人間の魔導士が魔力総量を成長させる時期は幼少期から十代半ばまでであり、それ以降は成長が止まるというのが一般的だ。
しかし、例外は存在する。魔力が枯渇し、回復した時に『超回復』という現象が起きる。
およそ五パーセントから十パーセント、魔力の枯渇状態から回復した時に魔力総量は増えるのだ。
この方法を利用してクライにルシアは魔力を鍛え続けている。宝具の中でも魔力のチャージを必要とするそれをクライは所持し、常に使ってはチャージを必要な状態にしているのだ。
そして、チャージによって枯渇させ、特製の魔力回復薬を飲んで魔力を超回復させるのである。
「苦いけど、飲めない訳でも無いわね」
「でも、きついのはきつい」
「強くなるためには必要な事だよ。僕もルシアも続けてる方法だし」
クランハウス内にある魔導士用の訓練室にクライは魔導士を集めて宝具を用意し、魔導士の皆に魔力をチャージさせ、自分とシトリーが制薬した魔力回復薬を飲ませていった。
「それは興味をそそられる話だな。クライ」
「ただいまです、クライさん」
すると訓練室に長い金髪に美麗な容姿で長身、アメジストのような瞳、スタイルも整っており、耳の先が尖っている女性と同じく耳の先が尖っていて、背は低く、スレンダーなスタイルだが長い銀髪で美麗な少女が声をかける。
この二人の種族は人間より遥かに長命で人間より数百倍、数千倍の魔導士適性を有する
「おかえり。ラピス、クリュス」
クライは金髪の精霊人であるラピス・フルゴルと銀髪の精霊人であるクリュス・アルゲンにそれぞれ、言葉をかけた。
ラピス・フルゴルにクリュス・アルゲンはラピスがリーダーとなって率いている精霊人だけで構成されているパーティ、≪
精霊人は人間を見下しているが優れた魔導士は認めるし、敬意も払う。
魔導士として超越した能力を有するクライとそれに匹敵するルシアにラピスたちは尊敬の念を抱いており、クライとルシアがいるからこそ≪始まりの足跡≫に所属しているのだ。
そうしてラピス達も含め、クライも魔力の超回復を利用した鍛錬をしたのであった……。
二
クライはラピスとクリュスが戻って来た事で彼女たち二人、リィズにシトリーとティノにクロエと共に『黄金の鶏亭』で彼女達の帰還を祝う宴を行い、楽しみ始めた。
すると入り口の扉が蹴り破られ、八人の屈強な男たちが入って来る。
「(あれが≪豪雷破閃≫か……)」
八人の中で一番、大柄の男がいた。そいつは長い金髪に屈強な肉体が特徴的で灰色の脚甲、最低限な部分を保護した野性的な鎧、背負った大剣を装備していた。
立ち振る舞い、雰囲気からしてもクライはこの帝都に来たばかりの≪豪雷破閃≫ことアーノルドだと察する。
「おい、邪魔だ」
そして、アーノルドのパーティは酒場で飲んでいるハンター達の席に近づき、飲んでいたハンターの頭を掴んで叩き付ける事で強制的に追い払って席に着いた。
「楽しく飲んでたのになぁ……リィズ、遊んであげて」
「はーい♪」
クライはそれはそれとして楽しい食事の時間を台無しにされた事で洗礼を与える事にした。
「むぅ、クライさん。あれ、丁度良い実験体になりそうなんですけど」
「実験して良いのはあれらが悪党だった時だけだよ……それにちゃんとそれなりに強いし、頑丈だよ」
クライが不満げに言うシトリーに対して説明している間にリィズがエールを注いだジョッキを持ってアーノルドに近づき、頭にエールをぶっかけるとそのまま、打撃を叩き込んで叩きのめしていった。
「あの程度の不意打ちに抵抗できないようじゃ、まだまだかな……それじゃあ、今日はここまでにしようか」
アーノルド達の実力にがっかりしつつ、アーノルド達を叩きのめしたリィズを呼び、そうして迷惑料込みで多めに代金を払うとクライ達はクランハウスに戻り、ラウンジで宴を再開する。
その後……。
「クライ、ふむ、ん……愛しているぞ」
「クライさん、愛しているです」
「僕もだよ。ラピス、クリュス」
自室の寝台にてクライはラピスにクリュスと愛し合って行ったのであった……。