今回の小説は東方の二次創作アニメをモデルにした小説です。
昔にニコニコやYoutubeで見た話の流れやつを参考にしています。
ですが、全部の話の流れや会話や展開を理解していないのでこそは私の想像で書いてます。
キャラ設定や能力の崩壊を起こす可能性があるのでキャラに愛がある方、想像と違ったらすみません。
よろしくお願いいたします。
ps,私はチルノ推しです。
目を覚ました。
――という表現が正しいのかは、正直なところ分からない。
そもそも、眠っていたという感覚がなかった。
最後に覚えているのは、いつも通りの日常だった。
仕事を終えて、家に帰って、適当に飯を食べて、スマホを眺めていた。
特別なことなんて何もない。
事故に遭ったわけでもないし、病気で倒れたわけでもない。誰かに襲われた記憶もなければ、神様とやらに呼び出された覚えもない。
だからこそ、目を開けた瞬間に広がっていた光景を理解することができなかった。
「……どこだ、ここ」
身体を起こす。
まず目に入ったのは、空だった。
青い。
雲一つないというほどではないが、少なくとも自分が最後に見たはずの天井とは比べ物にならないほど広い。
そして、視線を下へ落とす。
草。
土。
木。
どこを見ても、そればかりだった。
「……森?」
呟いてから、ゆっくりと周囲を見渡す。
自分を囲むように木々が立ち並び、その隙間から差し込んだ日の光が地面を照らしている。
風が吹けば葉が揺れ、遠くから聞こえてくるのは鳥の声と、名前も知らない虫の鳴き声。
都会で暮らしていた自分にとっては、あまりにも馴染みのない場所だった。
「いや、待て」
おかしい。
何かがおかしい。
そう思ったところで、ようやく自分の置かれている状況が普通ではないことを実感した。
俺は、どうしてここにいる?
「……昨日、何してたっけ」
記憶を辿る。
仕事をしていた。
帰宅した。
夕飯を食べた。
その後は――。
「……そこから先がない」
頭を掻く。
どうやら本当に何も思い出せないらしい。
寝落ちした?
いや、それなら自分の部屋にいるはずだ。
夢でも見ている?
頬を抓る。
「痛っ」
少なくとも、夢にしては随分と現実的な痛みだった。
立ち上がってみる。
身体に怪我はない。
服も昨日まで着ていたものと同じだ。
財布を探す。
ない。
スマホを探す。
ない。
鍵もない。
「……詰んだな」
思わず口からそんな言葉が漏れた。
ここがどこなのかも分からない。
連絡手段もない。
人がいるかどうかすら分からない。
それでも、ここでじっとしているわけにもいかない。
とりあえず人を探す。
それしかなかった。
そう決めて歩き始めてから、どれくらい経っただろう。
森の中は思っていた以上に広かった。
同じような木々が延々と続き、目印になるものもない。何度か道を変えてみたものの、景色が変わる気配は一向にない。
「……広すぎだろ」
愚痴を零しながら、それでも足は止めない。
そして、ふと気付いた。
「……あれ?」
疲れていない。
最初は気のせいだと思った。
だが、そうではない。
喉は渇いている。
腹も減っている。
それなのに、足だけはまるで問題がない。
長時間歩き続けているはずなのに、息が上がっていないどころか、足に疲労らしい疲労を感じない。
「なんだ、これ」
試しに少しだけ走ってみる。
最初は軽く。
次第に速度を上げる。
木々の間を縫うように走り、少し急な坂道を駆け上がっていく。
普通なら息が切れる。
少なくとも運動不足の自分なら、数分もすれば立ち止まっているはずだった。
ところが。
「……まだ走れる」
さらに速度を上げる。
それでも苦しくならない。
心臓は動いている。
呼吸もしている。
なのに、疲れない。
足が重くなることもなければ、肺が苦しくなることもない。
「……何時間でもいけそうだな」
冗談半分に呟いてみる。
もちろん、そんなわけがないと思っていた。
けれど、その後さらに走り続けても、結果は変わらなかった。
結局、疲労を感じ始めるより先に腹の減りの方が限界を迎え、俺はようやく足を止めた。
「……俺の身体、どうなってんだ?」
その答えは当然、返ってこない。
ただ一つ分かったことがある。
どうやら俺には、何かしら普通ではないものがあるらしい。
それが何なのかは分からない。
便利なのかどうかすら怪しい。
少なくとも、腹が減らなくなる能力ではなかった。
「……能力って言っていいのか、これ」
異常な身体能力。
そう考えるしかなかった。
そして、そのときだった。
森の向こうに、何かが見えた。
「……あれ?」
木々の隙間。
遠くに、赤いものが立っている。
目を凝らす。
鳥居だった。
「鳥居……?」
こんな森の中に?
