クライは『ゼブルディアオークション』にて目的としていた『アカシャ・ゴーレム』を見事に競り落とした。
これにより、他にアカシャ・ゴーレムを競り落とそうとしていた『アカシャの塔』はかなり、衝撃を受けているし頭を抱えているだろう。
競り落としたティノは≪始まりの足跡≫所属なのだから……だからこそ、察しもするだろう。宝具を買うという噂はゴーレムを買うための騙しであったと……。
『アカシャの塔』は組織形態として各研究部門は独立していて、一つ崩れたところで何の影響も出ないようにされている。そしてノト・コクレアの支部に潜入していたシトリーでさえも他の研究室の事は噂でしか掴めないほどに秘匿性が高い。
ノト・コクレアの部門が潰れたのでその遺産を得ようと他のアカシャの塔の研究部門は動き出しているのだ。だからこそ、≪始まりの足跡≫からゴーレムを奪おうとも考えているだろう。
「(普通に相手取っても良いんだけどねぇ……)」
とりあえず動くアカシャの塔の研究部門の数々と駆け引きを演じて情報を得ようとしているクライ。そのまま、全部を潰しても良いと考えているがそもそも、『アカシャの塔』を率先して潰そうとしているクランがこの帝都にはいる。
「(まあ、専門のところに任せた方が無難だね。抗争になるような事もしたくないし)」
クライは専門のところに任せる事にしつつ、大派閥のクランマスターとして帝都中の貴族や商会の者達に呼ばれるのでそれに応じ、交流していった。
「アークも忙しいのは分かっているけど、やっぱりこの件に関しては任せないとね。そろそろ、アークを呼び出してくれる?」
こうして、クライは
「実はね、アーク……僕はオークションで仮面の宝具を競り落とそうとしていたんだ」
「ああ、聞いているよ。噂になるくらい積極的だったらしいね」
「ところがオークション中にうちも関わった『アカシャの塔』によるゴーレムが出品されていてね。危険だったからそっちを競り落としたんだよ」
「それはまた、きな臭いというか……幾らだったんだい?」
「十億六千万」
『じゅっ!?』
アークが興味本位で聞いてきたので応えると女性陣は声を詰まらせつつ、驚いた。
「まあ、無事ゴーレムは競り落とせたんだ。後は仮面の宝具を競り落とそうとしたんだけど、エクレール嬢が二億で競り落としちゃったんだよ。変に揉めたくないし、恥もかかせたくないから譲ったんだけどね」
「エクレール嬢が……クライ、君の配慮に感謝させてもらうよ」
「良いって事だよ。でも、あの仮面の宝具は扱い方に気をつけないと相当に危険なんだ。だからエクレール嬢から宝具を取りに行ってほしい。これはグラディス家への詫びも兼ねて四億ギーツと事情と謝罪を記した文だ」
「四億……」
「さ、流石はレベル8ハンター……」
「大金をポンって……」
「金銭感覚が狂いそう」
アーク以外の女性陣がクライが大金を出した事で先程の話も含めてやはり、驚く。
「そういう事なら行かせてもらうよ。武器はいるかい?」
「もし、あの仮面を付けたりした場合は絶対に武器を使ったら駄目だ。精神的な乱れで余計に悪化するだろうからね。武器を持たず、説得していけば大丈夫だと思う。エクレール嬢が仮面を付けた場合はだけど」
「分かった、それじゃあ早速、向かうよ」
「頼んだよ」
クライは注意点を言うとアークたちを送り出した。
その後……。
「さあて、後は仮面の値上げに協力した見返りをアーノルド達に貰わないとね。頼んだよシトリー、リィズ」
「お任せください、クライさん」
「任せて、クライちゃん」
仮面の宝具をオークションに出品した者、アーノルド達のパーティに対し自分の噂で仮面の値が上がった事による見返りを貰う役目をシトリーとリィズに頼んだ。
そして他にも色々、対応しなければならない貴族に商会との交流、『アカシャの塔』に対しての情報収集など必要な事をしていくのであった……。