現在、クライがリーダーのパーティである【嘆きの亡霊】はクランマスターとして【始まりの足跡】を運営しなければならないのでなるべく帝都にいる必要のあるクライを残してレベル8の宝物殿である【
もっともクライはソロで【万魔の城】を攻略済みである。だからこそ、【万魔の城】の全容を把握している。なので先にクライはルーク達へボス部屋に剣士の幻影がいる事を伝えている。
そして、攻略中である筈のメンバーの中からリィズが【白狼の巣】に現れたという事は一度、ルークとリィズが一緒に剣士の幻影と戦った後でルークが単身、剣士の幻影を討とうと挑んでいる筈だ。
ルークの性格を知っているのでリィズはもう、自分がやる事はないと先に帝都に一度、帰ったのだろう。そして、エヴァからクライが此処にいると聞いて走って来たとクライは察する。
今のリィズは【万魔の城】に漂っている高濃度のマナ・マテリアルを蓄積しているので相当に能力が強化されている状態かつ、それによる全能感から興奮状態でもある。
「(止めれるように備えないとな)」
リィズは元から好戦的かつ短気でもある。怒りが長続きしないのはまだ良い方ではあるが……。
「わざわざ、ここまで来るなんて……悪いね」
「ん~ん、クライちゃんは忙しい事は知っているから大丈夫だよ。それに私がクライちゃんに会いたくなったんだもん」
クライは仮面を外してリィズに近づき、リィズも又、仮面を外し薄桃色の瞳、愛嬌のある可愛らしい容姿を晒しながらクライへと近づき、そうして二人は抱き締め合うと……。
「ふむ、んちゅ、くちゅ、ふちゅ」
『……』
クライはリィズによる貪るような深い口づけに応じる。そんな情熱的であり、強烈であり、官能的な光景にティノ達は唖然としつつ、顔を赤らめた。
「ぷはぁ……最高」
「それは良かった」
満足し、クライへの口づけを止めたリィズは恍惚な笑みを浮かべながら言って、クライは笑みを浮かべた。
「うん、本当に良い気持ちなんだけど……でもねでもね、リィズちゃんとっても悲しいし、恥ずかしいんだぁ」
クライに対しては笑みを浮かべながら言葉を紡いでいたリィズは表情を歪めた。
「くらいちゃんはやさしいからてだすけしているだけで、まさか、このりぃずちゃんのでしがぁ……ゴミ掃除すら満足に出来ないばかりかあんな程度の雑魚にクライちゃん一人だけで相手させるなんてぇっ、なあ、ふざけてんじゃねぞてぃぃぃぃぃっ!!」
リィズは怒りに震えながら、更に怒りのボルテージを上げ、自分の弟子であるティナに怒り狂い咆哮を上げながら、金属性の靴の宝具で何も無い宙を一歩だけ蹴る事が出来る『
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい、おねぇさま」
ティナはひたすらに怯えては震えて謝っていた。
「お、おいあんた。いきなりやって来て……」
ギルベルトはリィズに近づき、話しかけたが……。
「あ? なんだよ雑魚「そこまでだ、リィズ」っぐ、クライちゃん?」
リィズがギルベルトを蹴り飛ばそうとしたのをクライは右手を向け、魔法を放つ事で不可視の拘束を行った。
「リィズ……ティノはちゃんとこの【白狼の巣】でしっかり自分が出来る範囲の事をやり遂げたよ。そこから先は彼女達じゃあどうにもできないから僕が対処しているんだ。それにいつも言っているだろう、弟子を育てるには厳しくしているだけじゃ駄目だって……それに宝物殿から帰ったばかりで気が立っているのは分かるけど、人に当たり散らすのも駄目だよ。僕が愛しているリィズは分かってくれるよね?」
クライはリィズに近づき、魔法による拘束を解除しながらしっかり、彼女を見つめて呼びかける。
「うっ、ごめん……ごめんねクライちゃん、ちゃんと分かってるよ」
「それでこそ、僕のリィズだ」
クライは微笑み、リィズの頭をその手で撫で回すと満足気な表情を浮かべつつ、リィズは目を細めながらその身を委ねた。
すると重火器を有する大柄の巨躯であるウルフナイトがリィズがやってきた場所から現れる。
「空気読めよ、狼野郎っ!!」
レベル6のハンターであり、【絶影】というシーフから鍛えられ軽快な身のこなしによる超速を受け継いだリィズはその超速を発揮し、一瞬でウルフナイトへと駆け跳ねて接近しながら、その鎧を蹴り砕きながら地面に倒し、そのまま両拳のラッシュを浴びせる。
「良いか、ティー。こういう鎧を着た幻影は鎧ごとぶち殺すんだ。鎧着てても硬いとは限らねぇっ、上から殺せ、頭を吹っ飛ばせ、好きに殺せっ、そうすりゃ最高に楽しいだろうっ!!」
こうしてリィズはウルフナイトを蹂躙して殺しながらティーの方を見て語り掛けたのだった。
「さて、とりあえず帰るとしようか……皆、まずは外に置いてある食糧とか持ってきた物を回収してくれ」
基本、トレジャーハンターは宝物殿に挑むときなど外で野営の準備をし、安全拠点を確保しておく。
そうして、【白狼の巣】から外に出たクライ達は食糧などの回収を行ってクライの元に集合する。
「じゃあ、さっさと帰ろう。今夜はうちのクランハウスの客室でゆっくりすると良い」
「何を言って……」
クライの言葉にリィズとティノ以外の者、ギルベルト達は戸惑う中、クライは『次元の雑嚢』に手を入れて腕輪を取り出し、右腕に装着した。
「これは『
腕輪を装着した右手を翳すと腕輪が光り、そうして空間に大きな穴が開いていくと【始まりの足跡】のクランハウス内の光景が見える。
「通ってくれ」
そうしてクライの『空間の腕輪』により、皆はクランハウス内へと空間移動をしたのであった。
その後、クライはティノ達にクランハウス内に設けた客室を利用するように言い、今日はしっかり休むように言った。
「クライちゃん……」
「ああ、分かってるよ」
そうしてクライは自分の私室にリィズと共に入ると浴室にリィズと一緒に入り、身体を洗ったりはしながらも互いを求め合って、愛と快楽を貪り合う。
更に浴室から出てもやはり、クライとリィズはひたすらに互いを求め合ったのだった……。