八話
クライは現在、【白狼の巣】に異変が起こっているのは巨大な魔術結社であるが、犯罪組織でもある『アカシャの塔』の手によるものだと察した。
『アカシャの塔』はこの世界各地に暗躍しており、本部と支部で完全に別れている。そんな『アカシャの塔』の帝国支部を管轄している魔術師が『嘆きの亡霊』の錬金術師でクライの幼馴染にしてリィズの妹であるシトリーが潜入しているからだ。
他の誰かに聞かれた時などにしらばっくれられるように支部の場所は聞いていない。軽くどういう魔術の研究をしているかは聞いていたりするが……。
そして、これからの方針などを決めるためにクライは自分が所有する中でも制御が難しいし、負担も大きいが幾多もの未来、その可能性を視られる【未来の視界】を使った。
「エヴァ、悪いけど今、クランハウスにいる全メンバーに話があるから、ラウンジに招集欠けてくれる?」
「っ、分かりました」
基本、【始まりの足跡】においては自由行動を良しとしている。所属するパーティーにソロの者達に命令を下したりする事は無い。最低限のルールの順守を求めたり、会費の徴収などそうした事はあるが……。
本当に重要な事などにおいてはクライが指示を出し、それに従う事というのも最低限のルールの一つだ。
エヴァに頼むと顔を引き締めながらエヴァはクランハウス内を走った。
そうして……。
「さて、皆……北の街道が封鎖された事は聞いているよね?」
クライは集まった者達にそう呼びかける。クライの提案の後、探協のガーク支部長は早々に帝国に呼びかけたようで北の街道が封鎖されたのだ。
それに対し、皆が頷く。
「あれは【白狼の巣】が原因だ。僕にティノも其処に行ったけど、あそこはレベル3より上で僕たちが行った時はレベル6くらいのボスモンスターもいたよ」
『……』
クライからの言葉に皆が硬い表情を浮かべた。
「今、ガークさん達が地質調査をしているけど、僕が探った感じは人為的なものを感じた。もっと厄介なのが控えていると思う。だから、ガークさんから事前に聞いたけど呼び出しがかかるから、皆、それに応じれるように調整しておいてね」
「それはつまり、うちは全員参加って事ですか?」
「そうなるね、まあ詳しい事は呼び出しがあってからだよ……まだ推測だから詳しくは言えないけどアークがいたら間違いなく、彼も動くように頼んでいた」
とある者の質問にクライは答え、レベル7のアークを使うという事でそれほどの異変なのかと更に皆が緊張する。
「あはっ、クライちゃんが言うなら本当に【白狼の巣】はやばいものが潜んでいるんだろうね」
リィズは嬉しそうに言った。
「まぁね……ともかく今のうちに皆、調整と準備をしておく事。良いね?」
クライの言葉に皆は頷いた。
「スヴェン、話があるから来てくれる?」
クライは濃い緑がかった黒髪で背丈はクライと同じくらいだが、鍛え抜かれた肉体を有する凄腕の
彼は【
「あいよ、クランマスター」
このクラン内ではクライに『嘆きの亡霊』と長い付き合いでもあるのですぐにクライの呼び出しに応じた。そうして個人間での話が出来る場所へと共に向かい、クライは『アカシャの塔』が関わっている事、【白狼の巣】で何をしているかをある程度、話した。
「とんでもねぇな……」
「そうだね。ともかく本番が始まる前に圧力かけておいて」
スヴェンのパーティに先行させ、しばらく【白狼の巣】周辺に潜む『アカシャの塔』に対し【白狼の巣】自体もそうだがゆっくり、周囲を探ったり、野営地を設けての待機をするなどして軽い包囲染みた物を頼んだ。
「了解だ、クランマスター」
クライの頼みにスヴェンは頷く。
そうして次にクライは三階の錬金術師用の研究室に行き……。
「じゃあ、タリア……悪いけど薬の製薬手伝って」
「は、はいマスター……」
クライは【始まりの足跡】内においてシトリーと同じ錬金術師で赤い髪を三つ編みにし、赤い目に縁の太い眼鏡をかけた容姿は良いが、内気そうな女性でレベル3の錬金術師であるタリア・ウィドマンに薬の製薬を手伝ってもらい始めた。
クライもシトリーと一緒に錬金術の勉強をしているのでかなり知識が豊富でその技術も高い。
「す、凄い……」
タリアはシトリーと一緒に研究に励んでいるので彼女の実力を知っているがクライの実力は知らなかった。なのでとある薬を製薬し始める彼の様子を見てその実力の高さに賞賛の声を出したのであった……。