エルフィンド連邦国史〜清廉なエルフの国は、如何にして平和なドワーフの国を焼き払うに至ったか〜 作:サクラモッチー
マッティーア、ファーレンス夫妻と交流する。
そして、ネニングでの演習を示唆する。
今回は原作における対抗演習の話をオマージュした回になります。
あと、原作キャラも多く出るかも?
エルフィンド連邦内のネニング平原に、突如として住人の居ない街が出来上がったのはここ最近の話であった。
これは、ドウラグエルの紙の上での戦争を行うには演習が必須だという指示により、ドワルシュタインの街を攻撃する想定で造られたモノ。
つまり、このハリボテの街はドワルシュタインとの戦争の際に起こるであろう戦闘.....対市街地戦を想定した場所だったのである。
そして、演習場があるネニング平原にはエルフィンド軍も集まっており、その中には市街地での戦いを行う可能性が高い陸軍はもちろんのこと、マッティーアが所属する空軍もそこに混じっていた。
と言うのも、エルフィンド空軍にはエルフと同じく魔術通信が出来るコボルト達が多く属しており、彼もその例に漏れずに入隊していたのである。
その空軍の中には、いくつかのエルフィンド空軍飛行師団のうちの一つに属していた。
彼の属している第七飛行師団の団長は黒エルフのフリューゲル・シュパッツ少将、副団長はシープドッグ種コボルトのザント・メーゼ大佐が務めていた。
シュパッツはデュートネ戦争の際、大鷲族と協力する形で通信兵として活躍し、その戦績と実績を買われた末にエルフィンド第七飛行師団のリーダーとして就任していた。
一方、ザント・メーゼ大佐は適切な現場処理能力と判断力に加え、優れた通信技術を持っていたがために副団長の席に着いたのである。
「エルフィンド第七飛行師団!!只今を持って現着致しました!!」
「うむ、ご苦労だったな」
エルフィンド空軍元帥こと、白エルフのクーミルヒー・エンデに対してそう報告するのと同時に、敬礼するシュパッツ。
それに続くように、メーゼやその部下であるマッティーア達も敬礼をしたため、クーミルヒーは全飛行師団が到着したことを確認したのか、そのまま演習の本部へと戻って行った。
そして、その本部ではディネルースを含めた陸軍・空軍の幹部の他、国防総省の長官であるサエルウェン。
それから、エルフィンドの大統領であるドウラグエルの姿もあったため、その本部の天幕内に居たエルフやコボルト達はとてつもなく緊張していた。
「いやしかし、まさかディネルース閣下やサエルウェン長官の他に、参謀本部のカランウェン作戦局長、更にはウィンディミア陸軍元帥が来るとは....」
「大規模な演習だけあって、錚々たる面子ですな.......」
彼女達が言うように、陸空関係なくエルフィンド軍の重鎮達が揃いも揃っているためか、その場に居た軍人達は自然と震え上がっていた。
何故なら、今まさに名前が上がったエルフ達は今までの戦いを生き延びた歴戦の猛者であり、今のエルフィンド軍の礎を作った面々であったからである。
その中でも、特にドウラグエル・サエルウェン・ヴェルディミアの三人のオーラが凄かったらしく、天幕内に居た闇エルフは御三家だ....と言葉を漏らしたとか、漏らしていなかったとか。
とにかく、その場の空気はとてつもなく重苦しいものだったのだが.....それはあくまで他の軍人達の話であった。
何故なら、当の本人達は
「久しぶりだな!!カランウェン!!そっちはどうなのだ?」
「えぇ、お久しぶりです!!ディネルース教官!!」
「教官はよせ、何せ我々はお互いに歳を取った身なのだからな」
お気に入りの銘柄の
この二人はかつて、教官と教え子の関係性であったがためにそんな会話をしていたのだが、そのことを知らない若いエルフ達はポカーンとしていた。
そして、その隣でティーカップ片手に紅茶を飲んでいたサエルウェンとウェンディミアはと言うと
「ウェンディミア!!この後、一杯やらないか?」
「それは構わないが......どうせ紅茶の話だろう?」
「あぁ、そうだが?」
酔ってもいないのにウィンディミアに絡んでいたため、当の彼女からそんなことを言われていたためか、当たり前だが陸・空軍の幹部達はヒヤヒヤしていた。
ただし、当の本人達はそんなことを知る....と言うよりかは、自覚してはいなかったため、ほのぼのとした様子で会話を続けていた。
なお、ドウラグエルはドウラグエルで私を仲間外れにするなとばかりに揶揄ったため、ディネルース達はドッと笑っていた。
けれども、彼女の部下的には肝が冷えるジョークだったとか。
そういうわけで、エルフ達の紅茶とタバコの匂いが充満する天幕内にて、このネニング平原での演習の事前説明が行われることになり、さっきとは打って変わって静寂の空気が流れ始めていた。
そして、その空気を変えるように今回の演習について説明を開始したのは、参謀本部の作戦局長であるカランウェンであった。
「それでは、演習目的事前説明を開始します」
彼女の一言と共に、ドウラグエル達の視線はある方向へと集まっていた。
それはあのドワルシュタインの地図であったために、軍人達はこれが対ドワルシュタイン用の演習なのだと改めて理解していた。
一部の軍人達はこの演習がドワルシュタインに対する作戦の、対ドワルシュタイン侵攻作戦の本格的な訓練だからか、息を呑むような形で話を聞いていた。
その上で、カランウェンはその地図のことを踏まえた上でこう言った。
「本日の演習は、対ドワルシュタイン侵攻作戦における市街地戦を想定した演習.....主に陸軍師団の戦闘演習に加え、昨年設立された空軍の飛行師団の実戦演習を行う予定となっております」
今回、マッティーア達が属する飛行師団は陸軍との対抗演習という形にて、実戦的な訓練に参加することになっていた。
ただ、あくまで市街地での戦いを想定した演習であることもあってか、本物の砲弾ではなく水風船を使用する予定であった。
また、陸軍は陸軍で対市街地戦を想定した演習を行うため、ある意味で言うところの合同演習のようなモノであったため、空軍と同じように陸軍もまたやる気に緊張感と満ち溢れていた。
何だったら、演習場の再現度の高さに驚く兵士達も居たとか。
そんな兵士達を尻目に、その話を聞いたドウラグエル達もいよいよ対ドワルシュタイン侵攻作戦に関する演習が行われるからか、当然ながらそれなりの緊張感を感じていたのである。
「....いよいよ、やるのだな」
「あぁ、一度そうすると決めた以上は責任を取る。それが人の上に立つ者のやり方だからな」
こうして、対ドワルシュタイン侵攻作戦を前提にした陸軍・空軍の合同対抗演習が幕を開けたのだった。
本作でのエルフ側の立場としては
ドウラグエル→大統領
サエルウェン→国防総省長官
ウィンディミア→陸軍元帥
ディネルース→上級大将
カランウェン→参謀本部作戦局長
みたいな感じになってます。
なお、ディネルースは陸軍の中でもとある部隊のリーダーを務めているらしく....?