死ぬ覚悟で幻想郷を回ってみた   作:サナミ

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待たせたな(待ってない)

てな訳で書きたいように書きました。

幻想郷行きたいですね


人里編
人里編その1


俺の名前は◯◯。現実世界ではしがない高校生だった。一つ特徴を挙げるとするならば、クラスで唯一、東方projectに興味があるという事だ。

 

そんな私がなぜこんなことを言っているのかというと、自分が今幻想郷にいるからである。

 

原因はもちろんあのスキマ妖怪、八雲紫の仕業である。理由は自分に特別な力があるからとか、八雲の血縁云々ではなく、ただ単純に

 

「良かれと思って♡」

 

という半ばありがた迷惑なものだった。

いや、半ばというより99%迷惑である。幻想郷に連れて行ってくれたことは感謝すれど、問題なのは現実世界での俺へのフォローがないという事だ。

 

つまり例え現実世界に帰れたとしても、元の生活に戻れる保障がないということである。

幻想郷は少女達が空を飛び、弾幕やらを飛ばすような世界である。ひょっとしたら自分も、と先程ダメ元でやってみたが弾幕を飛ばすことは勿論、空を飛ぶことすら出来なかった。つまり、自分は彼女らの舞台には立てないということである。

弾幕を使って少女達とのハーレム展開を夢見ていた俺の期待はそれであっけなく崩れ去ったのだ。

 

しかし、ここで諦めるわけにはいかない。仮にも東方が好きでここに来た身である。一目でも、一声でもいいから会いたい、聞きたいと思うのは当然のことである。だから自分は

 

死ぬ覚悟で幻想郷を回ってみることにする。

 

今俺がいるところは人里である。時刻は未の刻、つまり2時過ぎ。昼食を食べてないので近くの甘味処で食事をとることにした。

 

「いらっしゃいませ。一名様ですね。こちらの席にどうぞ」

 

どうやら、外来人を見かけても慣れているのだろうか、手際よく席にたどり着くことができた。流石はおやつ時、店内は人で溢れている。お一人様だからこそできることである。

 

お品書きにはみたらし、きな粉、そばがきといった如何にも物から、アイスクリームからパフェなど、現代の物まである。

俺は金銭的理由半分、好奇心半分でそばがきを注文し、ひと段落ついたところで店内を見渡してみた。

外来人に対しての抵抗がないと言えどやはり外来人は外来人、学ラン姿の俺はやはりこの場には似つかわしくないオーラを放っているらしい。

仕方なしに暇をつぶすためにもう一度お品書きを隅から隅まで見ていると上の方から女性の声がした。

 

「相席、よろしいか?」

 

顔を上げると、そこには銀髪ロング、独特な帽子の若い女性が立っていた。

 

「ええ、どうぞ」

「すまない」

 

女性は一つ返事をすると自分の前の席に腰を下ろした。間違いない。彼女こそ、人間の里の代表的存在、上白沢慧音その人である。

想定外の事態に多少慌ててしまったが、ここで変にモジモジしていると気味悪がられるし、開き直って「俺、慧音先生のファンなんです‼︎」なんて言えば当人の困惑と周りに注意を引きつけてしまう。どうしたものかと血眼で考えていると嬉しいことに相手から俺に尋ねてきた。

 

「その姿……君は外の世界の学生なのか?」

「あ、はい!ついさっきまで普通の高校生をしていたものです」

 

多少ドモってしまったが、若干人見知りの気がある自分としては合格点だろう。この後死ぬ気であってみるのだからこの後の成長に期待していただきたい。因みに、返事の最初に「あっ」をつける人は人見知りの気がある危険性が高いので、自覚したら直してみよう(他人事)

 

「そうなのか。君も災難だな。これからは大丈夫なのか?」

「いえ、僕は八雲紫に拉致されてここに来たのですが、

 

「良かれと思って♡」

 

