最近、霧の国『ネブラヌベス』で雷竜を討伐し、レベル7に認定されたアーノルド・ヘイルをリーダーとするパーティ、≪
≪霧の雷竜≫はクライがリィズとシトリーにティノとクロエでラピスとクリュスの帰還を祝う宴を行っていた酒場にやってきた。
そして、手近にいたトレジャーハンターを机に叩き付ける威嚇行為をしてみせた。新参者として舐められないように自分達の実力を知らしめるためである。
だが、酒場でそれをするのはつまり、帝都の全トレジャーハンターに喧嘩を売る行為でもある。それとなにより、宴を楽しんでいたのに台無しにされた事でクライはリィズを差し向けて叩きのめさせたのである。
そして、翌朝――クライはクランマスターの部屋で机に座りながら、マリスイーターのマリを膝に乗せて頭を撫で回し、喉を擽っていた。
「フミュウ」
マリは気持ち良さげな声を出し、喉すら鳴らしていた。
「ふふ、気持ち良いかいマリ……そろそろ、≪霧の雷竜≫がガークさんから僕の伝言を聞いたころかな」
「伝言ですか……どのような?」
傍にいるエヴァがクライに問いかける。
「まずは『レベル7と聞いていたし、酒場で暴れるくらい自信満々だったから、どの程度か試させてもらった。まずは不意打ちには対応できるよう、警戒しておいた方が良いよ。トレジャーハンターは常在戦場だからね』だったかな」
「うわぁ……」
クライの言葉にエヴァは何とも言えない表情を浮かべた。
「で『今回の事で納得がいかないなら、僕のクランハウスに尋ねな。相手をしてあげるよ』と『あと、雷竜を倒したのなら次もいけるよね? 雷竜は照り焼きにすると美味しいんだ。だから、良ければ雷竜の肉を取ってきてくれたら嬉しい』という伝言だよ」
「勝負はともかくとして、雷竜を倒してレベル7になったばかりのトレジャーハンターにまた、雷竜を倒せって大分酷くないですか……」
「これくらいやったら、僕に挑む気になるしそれまではアーノルド達も変に暴れる事は無くなるでしょ」
自分達の力を証明しようと必要以上に血気盛んになっているアーノルドの面倒を責任持って、クライは見るつもりであった。
「ですね……クライさんの思うままにしてください」
そうして、エヴァは納得しながら頷くのであった。
その後……。
「来てやったぞ、≪千変万化≫」
「ああ、≪始まりの足跡≫にようこそ。≪霧の雷竜≫……じゃあ、行こうか」
そうして、アーノルド達がクランハウスを訪れたので迎え入れながら訓練施設に移動する。
「で、相手は皆でそれとも≪豪雷破閃≫一人でやるのかな?」
「俺一人だ」
「良し、じゃあ遊んであげよう」
大剣を抜きながらクライに対し、一歩踏み出したアーノルドが言う。
それにクライは腰に佩いていた鞘から剣を抜いていった。
「レベル8だからと余裕のつもりかっ!!」
アーノルドはクライに対し、一気に踏み込み、片手で大剣を振り下ろし強烈な斬閃を放つ。
「さあ、どうかな?」
それをクライは剣を振るい、斬閃を放つ事で弾いた。
「ふっ!!」
アーノルドは更に斬撃を放ったが……。
「よっと」
クライは受け流してみせた。
二人は訓練施設にて斬撃の応酬をし、場所を所狭しとばかりに動き回り、立ち代わっていった。
「くぅ……貴様、本気でやってないな!!」
アーノルドは自分は両手で斬撃を繰り出し続けているのにクライが片手でその斬撃を往なし、更には反撃で繰り出す斬撃はあっさりと自分を押し返す上にもっと攻め込めるのに敢えて攻め込まずに自分の様子を観察するクライから本気でやってないと判断する。
「
「おのれ、どこまでも舐めやがってぇっ!!」
アーノルドはクライに踏み込むと振り下ろしの強烈な斬閃を繰り出したが……。
「舐めてはないんだけどね」
「……っ、こ、こんな……」
クライは左手の指2本でアーノルドの振り下ろす大剣を挟む事で抑え込み、その動きを止めた。
「本気でやるとすぐに勝負が終わってしまうからだよ。こんなふうにね」
「がはあああっ!!」
クライは右手で持っている剣を振るい、アーノルドの腹部を切り裂いて後ろから床に倒れさせる。
「で、君達はやるのかい?」
『……』
アーノルドの仲間に視線を向けるとクライの実力に絶句し、怯えていた。
「アーノルド、君はまだまだ強くなれるよ。頑張って」
傷を治療する高性能な回復薬をかけて傷を癒しながら、クライはアーノルドに語りかける。
その後、≪霧の雷竜≫はアーノルドを抱え上げてクライのクランハウスから去って行ったのであった……。