使うタイミングは限られそうですが強力ですね
魔理沙は箒を走らせながら、ニトリの工房へ向かっていた。
「……霊夢に報告するか」
今回の異変について分かったことを伝えるため、一度神社へ戻ろうとした。
しかし、しばらく飛んだところで魔理沙はため息をつく。
「いや……やめとくか」
頭の中に、こたつから出ようとしない霊夢の姿が浮かぶ。
「やる気のないやつを連れていっても意味ないぜ」
魔理沙は進路を変える。
「だったら、最初からやる気のある奴を連れていった方がいい」
向かう先は決まった。
ニトリの工房。
そこには、今回の異変を知らない悠とチルノがいる。
「二人なら協力してくれるはずだぜ」
魔理沙はそのまま工房へ向かった。
一方、ニトリの工房では――。
「よし……」
悠はショットガンのマガジンを装填し、構える。
工房の奥に置かれた的へ狙いを定める。
バシュッ!
複数の弾幕が一気に広がり、的へと飛んでいく。
「だいぶ慣れてきたね」
ニトリが感心したように言う。
「ああ。でも、まだ完全には使いこなせてない」
悠はショットガンを下ろす。
「もう少し練習しておきたいな」
「十分形になってきてると思うよ」
ニトリが笑う。
「それに、実戦で使うなら弾も必要でしょ?」
「弾?」
悠が振り返る。
「うん」
ニトリは作業台の上から、いくつかのマガジンを取り出した。
「ショットガン用の弾幕マガジン。作っておいたよ」
「もう作ってくれたのか」
「いつ異変に巻き込まれるか分からないからね」
ニトリはマガジンを悠へ手渡す。
「これ、持っていきなよ」
「助かる」
悠は受け取ったマガジンを確認する。
「これだけあれば大丈夫そうだ」
「使い切ったら補充してあげるよ」
「ありがとう、ニトリ」
その時だった。
「悠ー!」
工房の外からチルノの声が聞こえてくる。
「どうした?」
悠が外へ出る。
「……あれ?」
空から魔理沙が降りてきた。
「よっ、二人とも」
「魔理沙?」
「何かあったの?」
魔理沙は箒から降りると、二人を見る。
「ちょっと話がある」
いつもの軽い口調だったが、その表情は真剣だった。
「今回の異変についてだ」
「異変……」
悠がショットガンを持ち直す。
「やっぱり本当に異変だったのか?」
「ああ」
魔理沙は頷く。
「調べてみたら、春が来ない原因が分かった」
「どこなの?」
チルノが尋ねる。
「冥界だ」
その言葉に、悠とチルノの表情が変わる。
「冥界……?」
「そうだ」
魔理沙は空を見上げる。
「春の気配が、冥界へ集まっている」
「じゃあ、誰かが春を集めてるってこと?」
「その可能性が高い」
悠は少し考える。
「だったら、そこへ行けば原因が分かる」
「そういうことだぜ」
魔理沙は笑う。
「だから、二人にも来てもらいたい」
チルノはすぐに頷いた。
「あたいも行く」
悠もショットガンを手に取る。
「俺も行くよ」
「決まりだな」
魔理沙が箒を持ち上げる。
「冥界までは私が先導する」
ニトリが工房の入り口まで出てくる。
「気をつけてね、三人とも」
「ありがとな、ニトリ」
悠が振り返る。
「帰ってきたら、またショットガンの調整を頼む」
「もちろん」
ニトリは笑って手を振る。
「壊して帰ってきたりしないでよ?」
「努力する」
「そこは絶対に壊さないって言ってよ……」
ニトリが苦笑する。
三人は工房を後にする。
魔理沙が箒に跨り、悠がその後ろへ乗る。
チルノは二人の横へ並ぶように浮かび上がった。
「落ちるなよ、悠」
「分かってる」
「チルノも無理するなよ」
「大丈夫!」
魔理沙が箒を前へ向ける。
「それじゃあ――」
雪が降り続ける空を見上げる。
「冥界へ行くぜ!」
魔理沙の箒が一気に加速する。
悠もその後ろからしっかりと掴まる。
その横を、チルノが飛んでいく。
三人は春の気配が集まる場所――冥界へ向けて、雪の降り続ける幻想郷を飛び抜けていった。
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いざ!春を取り返しに冥界へ