クライは【白狼の巣】で暗躍している『アカシャの塔』に対抗するため、幾通りもの未来を視る事の出来る【未来の視界】を使って未来を視つつ、それに対応した手段を取り始めた。
それはそれとして、クライはクランマスターとしてやるべき事を欠かさない。それは無論、クランを運営するための執務である。【始まりの足跡】は大手クランであるので探協は勿論、帝国にある様々な組織、商会の者達、貴族との交流に取引、色んな宝物殿の情報整理、メンバーによる任務で使った物、利用した物による経費の整理、用意している備品の確保に整理と本当に色々やる事が多い。
まあ、副クランマスターであるエヴァにクライの執務能力が高いので難なく、作業を終わらせられているが……。
そしてクランマスターとやる事もそうだが、必要に応じて錬金術師として高性能なポーションや戦闘において有効な品物を色々作っているし、研究もしている。
そうした品物の中から商会に卸すものを整理しながら、売ったりしている。普段、錬金術師の仕事はシトリーとタリアに任せてはいるが……。
そうして、なによりクライはトレジャーハンターである。なので普段から鍛錬は勿論、欠かさない。
「やああっ!!」
「ふっ!!」
「しいっ!!」
クランハウスにある地下二階の訓練施設でクライは鍛錬をしていた。相手はクロエにティノとリィズである。当たり前の話だが、訓練をするなら自力でやるより、相手がいる方がモチベーションも上がるし、有効的だ。
そして、現在――クライは宝物殿から帰ってきたばかりで高濃度のマナ・マテリアルを蓄積した事で能力が上昇し、コンディションも最高潮であるリィズとクロエの二人、そしてティノと模擬戦を繰り広げていた。
クロエにティノは将来的に『嘆きの亡霊』に加えようとしているのでクライは鍛錬をつけたり、『嘆きの亡霊』との宝物殿の攻略に置いて同行させたりもしていた。
そうして刃を潰した模擬戦用の剣を振るうクロエの剣舞にリィズ譲りの身軽な動きと俊足を活かした速度重視の手足による闘舞、『絶影』から受け継いだ速度を活かした速度重視の手足による闘舞をクライは回避し、捌いていく。
「ふっ!!」
『っ!!』
次の瞬間、クライは鋭く流麗に模擬戦用の剣と蹴りによる連撃を繰り出すと三人を吹っ飛ばす。
クライの戦い方としては相手の動きを観察しながら、相手の攻撃を回避し、捌きながら間隙を見抜いて適切な攻撃を繰り出すというカウンタータイプである。
「相変わらず、強いですねクライさん……」
「ますたぁはやはり、神」
「当然でしょ、クライちゃんだよ。どんなに執務や他の事をしても鍛錬を欠かしていないようだしね」
「僕はあくまでトレジャーハンターだからね」
そうして、クライは『アカシャの塔』への対策や準備をしつつもそれ以外にやるべき事をやっていくのであった……。