疑問に思いながらも、他に人がいる可能性を考えれば行ってみるしかない。
疲れない身体に任せて歩き続ける。
少しずつ、その姿が大きくなっていく。
赤い柱。
白い紙垂。
そして、その先に続く階段。
「……神社?」
階段を上る。
一段。
また一段。
普通ならここまで歩き続けた時点で息を整えたくなるところだが、やはり身体は何ともない。
むしろ、妙なほど軽かった。
そうして階段を上りきった先にあったのは、一軒の神社だった。
「……嘘だろ」
見覚えがある。
もちろん、現実に見たことがあるわけではない。
画面越しに何度も見た場所。
東方Project。
幻想郷。
そして、その幻想郷の中でも特に有名な場所。
「博麗神社……?」
口に出した瞬間、自分でも馬鹿らしくなった。
そんなわけがない。
ここが幻想郷?
そんなことが現実にあるはずがない。
そもそも幻想郷なんて、ゲームや漫画の中に存在する世界だ。
現実に存在するわけがない。
「……じゃあ、なんであるんだよ」
答えはない。
神社の境内には人の気配がない。
静かだ。
あまりにも静かで、逆に不気味なくらいだった。
恐る恐る境内へ足を踏み入れる。
そのとき――。
「……何してるの?」
「っ!」
突然、背後から声がした。
慌てて振り返る。
そこにいたのは、一人の少女だった。
黒髪。
赤と白を基調とした巫女装束。
腰まで届く長い髪に、大きな赤いリボン。
そして、何よりもその姿には見覚えがあった。
「…………」
言葉が出ない。
少女も怪訝そうな顔をしてこちらを見ている。
「聞いてるんだけど」
「……えっと」
頭の中が真っ白になる。
知っている。
この少女を、俺は知っている。
何度も見た。
ゲームでも、漫画でも、二次創作でも。
幻想郷の巫女。
博麗神社の巫女。
そして――。
「……博麗、霊夢?」
「……なんで私の名前を知ってるの?」
しまった。
思わず口に出してしまった。
霊夢の目が細くなる。
当然だ。
初対面の人間が、いきなり自分の名前を知っていたら警戒するに決まっている。
「いや、その……」
「外来人?」
「……たぶん」
「たぶん?」
「自分でも何が何だか分からなくて」
正直に話す。
森で目を覚ましたこと。
ここへ来るまで人に会っていないこと。
そして、自分がどうしてここにいるのか分からないこと。
霊夢は黙って俺の話を聞いていた。
やがて、小さく息を吐く。
「……面倒なのが来たわね」
「やっぱり帰れない?」
「帰れるかどうかは私にも分からないわよ」
あっさり言われてしまった。
「そもそも、どうやって幻想郷に来たの?」
「それが分からないんだよ」
「そう」
霊夢はそれ以上追及しなかった。
代わりに、少しだけ考えるように顎へ手を当てる。
「人里に行きたいなら、案内するわ」
「いいのか?」
「放っておいて妖怪に食べられたら、後味が悪いもの」
「……それ、俺が妖怪に食われる前提じゃない?」
「幻想郷なんだから、可能性はあるでしょ」
「怖いことを普通の顔で言うなよ……」
霊夢が少しだけ笑った。
その表情を見て、ようやく少しだけ緊張が解ける。
ここがどこなのか。
どうして自分がここにいるのか。
これからどうなるのか。
何一つ分からない。
それでも、少なくとも一人ではなくなった。
霊夢の後ろを歩きながら、俺はもう一度だけ博麗神社を振り返る。
見慣れた世界の、その入り口。
画面の向こう側にしか存在しないと思っていた場所。
それが今は、確かに自分の目の前にある。
「……本当に、幻想郷なんだな」
小さく呟く。
その言葉が風に乗って消えていく。
そして俺はまだ知らない。
この世界では、弾幕を撃てることが当たり前だということを。
自分には、それができないということを。
――そして。
この先で出会う者たちとの日々が、自分の人生を大きく変えていくことを。
このときの俺は、まだ何も知らなかった。
読んでいただきありがとうございます!
これからどんどん展開させて行きたいと思いますのでよろしくお願いいたします。