≪始まりの足跡≫のクランハウス近くの喫茶店で≪魔杖≫のメンバーであるアルトバランにマリーの二人と話をした。
≪魔杖≫側の要件としては自分達が追っている魔術犯罪組織である『アカシャの塔』に対してこれ以上、手を出さないでほしいという事であった。
クライは『ゼブルディア・オークション』でアカシャゴーレムを競り落としたのを契機に『アカシャの塔』と暗闘を繰り広げようとした。その過程で『アカシャの塔』の研究結果も勝ち取ろうと思っていたのだ。
とはいえ、≪魔杖≫と本格的に揉めたい訳では無いし、『アカシャの塔』を滅ぼしたいと思っている訳でも無い。
なので『アカシャの塔』の相手は≪魔杖≫に任せて自分はグラディス伯爵に依頼されている『バレル大盗賊団』の討伐に専念する事を決めた。
そうして、後はお気に入りの喫茶店で紅茶味のパウンドケーキと紅茶をアルトバランとマリーの二人で楽しんでいた。
「ここのケーキと紅茶は美味しいだろう?」
「はい、とても」
「クライさんが勧めるだけあって美味しいです」
二人にクライが聞いてみれば、どっちも話し合いが円満に終わったのもあるだろうがケーキと紅茶に対して舌鼓を打った。
こうして穏やかな時間を過ごしていたのだが……。
「見つけたぞ、≪千変万化≫……先日は舐めた真似をしてくれたな……」
喫茶店の雰囲気にそぐわない者達が店に入るとクライに近づき、話しかけてきた。
アーノルドをリーダーとする数人のトレジャーハンターのパーティである≪霧の雷竜≫だ。
「舐めた真似とは何の事かな? シトリーからは交渉は無事、終わったと聞いているけど」
≪霧の雷竜≫に対してクライはシトリーとリィズを差し向け、『進化する鬼面』をエクレール嬢が競り落とした二億より、一億一千万を貰った。
シトリーはアーノルド達が飲んだ酒に毒が仕掛けられていると言葉だけで疑わせ、そして本当に高性能な酔い覚ましのポーションを一億一千万で買わせたのである。
「あんなの詐欺だろうがっ!!」
「詐欺って……ちゃんとした酔い覚ましのポーションを売ったって聞いたよ? それに今更、文句とか言われてもねぇ……まあ、これも勉強って奴さ」
「ふざけんな、表出ろっ。今度こそ、お前を倒してやる」
「……全く……そこまで言うなら、良いだろう……この際で全員でかかってくると良い。それで負けたら、君たちの要求を何でも呑もうじゃないか。ただし、負けたらこっちの要求を呑んでもらうよ」
「良いだろう……」
こうして、店を出ようとアルトバランたちの分まで金を払おうとしたが逆にオルトバラン達は話に応じてもらったのだからとクライの分まで含めて払うと言った。
その厚意に甘えるとアーノルド達と共に外に出て、クランハウス内へと行き、地下の訓練施設へ……。
『いくぞぉっっ!!』
アーノルド達はレベル7の宝物殿に先程まで行っており、高濃度のマナ・マテリアルを吸収していた。故にその能力自体、強化されているのだ。
そうして≪霧の雷竜≫はクライへと向かって行き……。
「――」
本来ならかなりの詠唱となるそれを幾つも束ねて二言、三言の詠唱をして魔術を発動。
幾つか空間が圧縮されたかと思えば、それが膨張する事で強烈な衝撃の爆発が発生した。
『うぐあああああああっ!?』
アーノルド達は吹っ飛ばされて倒れて意識を失った。
「君達には僕のクランに入ってもらうよ」
その後、クライは≪霧の雷竜≫をクランメンバーとして加えるのであった……。