と言って茶を濁されて消えてしまって……」

「…本当に災難だな。良ければ、私の家に下宿させてあげても良いのだが……」

「私の家は寺子屋でな。昼間は子供達が使ってしまうから……」

「大丈夫です。一応これでも高校生の端くれですし、授業を教えることができるかもです」

「本当にいいのか?子供達は馬鹿みたいにうるさいぞ」

「お願いします‼︎」

 

速報。俺氏、美少女と同棲。クリスマス、バレンタインの実施が約束されました。

 

というのは冗談だが、住む場所が無いと夜には妖怪に食い殺されてしまう。夜だけに(激寒

無論夢を果たせぬまま死ぬわけにはいかない。

 

「なら、了承した。遅ればせながら自己紹介をしよう。私の名は上白沢慧音。この里で子供達に勉強を教えている」

「お、僕の名前は○○と言います。少しの間、よろしくお願いします」

「ああ、よろしく。それと、事のついでだ。ここは私に奢らせて貰おう」

「そんな、大丈夫ですよ。お金なら……ほら持ってます」

「そんなことは気にするな。それと、年上の親切は受け取っておくものだぞ」

「それじゃあ、遠慮なく……」

 

こうして都合よくことが運ぶと同時に、注文していたそばがきが目の前に運ばれてきた。

 

「そばがきなんて頼んでたのか。君くらいの年だとてっきりパフェでも頼んでいたのかと思った」

「古典の宇治拾遺物語のやつにあったのが気になったので」

「成る程。しかし本当に味気ないぞ?他のも注文して構わないぞ?」

 

「お待たせしました。隠れメニューマヨ金時です」

「あの……慧音先生、これは」

「隠れメニューだ。うまいぞ」

 

話しているうちに慧音の前に置かれたのは、某侍が好きそうな高カロリーの化け物であった。正直、もこたんのストーカー以外はマトモな人だと思っていたせいか、うまく返す言葉も見当たらない。

 

 

「ご馳走さまです、先生」

「先生か。別に君は私の生徒ではないのだからいいのだぞ?」

「いや、なんというか……そっちの方がしっくりくるので。あ、寺子屋の子供達って今何を習っているのですが?」

「えーと確か……国語は源氏物語、算数は二次関数、歴史は、世界史が中世。もう一つの歴史は第40季、つまり300年前の幻想郷の所だな。

なら、君には算数、できれば国語の補助をしてほしい。できるか?」

「ええ、学習範囲内です。算数、こっちの数学では積分の簡易計算までは出来ますので」

「そうか。そっちの世界は、ゆとり?という奴で学習速度が遅いと聞いていたから少し不安だったが……それなら良かった」

 

大丈夫とは言ったものの、国語に至ってはスマホが使えない以上は現代語訳をすると言うのはいささか難しいのかもしれない。一応は補助だから、本格的に教えるとまでいかないから良しとするが。

 

「今日はどうする?初めてだから、今回は参加しなくてもいいが」

「そうですね……一応見学ということでお願いします」

「わかった。あと10分くらいで授業が始まる。科目は算数だ」

「わかりました」

 

寺子屋というのは、チャイムなんてものは存在しない。だから、みんな自主的に教室に足を運ぶのだ。今からしてみれば、そんなことをするのは受験に向けて必死に勉強する、所謂ガチ勢という奴ばらだけだろう。

ちなみに、チャイムが導入されたのは日露戦争付近らしい。

 

そして授業が始まった。俺は生徒の後ろの隅で授業を聞くことになった。どうやら微分の導入のところであった。

 

「……であるから、この式はこうなる」

いつもながら退屈を刻むチョークの音が、今日に限っては真逆の意味を持っていた。

慧音先生の解説が終わると、先生の出した問題をみな自主的に解いていく。出来たら先生の所で採点、分からなければ聞くという半ば学習塾のようなところだった。

子供達の年は、だいたい小学校低学年から高学年と、現実世界とやっていることとは桁違いの高度なことをしている。

俺も、一応解けるので慧音先生に促されてこっちの方に採点を求める子達もいた。

みな生き生きとしていた。少なくともこの日は。

 

