白翼のシエル×5D's   作:シュテル・ルシフェル

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第13話 デュエルタクティクス? んなもんないよ?

 

 

 D・ボードが形になったことで、ようやくシエルもライディングデュエルへ参加できる。

 

 ――はずだった。

 

 機体側を片づけた途端、今度はデッキ側の問題が表面化した。

 

 閃刀姫は、魔法カードの比重が高すぎる。ライディングデュエルの制約をそのまま受ければ、デッキの骨格そのものが消える。

 

「ライディングデュエルでは、普通の魔法がそのまま使いづらい」

 

 シエルの閃刀姫は魔法が中核。

 

「じゃあ閃刀魔法をSpにする」

 

「そんな簡単に言うのか?」

 

「うん。使えない。じゃあ使えるようにする。以上」

 

「デュエルタクティクスとか、そんな大層な理由ないよ?」

 

 シュテルは本当にそれだけだった。

 

 シエルは机へカードを並べ、遊星は既存のスピードスペルを持ってくる。ブルーノは発動条件を書き出し、シュテルは横から「それ強い」「それ欲しい」と口を挟む。

 

 カード開発というより、四人で一つのデッキを分解して、ライディングデュエル用に組み直す作業だった。

 

 競技規則と既存Spの設計基準に合わせ、調整開始。

 

《Sp-閃刀起動-エンゲージ》

《Sp-閃刀機-ウィドウアンカー》

《Sp-閃刀起動-リンケージ》

《Sp-閃刀亜式-レムニスゲート》

《Sp-閃刀機-ホーネットビット》

《Sp-禁じられた一滴》

 

 それぞれ必要なスピードカウンター条件を設定。

 

「弱いカードに改造する意味ないじゃん」

 

「開き直るな」

 

 さらに既存Sp。

 

《Sp-アクセル・ドロー》

 自分SC12、相手が12でない場合、2ドロー。

 

《Sp-シフト・ダウン》

 SCを6つ減らし、2ドロー。

 

《Sp-オーバー・ブースト》

 このターンSCを4つ増やし、エンドフェイズに1へ。

 

《Sp-エンジェル・バトン》

 SC2以上。2ドロー後、手札1枚を墓地へ。

 

《Sp-カウントアップ》

 SC2以上。手札を任意枚数墓地へ送り、1枚につきSC2増加。

 

《Sp-サモンクローズ》

 SC4以上。手札1枚を墓地へ送り1ドロー。このターン相手は特殊召喚できない。

 

《Sp-スピード・フォース》

 SC4以上。次の自分エンドフェイズまで自分フィールドのカードは相手の魔法・罠で破壊されない。

 

 シュテルはカードを見る。

 

「ドローできる。採用」

 

「墓地に落とせる。採用」

 

「カウンター増える。採用」

 

「特殊召喚止められる。強いじゃん、採用」

 

「それだけ?」

 

「それだけ」

 

 ところが。

 

 実際に候補を並べていくほど、全員の表情が少しずつ変わっていった。

 

 適当に選んでいるようにしか見えなかったスピードスペルが、閃刀姫の要求する要素と妙なほど噛み合っている。

 

《エンジェル・バトン》は二枚引きながら魔法を墓地へ。

 

《カウントアップ》は不要魔法を墓地へ送りつつSCを増やす。

 

 墓地魔法三枚を早期に達成し、《エンゲージ》の追加ドローを加速。

 

《サモンクローズ》でシンクロ召喚を封じる。

 

 遊星が頭を抱える。

 

「調整前より強くしてどうする!」

 

「俺も困惑してる。閃刀魔法をSp化したかっただけだもん」

 

 テストデュエル。

 

 シエルは《Sp-エンジェル・バトン》で二枚ドロー、リンケージを墓地へ。《Sp-カウントアップ》でさらに墓地を肥やしSCを加速。

 

《Sp-エンゲージ》でサーチ+ドロー。

 

《Sp-ホーネットビット》からカガリ、墓地のリンケージ回収。

 

《Sp-サモンクローズ》。

 

「このターン、相手プレイヤーはモンスターを特殊召喚できません」

 

 遊星。

 

「シンクロ召喚は?」

 

「できない」

 

「ですよね」

 

 さらにウィドウアンカー、一滴、リンケージ。

 

「妨害が多すぎる」

 

「そうですね」

 

 シュテルは肩をすくめる。

 

「ルール違反なし。未来技術なし。既存Spの条件に合わせてる。じゃ、いいんじゃない?」

 

「軽い!」

 

 テストを終えたシエルは、デュエルディスクからデッキを抜き、カードの角を丁寧に揃えた。

 

「通常版より、継戦能力もドロー能力も上がっています」

 

「やっぱり?」

 

「はい」

 

 遊星が深く息を吐く。

 

 弱体化して環境へ合わせるつもりが、別方向へ伸びてしまった。

 

 こうして。

 

 シンクロ召喚を使わず、魔法を墓地へ送り、カードを引き、相手の展開を止め、そのまま一気に攻撃へ切り替える。

 

 非常に面倒なライディングデュエリストが誕生した。

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