エルフィンド連邦国史〜清廉なエルフの国は、如何にして平和なドワーフの国を焼き払うに至ったか〜 作:サクラモッチー
ドワルシュタイン、社会主義国家になるってよ。
コボルト族、ドワーフ達に迫害される。
ドウラグエル、コボルト族の青年で後の夫となるマッティーアと出会う。
なお、マッティーアはコボルトはコボルトでもキャバリア種らしい。
コボルト族キャバリア種の青年.....マッティーア・フェルゼンは、元々ドワルシュタイン社会主義共和国の軍人として兵役に就いていた。
彼の両親は人間族の国であるアスカニアに暮らしていたものの、そこで激しい迫害に巻き込まれた末に、ドワルシュタインへと逃げ延びていた。
そのドワルシュタインの農村部で生まれた彼は、両親やまだ幼い妹を養うために士官学校へと進学。
そこで数少ないコボルト族の軍人として卒業し、騎兵隊の一員として任務に励んでいた。
....少なくとも、モーリア革命が勃発するまでは。
その結果、ドワルシュタインは王国から社会主義共和国に生まれ変わったのと同時に、国絡みでのコボルト族への迫害が開始されたことに伴い、彼は他のコボルトと同じように強制的に退役させられてしまう。
そして、両親や妹と共に強制的に隔離区画へと送られた彼であったが、そこで強制収容所に関する噂を耳にしてしまう。
その噂とは、強制収容所に収容されたコボルト達はガス室で殺される.....という内容であったがために、それを聞いたマッティーアは危機感を抱き始めていた。
今すぐ逃げなればと思った彼は、すぐさま隠し持っていた愛銃を手にするとは、隔離区画から脱出しようとしている他のコボルトの一団に混じる形にて、家族と共に逃亡を開始した。
しかし、その旅の最中に両親は流行り病によって命を落とし、マッティーアは幼い妹と共にエルフィンドへ向け、北上するという旅路を進んでいた。
エルフィンドへの旅は文字通り、過酷であったがために彼の両親ではなく、軍人時代の友人もまた怪我が原因で亡くなり、旅路の果てに脱落していくコボルト達の数は増えていった。
そんな中、彼は先にエルフィンドに到着していたコボルト経由で事情を聞いた白エルフ....もとい、ドウラグエルから派遣された白エルフや闇エルフ達に保護されたことにより、今現在のマッティーアはエルフィンドの病院にて治療を受けていた。
「うーむ、私自身はコボルトを診察したことが無くてね....」
そう言いつつ、病室にて治療を受けているマッティーアの脈を図る白エルフの医者。
それを聞いたマッティーアは、それはそうだろなと思いながらも完全に安心しきっていたようで、あの時の張り詰めていた顔とは別の意味でエルフに対して緊張するかのような面持ちになっていた。
長い旅で彼の妹を含めた生き残った旅の仲間達もまた、病院にて治療を受けていた。
何なったら、同じ病室に居たのだが.........彼らもまた安心していたのか、エルフの看護師達に対してガッチガチに緊張していた。
ただし、マッティーアの隣のベッドに居た妹の方はそうでもないようで
「お兄ちゃん、まだ緊張してるの?」
白エルフの医者の診察に対し、緊張している自身の兄に対してそんなことを言っていた。
過酷な旅をしていたとは言え、幼い故に彼女の方は割とこの環境に慣れていたのか、余裕のあまりベッドに座った上で足をブラブラしていたのである。
それを聞いた白エルフの医者、そして看護師達はクスッと笑っていたものの、当のマッティーア自身はエルフを初めて見たからか、固まるように緊張していた。
それに加え、彼は感謝の言葉を告げた相手がまさかの実質的なエルフィンドのトップ.......ドウラグエル・ダリンウェンだったがために、彼がそうなるのも無理はなかった。
なお、そのことを知った白エルフ達はまだまだ若いからね〜と温かい目になっていたため、彼は余計に何てことをしたんだと自身の行為を恥じていた。
「いやだって、ここはエルフの国だし.......女ばっかりだったとは思わなかったし.....」
「え、でも良いエルフばっかりだよ?」
「.......」
そんな兄のことなど知らない彼女は、キョトンとした顔でそう言ったところ、マッティーアは更に自身の行動を恥じるばかりであったため、それを見た白エルフの医者はやれやれという顔になっていた。
ちょうどその時、白エルフの医者の下に闇エルフの看護師が現れたのだが......彼女から耳打ちされる形にて、とある事実を知った彼女はそれは本当か?とばかりの顔になっていた。
そして、その数分後に病室に現れたのはそのドウラグエル本人であったため、当然ながらコボルト達は騒ついていた。
軽く騒ついているコボルト達を尻目に、ドウラグエルはディネルースと共にコボルト達に一言ずつ言葉を掛けていたのだが、その言葉を聞いたコボルト達は彼女が自分達のことを気にかけ、わざわざ来てくれたのだと思ったようで、自然と涙を流していた。
マッティーアの妹に至っては、ドウラグエルに抱きついていたがためにハラハラしていたものの、当のドウラグエルとディネルースが微笑んでいたため、彼が安堵したのは言うまでもない。
ただ、マッティーアが相手だと違ったようで......ドウラグエルは彼に向けてこう言った。
「君は....確か、マッティーア・フェルゼンだったな」
「は、はい!!小生はマッティーア・フェルゼンになります!!」
白エルフとは言えども、目上の人物なために元軍人として敬礼をしながらそう言うマッティーア。
その脳裏にはあの時のやってしまった後悔と恥ずかしさが浮かんでいたからか、自然とそう言っていたのである。
しかし、その言葉を聞いたドウラグエルはニコッと微笑むと背をピッと正したかと思えば、そのまま彼に近づくのと同時にこう言った。
「そこまで畏まらなくても良い。
「し、しかし........」
「それに、君もその方が楽で良いだろう?」
「....!!」
ドウラグエルがそう言った瞬間、目を見開くマッティーア。
軍人として軍部に属していた彼にとって、これ程までに風通しの良い存在に会った事が無かったのか、その目が大きく見開いていたのは言うまでもない。
そう思っていたマッティーアを尻目に、彼の妹と戯れていたディネルースはクスッと笑った後、カチンコチンに固まっているマッティーアに向けてこう言った。
「安心しろ、閣下は嘘は言わない上に
「おや、酷いことを言うじゃないか」
ディネルースがそう言った瞬間、良い意味でやれやれという顔になりつつもそう言うドウラグエル。
それを見たマッティーアは、ポカーンとした様子で言葉を失っていた。
そんな彼に対し、ジェスチャーをする形で別のところで話そうとドウラグエルが伝えたため、マッティーアはその言葉に従う形で彼女達と共に病室を後にしたのだった。
マッティーア、我に返って恥じるの巻。
出来れば、この作品にも飯テロを入れたいところ。
だって、原作小説もコミカライズも結構なグルメな描写があるしね仕方ない。
あと、マッティーアの妹ちゃんの名前はエスターです。