ふわふわぶーちゃん大冒険記!   作:輝波斗

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ふわふわぶーちゃん、くもにのる!

 ぶーちゃんはとっても物知りです。

 ゲントと一緒に飛んだ空に白くてふわふわしたものが浮いていることも知っています。

 きっと触ったらお日様の光で温かくてふわふわと柔らかくて気持ちいいのです。

 だから、ぶーちゃんの光は今日はゲントの手の中じゃなくてお空に落ちてきました。

(ふわふわ!ぶーちゃんといっしょ!)

 速くは飛べないけどふわふわ浮かべるぶーちゃんはそーっと白くてふわふわしたものの端っこに触ってみます。

 すかっ。

(あれれ?)

 ふわふわまんまるなお手々はふわふわの白いものをすり抜けてしまいました。その少し濡れちゃったお手々をじっと見つめます。

 そしてもう一回。

 すかっ。

(あれれれれ?)

 あまり触った感じがしません。触った場所が端っこすぎるのかな?

 ふわふわふよふよと飛んでいき、少し真ん中の方に手を入れてみます。

 すぽっと手がふわふわの白いものの中に入ってしまいました。

(………あれぇ?ふわふわしてない……おかしいなぁ)

 ぽふっと今度は顔を突っ込んでみます。

 やっぱり濡れたような感覚があるだけです。ふわふわなお顔がちょっとしょんぼり。

(そうだ、つっつくから駄目なんだね)

 ぶーちゃんはちょっとがっかりしましたが、一番のメインイベント、ぽよんぽよんジャンプをしようと気を取り直しました。

 きっと全身で飛び込んだらぽよんっとなるのです。こんなにふわふわしているのですから、もちろんふわふわしたぶーちゃんをぽよんっとしてくれるに違いありません。

 ワクワクしながらぴょんっと大きくジャンプ!

 ぽふんっという感触を楽しみに飛び込みます。

 すかっ!

(………………………えっ!?)

 白いふわふわをすり抜け、羽のように軽いぶーちゃんの身体は落ちていってしまいます。

 絶対にぽふんっと受け止めてもらえると思っていたぶーちゃんはびっくりしちゃって浮かべることも忘れて泣いてしまいます。落ちていくせいでお目々からこぼれた光の粒がお空に登っていくように見えました。でもぶーちゃんはそれどころではありません。

 期待を裏切られて悲しくて悲しくてびゃーっと泣いているのです。

 自分が飛べることも忘れて落ちていきます。

 とある木に落ちてようやく落ちるのが止まりました。

 ぐすぐすと泣いているぶーちゃんの身体は可哀想に少し汚れて白くてふわふわな毛がうっすら灰色になってしまっています。小さな小さな枝が葉っぱを付けたまま折れてぶーちゃんの身体に引っかかっています。

 それを見てまたぶーちゃんは悲しくなってしまいました。

(元気な葉っぱと枝を痛くしちゃった)

 ぐすぐすしていたぶーちゃんのお目々からはまた光の粒が流れていきます。

 悲しくて悲しくて、ぶーちゃん光の粒を流しながらトボトボと歩いていきます。

 どうしてあの白いふわふわはふわふわなぶーちゃんを乗せてくれなかったのかな。葉っぱ痛かったかな。

 そんな事を考えて悲しくて寂しくてぶーちゃんは泣きながら歩いていきます。

 向かう先はもちろんゲントのところです。

「お、来てたのか、ブレー……ど、どうしたんだ!?」

 薄汚れて泣きながら帰ってきたふわふわのぶーちゃんはゲントを見つけると大粒の光の粒を流しながら走り寄り、大きくジャンプして服の胸元にしがみつきます。ゲントは慌ててぶーちゃんを大きな手に乗せてあげました。

