。

やはりそうなのだろう。本来艦娘しか扱えないはずの装備、常軌を逸脱とした動き、そんなものを間近で見たのだから

「話せない話なら構わない」

「いや、問題ない。聞いて面白い話ではないがな。まぁ入れ」

その言葉に促され木曾は躊躇いがちに部屋に入る。

正直立ってるのが辛いのもあってできれば座って話したい。

「あんなものを見せられて疑問に思わない方がおかしいからな。長い話ではないが手短に話そう」

そういって過去の話をするのを木曾は終始黙って聞いていた。

人造艦娘計画というくだらない妄想とその顛末、そしてその結果である自身のこと。

「と、まぁこんな話だ」

「なるほどな。大体はわかった。お前の常人離れした身体能力はそういうわけか」

かいつまんでしか話していないが木曾は納得したように頷く。

「ここに来た時のお前は昔の俺を鏡で見ているようだった。命を賭して生きる意味が、生きた証が欲しかった。だからお前を放っておけなかった」

「お前はそんな時どうしたんだ?」

「海外に演習に行った先で深海棲艦で強襲があった。真っ先に迎撃に向かった。深海棲艦を一隻でも多く沈めること、それが俺の存在理由だったからな」

そうあの時、自身が生きている唯一の存在理由だった。

木曾の様な大義があったわけじゃない、ただただ自身の存在を証明したかった。そしてそれは深海棲艦を沈めることでしか無しえないと思っていた。

「そして危うくリ級の砲撃を受けるところだったその時、後ろから大口径主砲の音が響いてリ級を沈めた。振り返るとそこに立っていたのが彼女だった」

「彼女?」

「名前は知らない。ただその時一言だけ言葉を交わした『あなたが何で死に急いでいるかは知りたくもないけど、少なくとも私の前で死なれるのは嫌よ』ってな。それが自分を見つめなおすきっかけだった。不幸に酔ってる間は周りが見えていなかったってな」

それが彼女と交わした最初で最後の言葉、そして今俺がここにいる一つの目標。

「それから俺は心に誓った。艦娘が国を護る盾であり槍であるなら、俺は盾を護る堀となり槍を研ぐ石であろうと。それが今の俺の信条だ」

「そんな風に考えていたんだな。・・・・・・そいつにもう一度逢いたいと思うか?」

「演習の間に聞いたことだが彼女はあと二ヶ月ほどでこちらに来ることになっている。それがうちの鎮守府とは限らないが・・・・・・戦果を重ねていれば必ず逢える」

「そうか・・・・・・」

木曾はそういって少し悲しげな複雑な顔をする。

「まぁ、昔話はこんなもんだ」

「ああ、事情はわかったが今日みたいな無茶はもうするなよ?」

「そうするよ。このレベルで動くと結構つらいからな。それに木曾が帰ってくるって信じてるからな」

そう言って拳を突き出すと木曾は少し戸惑った表情をするが笑って拳を突き返す。

「ああ、必ず帰るさ。おれを信じろ!」

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