慧音先生の授業が終わったのはあれから2時間後の申の刻。1日の終わりを一家団欒で過ごすのだろう、みんな勢い良く寺子屋を飛び出すと教室はもぬけの殻となった。

 

「お疲れ様。どうだったか?子供達の相手は」

 

個人的に言えば子供と言うのは苦手である。デリカシーを弁える子に関しては扱いやすいがそうでない子に至っては言わずもがな。そして不幸なことに自分が会ってきた大多数は後者の子達である。

しかし、この世界の子供達はいい意味で純粋だ。

 

「はい、子供達が真剣に授業に挑んでる姿を見て感動しました。コッチだとそういうのは馬鹿にされるか距離を置かれるかの二択ですから」

「そうか、残念なことだな。こんなに楽しいことはないのに」

 

かく言う自分もその一人。勉強をしているよりは、ゲームやらパソコンでネットサーフィンをしたりしていた方が楽しいに決まっている。むしろ、娯楽というものが少ない幻想郷だからこその現象なのだろう。

 

「よし、授業も終わったことだし、私達もそろそろ夕飯の支度をしなければな。○○君、出来ればこの教室の掃除を頼みたい」

「任せてください!」

 

とは言っても、教室はあまり汚れてはおらず、15分程度の掃除で終わった。

俺は掃除をせっせと終わらせて、伸びをしていると玄関の方から女の声がした。

 

「おーい、慧音〜!筍取ってきたからあげるぞ〜」

 

ん?筍?つまり玄関にいる女性は……

 

「おお、妹紅‼︎久しぶりだな‼︎」

「久しぶりって、二日前に会ったばかりなんだが……」

「ちょうど今から夕飯の支度に取り掛かろうとしていたところだ!三人で鍋にでもしよう‼︎」

「三人?他に誰かいるのか?」

 

俺は、待ってましたと言わんばかりに廊下に出ると妹紅に向かって一つお辞儀をして軽い自己紹介をした。第一印象というものは大事だ。

 

「どうも、私の名前は藤原妹紅。妹紅でいい。迷いの竹林というところで住んでいる。それにしても慧音、珍しいな。外来人を泊めるなんて」

「まぁここに来た原因が可哀想なんでな。それに、彼はなんだか一緒にいても悪くないと思えてな」

「へぇ。まぁ、私も長い間他人と関わるのは苦手なんだが、アンタとはそう感じなさそうだ」

 

いきなりの告白に俺は顔を赤らめた。ひょっとして、八雲紫の仕業なのだろうか。

 

そのあと俺は慧音先生、妹紅ともに食卓を囲んだ。母親以外で異性とともに食べる食事と言うのは今まで無かったから、なかなか食事が進まない。他人の家に居候している身であるからなのか。

 

「あははは‼︎そりゃ気の毒なこった‼︎それで、アンタはこれからどうするんだ?ここで暮らすか、それとも元の世界に帰るか……」

「そうですね、元の世界、もといた場所に戻れるのならそうしたいですが、もう少し、ここにいたいなって言うのが俺の見解です」

「ふーん」

「勿論、ここで長居するつもりはないですので、直ぐにでも仕事を見つけて家を借りるようにはしたいなと思ってます」

「別にそんな焦らなくてもいいぞ。幾らでもここにいて構わない。勉強を見てくれるからな」

「恐縮です」

 

ふと、妹紅をみると何やら周囲を見回している。

 

「妹紅さん、どうしたんですか?」

「ん?あぁ、何か泣き声が聞こえるんでね」

「泣き声?」

 

三人は耳を澄まして辺りの音を聞いた。

確かに泣き声が聞こえる。そう遠くない、場所は隣の教室の方だ。

 

「聞こえないが、気のせいじゃないか?」

「いや、俺は聞こえますよ」

「そうなのか?」

「多分、隣の教室かも」

「ちょっと行ってくる」

「一緒に行きます」

「おおい!ちょっと!」

 

慧音先生の制止を振り切り、俺と妹紅は音のする方へと向かった。

 

 

 

 




全編通して一話完結になる確率は、犬が猫を生む確率より低いです。

ですので気長に待っててくだちい
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