「どうしたんだ、ブレーザー。怪我はないか?」

 ブレーザーが強いのは知っていても、やはり小さくてふわふわなぶーちゃんは心配です。

「ころんだのか?カラスにでもつつかれたのか?どうしたんだ」

 聞きながらゲントは手の上で泣くぶーちゃんを色んな角度から見て小さなホコリや枝葉を取ってあげ、光の粒を拭ってあげます。

 そんなゲントの大きな手にぎゅっとしがみついてぐすぐすしているぶーちゃんがお空を指します。

「空がどうかしたのか?」

 ぶーちゃんはお空を指したまま丸い頭を横に振って、さらに空を指し続けます。

「えーと……空じゃないのか……鳥?つつかれたのか?」

 また頭を横に振るぶーちゃん。またぎゅうっとゲントの手に抱きつきます。

「うーん……怪獣だって出てないしなぁ……空でも鳥でもなくて……雲?いや、まさかなぁ」

 一生懸命考えてくれるゲントの雲という言葉にぶーちゃんが、それ!と反応します。

「雲……?雲まで遊びに行ってきたのか?」

 うん、と頷くぶーちゃんを苦笑しながらゲントは優しく撫でてあげます。

 だってぶーちゃんはすごくすごく楽しみにしていたのです。白くてふわふわわした雲に乗ってぽよんぽよんと跳ねて遊んだりお昼寝したり。なのにあんまりです。

「雲は見た目みたいにふわふわしてないからなぁ」

 可愛そうではあるけれど、雲はぶーちゃんもゲントも触れないのです。

 どうしようか。

「ブレーザー、とりあえずお風呂に入ろうか。きれいにしよう」

 ぶーちゃん、実はお風呂はちょっと苦手です。身体が重くなるしふわふわの毛がぺしょん、となってしまうからです。

 でも、汚れてしまったのだからしかたがありません。

 ぶーちゃんは仕方なく、ゲントと一緒にお風呂に行きます。ぶーちゃん専用のお風呂だよと用意された小さな洗面器にゲントはお湯を溜めるより先になにか見慣れない筒からほんの少し液体を垂らします。

(それなぁに?)

 まだうるうるしたお目々を不思議そうにしながらぶーちゃんは首を傾げてゲントを見ます。

「雲の代わり、かな」

 そう言ってゲントは洗面器にお湯を注ぎます。そうしたら、ぶーちゃんはびっくり。

 いつもの自分のお風呂からもくもくとキラキラしたものが出てきています。

(なぁに、これなぁに!)

 メソメソしていたのも忘れてぶーちゃんはゲントに飛びつきます。

「今日は特別だぞ」

 ワクワクしているぶーちゃんにお湯をかけてあげてからもくもくあわあわを掬ってぶーちゃんの頭に乗せてあげました。

 キラキラしたお目々でぶーちゃんはそのあわあわをお手々にとって喜んでいます。

(ゲント!これすごい!きらきらのふわふわ!)

 ご機嫌がなおったぶーちゃんにゲントも一安心。

 小さな小枝や葉っぱのかけらなんかを取ってあげながら、ゲントの大きな手がぶーちゃんを綺麗にしてくれます。それはとっても嬉しいけど、ぶーちゃんはくすぐったくてくすぐったくてきゃらきゃら笑いながらあわあわのお湯をバシャバシャ。

「あ、こら、ブレーザー!俺まで濡れる!」

 ゲントの悲鳴が聞こえたけれど、嫌がっている悲鳴ではなさそうなのでいいことにしました。

 あわあわもこもこでいっぱい遊んでゲントがキレイにしてくれたので、ぶーちゃんは泣いていたのが嘘のように元気いっぱいです。

 温かい風が吹いてくる機械の前でぶーちゃんはご機嫌に足をバタバタさせます。お風呂はちょっと苦手だけど、ちょっと好きになりました。

 体が乾いてふわふわほこほこになったぶーちゃんは大満足でゲントの手に抱きつきます。そうしたらゲントは笑って撫でてくれるのです。ぶーちゃんはゲントに撫でてもらうのが一等大好きなのでとっても嬉しそう。

「えーと……確かサトコがこの辺に…」

 ぶーちゃんをテーブルに置いたゲントがそう呟きながら何やらゴソゴソと探しています。

「あったあった」

 ゲントの手には、白くてふわふわしたものがありました。

(ゲント凄い!雲だ!)

