クライは『アカシャの塔』との全面的対決さえも視野にいれて考えていると、探協に呼ばれ、支部長のガークに副支部長のカイナと共に応接室に入った。
「それでガークさん、用件は?」
「ああ、グラディス伯爵から感謝状が来ている。お前とアークにな」
ガークに呼ばれた用件を聞けば、彼はそう言って紙を一枚取り出した。
「それだけじゃないよね?」
「そうだ。お前には追加で指名依頼が来ている。あのハンター嫌いのグラディス伯爵がだ。案件的には難題だろうが、報酬は十分……受けるよな?」
更にガークは紙を取り出して机の上に置いた。
「今までグラディス伯爵からは依頼された事も無いし、折角だから受けるよ」
クライはグラディスからの依頼を受ける事を決めた。そもそもエクレール嬢の件で迷惑をかけた負い目があるのだ。その件については詫びはしているが、それでも少しでも友好的になれるならそのための努力をして損は無い。
探協にとっても、ハンター嫌いのグラディス伯爵と良い関係を築けるようになるのは得である。クライにとっても探協と良い関係を続けられるのでこの依頼を受け、達成するのは必要な事だ。
そうして、グラディスからの依頼書を受け取り、中身を見ると……。
「『バレル大盗賊団』……成程、これは確かに難題だ」
グラディスからの依頼はグラディスの領内で暴れている『バレル大盗賊団』の討伐であった。
バレル大盗賊団は始まりは大陸の果てであり、貧しい国に巣食うたった二人の小さな盗賊団であった。それが別の盗賊団を吸収し、パトロンを得て瞬く間に勢力を拡大していったのである。
国を渡りながら、略奪を繰り返していったバレル大盗賊団は一度も負けたことが無い。それは強いからだ。一度も捕まった事が無いのは賢いからである。
なにより、立ち回りが上手いのだ。
「(犯罪組織に縁が出来るなぁ)」
クライは頭の中で情報だけ集めていた『バレル大盗賊団』のそれを思い返しつつ、『アカシャの塔』の事も合わせて犯罪組織に縁が出来る事に内心、苦笑したのであった。
ともかく、依頼を受ける事を伝えると自分とアークの分の感謝状、自分に対しての依頼書を受け取ると探協を出る。
「(そろそろ接触して来るかなとは思ったよ)」
クライは自分の感知魔術に反応した魔力と気配の感じからある程度、接触を予測していた者だったのでその者の場所へと向かう。
「クライさん、久しぶりです」
「ああ、久しぶりだね。アルトバラン」
クライは挨拶してきた短い青髪で冷たい印象を抱かせる青い瞳の中性的な少年であるアルトバラン・ヘニングに笑みを浮かべた。
「こうして僕がやって来た時点で用事については察していると思いますが……」
「うん、そろそろ接触して来るとは思っていたよ。近くの喫茶店で話をしようか」
「はい」
そうしてクライはアルトバランと喫茶店に行こうとしたところで……。
「見つけた、あーるん!! え、もしかして、見つけたの!?」
セミロングくらいの金髪、緑目で明るい雰囲気の美少女がやってきて、クライを見て驚いた。
「やあ、マリー・オーデン。久しぶりだね」
「あ、は、はい、クライさん。久しぶりです」
ともかく、こうしてクライはこの帝都の古参かつ少数精鋭で魔導士によるクラン、≪