嘆きの亡霊の主は最強   作:自堕落無力

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序章

 

 この世界各地には『宝物殿』が存在する。厳しい環境は勿論、罠が仕掛けられていて危険な怪物などが蔓延る途轍もなく、危険である場所だが攻略さえすればとんでもなく優れた物や価値のある宝を手に入れられる場所だ。

 

 そんな宝物殿に挑んで宝を手に入れようとする者の事を『トレジャーハンター』とこの世界の人々は呼んだ。

 

 そして、トレジャーハンターは夢と浪漫が詰まった職業であるがただし、命懸けではある。

 

『なろうぜ、俺達も……いや、きっと俺達なら世界最強のトレジャーハンターになれる』

 

 とある村で友人たちと遊んでいた少年がそう言い、友人たちもそれに賛成する。

 

「うん、なろう」

 

 トレジャーハンターになろうと言った友人にクライ・アンドリヒという少年が妹と共に賛成する。

 

 そうして皆でまずはトレジャーハンターになるために知識を蓄え、力をつけていった。

 

 勇敢で無鉄砲で腕っ節の強い男友達は無双の『剣士(ソードマン)』になり、とても足が速く器用な友人は罠を看破し、パーティを導く『盗賊(シーフ)』になるなどそれぞれが得意な事を活かせる役割を担っていく。

 

 そんな中で全ての分野で動けることを意識して努力し続けたクライは皆に指示を出す『リーダー』になっていった。

 

 そうして、クライと妹に友人たちはパーティを組み、パーティ名を【嘆きの亡霊(ストレンジ・グリーフ)】と決めながらトレジャーハンターとして活動し、五年の時が経過したのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帝都ゼブルディア――トレジャーハンターで栄えていると言っても良いこの都は今日、雲に覆われていた。そんな日に幾多ものパーティで構成され、結成された『クラン』でメンバーの募集が行われていた。

 

 しかもメンバーの募集をしているのが【始まりの足跡(ファースト・ステップ)】というこの帝都で名を上げ続けているクランなのでメンバーになろうとするトレジャーハンターの多くが募集会場となっている酒場に集まり、行列を成していた。

 

 更に言えば【始まりの足跡】は年に一度、つまりは定期的に所属パーティを集めて大々的なメンバー募集を行っていたりするのでこうした行列は帝都ではもはや、日常である。

 

「流石は有名クラン、凄い数のトレジャーハンターが集まっているわね。これ、一日で終わるのかしらね、()()()?」

 

「パーティになろうとする人はいつも、毎年、多くなっているからね。でも、ちゃんと終わるよ、ルーダ」

 

 行列の中では最後尾に並んでいる明るいブラウンの髪に大きな青い目と、スタイルは抜群であり、その身に丈の長いコートと頑丈なベルトにセットされた大きなポーチを身に着けているルーダ・ルンベックに今日であったばかりで彼女と同じくソロでフードを被って長い黒髪と顔を隠しているが中性的な容姿の男である魔術師(マギ)である()()()()()()()が応じる。

 

 

 

「私、絶対に【白狼の巣】を攻略したいのよ」

 

「確かにレベル3一人じゃ、きつい場所だね」

 

「あ? 何を馬鹿な話をしているんだお前ら。ここがどんな場所だか理解して言ってるのか?」

 

 荒々しい雰囲気に歴戦の猛者のような雰囲気を有する大男が威圧気味に叫ぶ。まあ、トレジャーハンターは大なり小なり血気盛んではあるが……。

 

「何よ、文句あるっての?」

 

「身の程を弁えさせてやろうか?」

 

 大男とルーダが今にも戦いそうな雰囲気を出すが……。

 

 

 

「そこ、揉め事起こすなら外でやれ。テスト抜きで追い出すぞっ!!」

 

 凄い勢いで察知した【足跡】に所属するパーティの者が注意をした。

 

 これにより、戦いの雰囲気を二人は納めて中に入る。

 

 そうして……。

 

 

 

「おい、【嘆霊(ストグリ)】はどこだよ!! トップが出るって聞いたからこんなとこまで来てやったんだぞ!!」

 

 燃えるような赤髪の少年が怒りながら叫ぶ。

 

「俺はレベル4にもなっている将来有望でいずれ、最強になる男だ。帝都最強のパーティを仲間にしてやろうと思ったのによぉっ!!」

 

「身の程知らずも此処まで来ると愚か……貴方は此処にいる資格はない」

 

 背には両手持ちの大剣を背負った少年に臆すどころか言葉通り、愚か者を見るような視線を向けて短い黒髪に2つのリボンをつけた小柄で愛嬌のある養子、動きやすい服装をし、ベルトに短剣をぶら下げた少女が近づく。

 

「おい、ティノ!? マスターから絶対にこの場では争うなと言われているだろう!! もっと言えば日頃から揉め事を起こすなって厳命されてもいるしよ」

 

 口々に【足跡】に属するパーティの一人が少女に近づき、落ち着くように呼びかけ、更にはその身を抑えつける。

 

 

 

「あいつはお姉さまやマスターのいるパーティを侮辱した。お姉さまなら間違いなく、あいつを殺す。それに私は追い出すだけ」

 

「うおっ、ちょ、おいティノ!!」

 

 

「やれるものならやってみろっ!!」

 

『良いぞぉ、やれやれぇっ!!』

 

 ティノは拘束を振りほどきながら短剣を抜き、少年は大剣を抜く。

 

 物々しくなる雰囲気に周囲で様子を見る募集のための試験を受けようとしたトレジャーハンターたち、ルーダと揉めようとしたグレッグが先に囃し立て、それに何人かが同調する。

 

 

 

 

 【足跡】のパーティ達は諦め……。

 

 

 

 『はああっ!!』

 

 

 

 そうしてティノと少年が短剣と大剣をぶつけようと相手に向かって踏み込み……。

 

「そこまでだ」

 

 クレイ・ノネムとして潜入し、このパーティ募集の様子を監視していた【始まりの足跡】のマスターであるクライ・アンドリヒはローブを外した状態なため、黒い長髪を靡かせながらもティノと少年が彼の手が動くのを認識した時にはティノから短剣を奪い取って、彼女の首元に短剣を突き付けていた。

 

 そして、少年に対しては大剣を奪い取り、少年の首元に大剣を突き付けつつ、冷淡な声で静止するよう告げたのであった……。

 

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