 キラキラした目を向けてくるぶーちゃんにゲントは、これは綿だよ、と教えてあげます。

(綿?雲じゃないの?)

 キョトンとするぶーちゃんを綿の上に移動させると、ぶーちゃんはまた大喜びです。

 ぽよんっとはしないけど、温かくてふわふわでちょっとだけゲントのお家の匂いがします。

 それが嬉しくてぶーちゃんは綿をぎゅっと抱きしめました。

「ブレーザー、おやつ食べるか」

 綿を抱っこしたまま、ぶーちゃんはトコトコとゲントの後ろをついていきます。

(おやつ!おやつ!)

「この間見かけて、つい買ったやつが……まだ誰か食べたとかも聞いてないし……あぁ、あったあった」

 おやつの袋をゲントが持ってきてくれます。

 これはなぁに?とゲントを見上げるぶーちゃん。

「本当はお祭りとかみたいに作りたてのほうがいいんだろうが、それはまた今度で、今日はこれな」

 可愛らしい袋に入ったおやつです。

 ぶーちゃんはお祭りもよく分かりません。袋に書いてある字もよく分かりません。

 でも、ゲントが袋を開けてくれて中が見えると、ぶーちゃんのお目々だけじゃなくて周りまで赤や青の光がパチパチきらきらと弾けます。

「綿あめだ」

 白くてふわふわで甘い匂いのする雲をゲントは綿あめと言ってぶーちゃんに少しちぎってくれました。

(これ食べるの?)

 ぶーちゃんが見上げてきます。なので、ゲントは少し違って自分で食べてみました。

 ぶーちゃんは大きなお目々をもっと大きくして、自分が持っている綿あめを見つめ、ぱくり。

(!!!)

 ふわふわまんまるなお手々でふわふわほっぺを押さえ、美味しい!とゲントに一生懸命伝えます。

 あんまり美味しかったので、ぶーちゃんは綿あめの袋に突撃します。

 頭から袋に入って、袋に入り切らないおしりがフリフリ。ゲントはびっくりしています。

「ブレーザー、ちゃんとあげるから!頭から突っ込まなくても!!」

 ぶーちゃんのおしりをつまんで袋からそっと引っ張り出します。

 ぶーちゃんちょっと不満そう。

 頭は綿あめの中に突っ込んだせいでふわふわした綿あめがくっついてしまっています。

「しまった……またお風呂に入らないとべたべたになる……」

 ゲントがなにか言っていますが、ぶーちゃんは頭にくっついた綿あめを食べるのに忙しくて聞いていません。

(おやつおしまい?)

 ゲントを見上げると、ゲントは仕方ないなと残りの綿あめをお皿に出してくれました。

(甘い雲!)

 ぶーちゃんは楽しくて嬉しくて、ふわふわもきゅもきゅと綿あめを食べます。

 でもぶーちゃんはふと、綿あめを食べるのをやめました。

「どうした?」

 聞いてくるゲントの方を見て、綿あめを見て、ぶーちゃんは綿あめを2つに分け分けします。

(ゲントも!一緒に食べる!)

 分け分けしたうちの一つをゲントに差し出してにこにこするぶーちゃん。

「くれるのか?ありがとう、ブレーザー」

 2人の内緒のおやつの時間。

 雲に乗ることはできなかったけど、あわあわで楽しくお風呂に入って、大好きなゲントと2人でおやつ。

 今日もとっても楽しい一日を過ごしたぶーちゃんなのでした。

 でも、全身で綿あめを食べちゃったぶーちゃんは、もう一回、ゲントにお風呂に入れられてちょっと拗ねちゃいましたとさ。

 今日も楽しかったね、ぶーちゃん。




pixivにシリーズ載せてます
適当な順番で適当にこっちにも載せていきます。
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