クライは先日、【始まりの足跡】によるパーティのメンバー募集の場で問題を起こそうとした者達の罰として探協のガーク支部長に色んな悪条件からハンターたちが依頼を受けるのを忌避している『罰ゲーム』と呼ばれる類の依頼をミクロってもらい、選んだ。
対象者はティノとギルベルト、二人が揉め事を起こそうとしたのを止めれないからと諦めたクラン所属内のメンバーたち、そしてそのメンバーたちより、先に煽ったグレッグである。
グレッグに対してはパーティ募集の場で声をかけており、後日与える罰をしっかり受けるまで待機するなら、今回の事は帳消しにするからと声をかけてはいた。因みにそれを承知しなければ数日間、地下牢に放り込むとまで言った。
グレッグは当然、待機の方を選択したのだ。
そのためにクランハウスに戻る前にグレッグがいるという宿に向かおうとして……。
「おや、ルーダじゃないか。この前はどうも」
「あ、く、クライ!?」
クライは依頼表を眺めている者の中からルーダを見つけたので近づけばルーダは驚愕した。
「この前は驚かせてしまったし騙すような事をして悪かったね。でも、必要な事だったんだ」
「いえ、大手のクランマスターは色々大変だってのは分かるから」
「理解してもらえて助かるよ。ところで【白狼の巣】を攻略したいって言ってたよね?」
「え、あ、うん」
「ちょっと話を聞いてもらえるかい?」
こうして、クライはルーダに自分のクランハウスに行くよう伝えた。そして、グレッグが泊まっているという宿に向かい……。
「ど、どうも……く、くく……クライ・アンドリヒ様……」
「うん、こんにちは。しっかり言いつけを守ってくれていたようで安心したよ」
グレッグを呼び出せば、彼は怯えながらクライへと挨拶をする。
クライは笑みを浮かべながら、グレッグと共に自分のクランハウスに行き、先にグレッグをラウンジへと行かせる。
そして、自分は宝具の保管庫へと向かってその中に入り、ギルベルトが持っていた『煉獄の剣』を持って、クライの言いつけでラウンジで待機していたティノにギルベルト、ルーダにグレッグと問題を起こしたメンバーの元に姿を現す。
「ギルベルト、これは良い宝具だから大事にすると良い」
煉獄の剣より小さな炎を出し、それを軽く撫でながらギルベルトに言う。
「は……ほ、宝具をあんなに自由自在に……いったいどうやって……」
宝具は説明書も何も無いのでどうやって使うかすら手探りになるのがほとんどだ。そんな宝具をいきなり高度に使いこなしてみせたクライにギルベルトは驚く。
「宝具を色々触っていれば、自然と出来るものだよ……っと、魔力をチャージしておくね」
そして宝具に自分の魔力をチャージするとギルベルトに返した。
「さて、まず君たちにはこの依頼をこなしてもらう」
「罰ゲームですか……」
「しっかりこなしてくれたら、罰はおしまいだ」
「はい……」
渡された依頼書を見て絶望した様子でクライに問いかけ、クライが頷くとすぐさま依頼をこなすための準備に動いたのであった。
そして……。
「ティノ、ギルベルト、そしてグレッグ……君たちはこの【白狼の巣】の『遭難救助』をこなしてもらう」
『はい』
クライはティノ達に対して受けてもらう依頼書を出す。
「ルーダ……僕のクランの罰ゲームに付き合わせるようで悪いんだけどそれでも良いなら、【白狼の巣】に行くかい?」
「ええ、行くわ」
クライが問いかけるとルーダは頷いた。
「ただ、これを見れば分かるようにレベル5のロドルフ達のパーティが遭難するくらいの異変が起こっている。だから、僕も後で行くよ。仕事を片付ける必要があるけどね……とりあえずこれでポーションとか必要なものを調達しておいて」
クライは注意点を伝えると自分のポケットマネーからかなりの大金を出し、ティノ達に渡した。
「良いかい、皆。僕が駆けつけるまで絶対に生き抜くんだよ」
クライがそう言えば、皆が頷き、そうしてティノ達も依頼をこなすためにクランハウスを去った。
その後、執務室で自分が行うべき執務を全てこなしていると夜になる。
「とりあえず、僕がするべき仕事は終えたから後は任せるよ、エヴァ……【白狼の巣】と周辺が妙な事になっているみたいだからちょっと行ってくる」
「分かりました。お気をつけて」
「うん、ありがとう」
そうしてクライは戦闘用の衣装と装備を身に着け、【嘆きの亡霊】のパーティシンボルでクライが戦闘用に色々手掛けてもらった『笑う骸骨』の仮面を被るとクランハウスから出ると体に風の魔法を纏う事で気流すら操り、空中へと超速で浮かび上がり、そのまま空中を超速で飛行し【白狼の巣】へと向かったのであった……。