クライは自分に接触してきた≪魔杖≫に所属するアルトバランにマリーの二人と自分のクランハウス近くの喫茶店へと行き、三人で席の一つに座った。
「ここの紅茶味のパウンドケーキは美味しいんだよね。食べてみると良い」
「そ、そうですか」
「じゃあ、私も頼みますね」
三人で紅茶味のパウンドケーキと紅茶を頼んでいく。
「じゃあ、話といこうか……」
「はい、貴方相手に駆け引きは必要無いでしょう。単刀直入に言いますが、手を引いていただきたい」
クライが促せば、アルトバランが用件を口にした。
「これ以上、『アカシャの塔』と戦うなと……」
「はい、確かに貴方はノト・コクレアの捕縛でレベル9に一歩近づいた。グラディス卿への貸しもある。残党を壊滅させれば貴方は他のレベル8を一歩リードする事になる。しかし、それはあまりにも……気が急いている。そう思いませんか?」
「ちょっと良いかな。まず、言っておきたいんだけど僕が『アカシャの塔』と関わったのは異常が起こっていた【白狼の巣】がノト・コクレア一派の活動拠点になっていて探協の調査を手伝ったら、向こうが仕掛けてきたんだ。そう、喧嘩を売られたんだよ……まず、これが一つ」
まあ、本当はノト・コクレアの技術を得ようとシトリーが潜入していたので仕掛けたのはどちらかというとクライである。
だが、それを言う義理も何も無い。
「そして、ノト・コクレアの遺産であるアカシャ・ゴーレムを『アカシャの塔』がゼブルディア・オークションで競り落とすのを防いでこっちが競り落としたら、クランメンバーの一人であるティノに刺客を放ってきたのが二つだ……十分、アカシャの塔と抗争する理由になると思うんだけど?」
「……そこを堪えてください。アカシャは僕達が追っている獲物です。それにレベル8にその若さで至っているのは凄いですが、経験は他のレベル8に劣っている。それを考慮してもまだ貴方はレベル9の実力では無い「随分と自分の価値観で僕を測ってくれるじゃないか、あーるん?」」
「っ!?」
クライは優し気な笑みを浮かべながら優しく言ったが、アルトバランはとんでもない威圧感を感じた。
「僕はね、レベル9になろうとしているんじゃないよ。今まで、一つのクラのンマスターとして自分なりにやるべき事をやっていったら、レベルが上がっていっただけなんだから……だから、クランマスターでも無い一介のクランメンバーでしかない者が大きな口を叩かないでくれ。まだ、≪
「も、申し訳ありません。口が過ぎました」
「あーるんが本当にごめんなさい。で、でもクライさん。アカシャが私達が倒そうとしている対象なのは事実です。私達としても横から手を出されるのは困りますし、道理に反すると思うのです、どうでしょうか?」
クライの言葉にアルトバランとマリーが謝ったが、マリーはそれでも譲れないものはあるとばかりに意見を言った。
「まあ、僕としても≪魔杖≫と揉めようなんて気は無いよ。それに別に対処しなければならない相手もいるし……良いよ、アカシャからは手を引くし、今まで集めた情報も渡そうじゃないか」
『本当ですか、ありがとうございます』
クライが言えば、アルトバランにマリーは驚きつつも喜んだ。
「でもマリス・イーターにアカシャ・ゴーレムを渡せってのは聞き入れられないからね」
「も、勿論です。ノト・コクレアの件に対処したのはクライさんですから」
「良し、じゃあ話は終わりだ。ティータイムを楽しもうじゃないか」
そうして、クライ達はケーキと紅茶を味わい始めるのであった……。