幻想郷に転生した俺は、弾幕を撃てない   作:みみみのおじさん

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今回は魔理沙編でございますー


第10話 紅魔館の魔法使い

霊夢と別れた魔理沙は、紅魔館の廊下を一人で進んでいた。

 館の中は広い。

 同じような廊下がいくつも続き、階段を上がるたびに新しい通路が現れる。

「……広すぎるぜ」

 魔理沙は辺りを見回す。

 異変の原因を探しているはずなのに、すでに自分がどこにいるのか分からなくなりそうだった。

「まあ、いいか」

 魔理沙は箒を肩に担ぐ。

「そのうち見つかるだろ」

 目的はあくまで異変の解決。

 だが、それとは別に――。

「これだけ大きな館なら、面白い魔法の一つくらいありそうだな」

 魔理沙は楽しそうに笑った。

 そのまま廊下を進んでいく。

 しばらくすると、前方に大きな扉が見えてきた。

 他の部屋とは明らかに違う。

 扉の隙間から、紙とインクの匂いが漂ってくる。

「……本の匂い?」

 魔理沙は目を輝かせる。

「まさか――」

 扉を開けた。

「お邪魔するぜ!」

 その瞬間。

 目の前に広がった光景に、魔理沙は思わず足を止めた。

「……おお」

 壁一面の本棚。

 天井まで届くほど高く積まれた本。

 床にも大量の本が置かれている。

 その中央には大きな机があり、そこにも何冊もの本が開かれていた。

「こりゃすごいな……」

「勝手に入らないでもらえるかしら」

「!」

 部屋の奥から声がした。

 魔理沙が振り向く。

 そこには一人の少女がいた。

 紫色の髪。

 紫を基調とした服。

 手には一冊の本。

 魔理沙を見つめる表情は、いかにも迷惑そうだった。

「誰だ?」

「こちらが聞きたいわ」

 少女は本を閉じる。

「人の図書館へ勝手に入ってきて、何をしているの?」

「図書館なのか?」

「私の図書館よ」

「じゃあ、やっぱり図書館じゃないか」

「……」

 少女が少しだけ眉を寄せる。

「あなた、随分とうるさい人ね」

「そうか?」

「そうよ」

 少女は立ち上がった。

「私はパチュリー・ノーレッジ」

「魔理沙だ」

「知っているわ」

「お、私も有名になったもんだな」

「侵入者としてだけど」

「それでも有名は有名だぜ」

 パチュリーは小さくため息を吐いた。

「あなたも、この霧の原因を探しに来たのでしょう?」

「その通り」

「なら、ここから先へは行かせないわ」

「それは困るな」

 魔理沙が帽子を被り直す。

「だったら、力ずくで通るぜ」

 箒を構える。

 パチュリーも本を開いた。

「人間の魔法使いが、私に勝てると思っているの?」

「やってみなきゃ分からないだろ?」

 魔理沙が笑う。

「それに――」

 魔力が集まり始める。

「弾幕はパワーだぜ!」

「……随分と単純ね」

 パチュリーの周囲に魔力が集まる。

 次の瞬間。

 大量の光弾が放たれた。

「おっと!」

 魔理沙が飛び上がる。

 弾幕が本棚の間を縫うように飛び交う。

「へえ!」

 魔理沙は楽しそうに笑った。

「なかなかやるじゃないか!」

「余裕を言っていられるのも今のうちよ」

 パチュリーが手をかざす。

 赤い魔力が集まった。

 次の瞬間、炎の弾幕が一気に広がる。

「火か!」

 魔理沙が横へ飛ぶ。

 炎が本棚の間を通り抜ける。

 魔理沙が反撃する。

「なら、こっちだ!」

 星型の弾幕が飛んでいく。

 パチュリーは手を動かした。

 今度は青白い光。

 大量の氷が魔理沙の進路を塞ぐ。

「おっと!」

 魔理沙は箒を急旋回させる。

