幻想郷に転生した俺は、弾幕を撃てない   作:みみみのおじさん

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少しおかしな季節


第20話 春にならない幻想郷

 紅魔館を出た悠とチルノは、ニトリの工房へ向かって歩いていた。

 数ヶ月ぶりに顔を合わせた二人は、互いの修行について話しながら歩いている。

「それで、チルノはどんな修行をしてたんだ?」

「いろいろだよ」

 チルノは少し得意げに笑う。

「氷の扱い方とか、剣の使い方とか」

「剣?」

「うん。【アイシクルソード】っていうの」

 チルノが手を前に出す。

 すると、冷気が集まり、一本の氷の剣が形作られた。

「おお……」

 悠は思わず足を止める。

「すごいな」

「でしょ?」

 チルノは嬉しそうに剣を振る。

 しかし――。

 ふと、悠の頬に冷たいものが触れた。

「……ん?」

 悠が空を見上げる。

 白い雪が、ゆっくりと降ってきていた。

「雪……?」

「そうだよ」

 チルノが答える。

「いや、それは見れば分かるけど……」

 悠は周囲を見渡した。

 地面には、少しずつ雪が積もり始めている。

「今って春だよな?」

「うん」

「なのに雪?」

 悠は首を傾げる。

 幻想郷に来てから、まだ一年も経っていない。

 そのため、幻想郷の季節については知らないことも多い。

「幻想郷の冬って、こんなに長いのか?」

 悠がチルノへ尋ねる。

「ううん」

 チルノは空を見上げる。

「こんなに長いのは、あたいも初めて」

「やっぱりおかしいのか」

「うん。もう春になってるはずだよ」

 チルノは雪を手のひらに乗せる。

「いつもなら、この頃にはもっと暖かくなってる」

「桜も?」

「咲く頃だね」

 悠は黙って空を見る。

 雪は止まるどころか、少しずつ強くなっていた。

 春になるはずの季節。

 それなのに、冬の景色が続いている。

「……変だな」

「うん」

 二人の間に、少しだけ沈黙が流れる。

 だが、悠はすぐに歩き出した。

「とりあえずニトリのところへ戻ろう」

「そうだね」

 チルノも後を追う。

「ニトリなら何か知ってるかもしれないし」

「うん」

 二人は工房へ向かって歩いていく。

 しかし――。

 この時、幻想郷のあちこちで同じ異変が起きていた。

 いつまで経っても春が来ない。

 桜が咲かない。

 雪が降り続ける。

 そして、その異変にいち早く気づいた者がいた。

 一方その頃――。

 博麗神社。

「なあ、霊夢」

 魔理沙が神社の中で口を開く。

「何?」

 霊夢はこたつに入りながら、のんびりとお茶を飲んでいる。

「もう春だぜ?」

「そうね」

「なのに雪が降ってる」

「そうね」

「……おかしいと思わないのか?」

 魔理沙が窓の外を指差す。

 外では、雪が静かに降り続いている。

「これはどう考えても異変だぜ」

 霊夢は窓の外を見る。

「また異変ね」

「またって……」

「でも、まだ何も起きてないじゃない」

「春が来ないっていうのが、もう十分おかしいだろ」

 魔理沙は呆れたようにため息をつく。

「このままじゃ、いつまで経っても冬のままだぜ」

「じゃあ、魔理沙が調べてくれば?」

「……」

 魔理沙は霊夢を見る。

「お前も来るんだぜ」

「私はいいわ」

「なんでだよ」

「寒いもの」

 霊夢はこたつにさらに身体を入れる。

「私はここにいるから」

「おい、霊夢!」

 魔理沙は呆れながら帽子を被り直す。

「……ったく」

 そして、そのまま神社の外へ出ていく。

「こうなったら私一人で調べてやるぜ」

 魔理沙は箒に跨る。

「春が来ない原因がどこにあるのか、突き止めてやる」

 箒が浮かび上がる。

 魔理沙は雪が降り続ける空へ飛び立った。

 春を奪った何者かを探すために。

 そして――。

 この異変が、幻想郷の外れだけではなく、さらに遠い場所へと繋がっていることを知ることになる。

 




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魔理沙はひとりで長い冬の調査へ
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