「属性まで変えてくるのか!」

「一つの魔法しか使えないと思った?」

 パチュリーの周囲に、異なる色の魔力が集まっていく。

「火、水、木、金、土」

「なるほどな」

 魔理沙の目が輝く。

「面白いじゃないか!」

 魔理沙が一気に速度を上げる。

 弾幕の隙間を縫いながら、パチュリーへ接近する。

「近づかせないわ」

 パチュリーが魔法を放つ。

 しかし魔理沙は、それを紙一重で避けた。

「遅い!」

 魔理沙がさらに距離を詰める。

 その瞬間。

 足元から氷の柱が突き出した。

「うわっ!」

 魔理沙が咄嗟に箒を傾ける。

 氷が身体を掠めた。

「危ねぇ……!」

「勢いだけで動くからよ」

「それはどうかな!」

 魔理沙はそのまま上昇する。

 パチュリーが見上げた。

「何を――」

「こっちの番だぜ!」

 魔理沙の周囲に、大量の光が集まる。

 パチュリーの表情が変わった。

「……その魔力は」

「いくぜ!」

 巨大な光が一気に膨れ上がる。

「恋符――」

 パチュリーが魔法障壁を展開する。

「待ちなさい!」

「マスタースパーク!」

 轟音。

 巨大な光線が図書館を横切った。

 パチュリーは咄嗟に何重もの障壁を展開する。

 一枚。

 二枚。

 三枚。

 光線が障壁を次々と砕いていく。

「ぐっ……!」

 最後の障壁が砕けた。

 パチュリーの身体が大きく吹き飛ばされる。

 床に倒れた本が宙へ舞う。

 やがて、光が消えた。

「……どうだ!」

 魔理沙が着地する。

 パチュリーは床に手をつき、ゆっくりと立ち上がった。

「……やっぱり、厄介ね」

「そりゃどうも」

 魔理沙は笑う。

「まだやるか?」

「いいえ」

 パチュリーは本を拾い上げる。

「これ以上やれば、本が傷むわ」

「そっちの心配かよ」

「当然でしょう」

 パチュリーは本棚を見回す。

「あなたに付き合って、図書館まで壊されたらたまらないもの」

「じゃあ、通っていいんだな?」

「ええ」

 魔理沙が扉へ向かう。

 だが、そこで足を止めた。

「なあ」

「何?」

「この霧を出してるのは、やっぱりレミリアなのか?」

 パチュリーは少し黙った。

「……そうね」

「やっぱりか」

「ただし」

 パチュリーが魔理沙を見る。

「あなたたちが考えているほど、単純な話ではないわ」

「どういう意味だ?」

「それは本人に聞けばいいでしょう」

「……なるほどな」

 魔理沙は帽子のつばを上げる。

「じゃあ、直接聞いてみるぜ」

 扉を開ける。

「邪魔したな!」

「二度と本を勝手に触らないで」

「善処するぜ!」

 扉が閉まる。

 静かになった図書館で、パチュリーは小さく息を吐いた。

「……博麗の巫女に、あの魔法使い」

 パチュリーは机へ戻り、開いていた本へ目を落とす。

「今年の幻想郷は、随分と騒がしいわね」

 その頃。

 魔理沙は再び廊下を進んでいた。

「さて……」

 帽子を被り直す。

「いよいよ、親玉とご対面だな」

 紅い霧の向こう。

 この異変を起こした吸血鬼が待っている。

 そして魔理沙は、まだ知らない。

 同じ館の中で、霊夢とは別の道を進んでいる者たちがいることを。

 その中に、見慣れない少年と一人の妖精がいることを。

 紅魔館の異変は、少しずつ一つの場所へ集まり始めていた。




読んで頂きありがとうございます!
いやー出ましたねマスタースパーク
結構好きなんですよ!
勢いといい掛け声といい。ザ・必殺技って感じで!
共感してくれる方は多いいと思います!
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