ぶーちゃんのやることですからね、クッキングを期待してはいけません。ふわふわくっきんぐなのです。
そもそも場所からしてクッキングにふさわしくない(笑)
ぶーちゃんは今日も元気にゲントと一緒。
今日はのんびり、2人でお買い物。しょっぴんぐもーる、っていうんだって。大きなおうちの中にお店がいっぱい。
ぶーちゃんはゲントの服の襟から顔だけ出してみたり肩や頭に乗ってみたりとご機嫌です。
ほんとは一緒に歩きたいけれど、ニンゲンがいっぱいなのでゲントにくっついているのです。
「結構人多いなぁ……窮屈じゃないか?ブレーザー」
気にかけて聞いてくれるゲントに、ぶーちゃんはお手々を上げて、大丈夫だよ!とお返事します。
「そうか?無理はするなよ。窮屈になったら俺が帰るまで戻ってていいからな」
そんな事を言いながら襟元から出ているぶーちゃんの頭を優しく撫でてくれるので、ぶーちゃんは先に戻るつもりはありません。ゲントと一緒だとどんな景色もどんなことでも楽しいのです。
ゆっくり2人で歩いていると、奥の方から楽しそうな音楽とざわめきが聞こえてきました。
あれはなんの音?
ぶーちゃんがゲントを不思議そうに見上げます。
「あっちはゲームセンターだな。ちょっとだけ覗いてみるか」
げーむせんたー?物知りぶーちゃんもまだまだ知らないことはいっぱいみたい。
ゲントと一緒に音の方に向かってみると、色んな色に光る機械がいっぱいでなんだかワクワクします。
(ゲント、ゲント、おれも光るよ?おれのほうが光れるの、光る?)
やる気満々でチカチカし始めたぶーちゃんをなだめながらゲントはどんどん進んでいきます。
「お、懐かしいな、まだあるんだなぁ」
ゲントが足を止めて1台の機械を見ます。
これなぁに?
「前に食べた美味しいやつが作れる機械だ」
ゲントがオサイフからオカネを出して機械に入れます。
そして棒を取り出して機械を触って……。
機械から白い糸が出てきました。
これなぁに、ゲント!かいじゅう!?
ぶーちゃんがビックリしていると、ゲントは棒を白い糸に突っ込んで機械の中でクルクルクル。
見ている間にどんどん棒が雲のようにふわふわになります。
(ゲントすごい!雲作った!食べる雲だから……えーと……わたあめ!)
お目々をキラキラさせたぶーちゃん、前に食べた美味しい雲を思い出しました。(同シリーズ“くもにのる”)
「やってみるか?」
ゲントがそう言ってくれたので、うん!!と頷いて、ゲントの襟元からぽこんと飛び出します。
ゲントがお金を入れてくれて、機械を動かしてくれます。棒の真ん中を持って構えたぶーちゃんはワクワク!
白い糸が出始めたのを見て、ぶーちゃんは機械に飛び込んでグルグルと機械の中を飛びます。
「あっ……」
ゲントが困った声を出したような気がしましたが、それよりもぶーちゃんは棒についた雲が大きくならないのが気になってそれどころではありません。
(おっきくならない……もっと頑張らなきゃ!)
ぶーちゃんは機械の中を一生懸命飛びます。目の前を白い糸がたくさんたくさん飛んできます。
グルグルグルグルグルグル。
「お、おい、ブレーザー……?そろそろ、な?終わるし出ておいて。これ食べていいから」
ゲントが自分が作った綿あめを差し出して声をかけてくれます。
機械の音が止まって、白い糸が出てこなくなったので、ぶーちゃんは綿あめがちょっぴりついただけの棒をがっかりしたまま持って、機械から出ました。
あれ?なんだか目の前にまだ白い糸が見える気がします。機械は止まったし、その機械からももう出ています。
なんでまだ白い糸が?
ぶーちゃんは白い糸を取ろうと丸いお手々で顔を擦ろうとして気が付きます。
(手が大きくなってる!)
丸いお手々がいつも見るより大きくなっています。いったい自分の手はどうしてしまったのでしょう。ゲントの襟元はぶーちゃんが入るジャストサイズです、ぶーちゃんが大きくなってしまっては入ることができないかもしれません。それは一大事です。
(どうしよう、ゲント……)
ゲントは困った顔をしていましたが、ぶーちゃんと目が合うと吹き出して笑い始めてしまいました。
(なんかおかしい?ゲント、どうしたの?)
おろおろするぶーちゃんを手に乗せて、ゲントは白い糸を取ってくれます。
「ブレーザー、この棒に綿あめをを作るんだ、お前が綿あめになるんじゃないんだぞ」
そんなことはぶーちゃんも分かっています。なんでそんな事言うのかな?
ぶーちゃんはあわあわキョロキョロと周りを見回します。すると、ガラスに映った自分が見えてしまいました。
綿あめでもっこもこにお着替えしたぶーちゃん。
そういえば甘い匂いもします。
(…………えっ)
もしかして、棒にくっつくはずだった白い雲はぶーちゃんにくっついちゃったの?棒にくっつくはずのふわふわをぶーちゃんが取っちゃった!?
(ゲント、ゲント、もう一回)
動かなくなった機械に棒を持ったまま突入しようとするぶーちゃんに、ゲントは仕方ないなぁともう一度機械を動かしてあげました。
グルグルグルグルグルグル。
またぶーちゃんは棒を持って一生懸命、棒にふわふわのお洋服を着せてあげようとします。
ふわふわは温かいのです。温かいぶーちゃんが温かいふわふわを独り占めしてはいけません。
(………………なんでぇ……)
また、棒はふわふわにはなりませんでした。
ぶーちゃんのふわふわお洋服が分厚くなっただけ。
ちょっとお目々をうるうるさせながら、体にくっついたふわふわを取ってパクリ。
甘くて美味しくてぱぁっと嬉しそうな顔になりますが、ちょっぴりふわふわになった棒を見てはまた悲しくなってしまいます。パクリ。嬉しそうな顔。棒を見てはしょんぼり。
嬉しそうだったりしょんぼりしたり、忙しそうなぶーちゃんにゲントは困ったように笑っています。
「もう一回やってみるか?」
そう聞かれて、今度こそ!とぶーちゃんはまた棒を構えました。
グルグルグルグルグルグル。
ゲントは横を向いてプルプルしながらスマホだけぶーちゃんに向けています。相棒の頑張りを見ないなんて!ゲントを見たぶーちゃんはプンプン怒ります。でも、やっぱり棒のふわふわは大きくなりません。
(綿あめ大きくならない……)
大きくなったのはぶーちゃんだけです。
体の綿あめをちぎってはパクリ。ぱぁっ。棒を見てしょんぼり。
「ぷっ……くくっ……ブレーザー、それ、もっと上の方を持ってみたらどうだ」
笑うのをこらえながらゲントが教えてくれます。笑ってないでもっと早く教えてほしかったぶーちゃんはゲントにふわふわパンチ。ふわふわパンチなのに、ちょっとベタベタ。
「すまんすまん。ほら、やってみるといい」
棒の持ち方を変えて、4度目の正直に挑戦!
今度こそ!
ぶーちゃんは張り切って長い棒をぶら下げながら機械の中をグルグルグル。
(わぁ!すごい!雲がおっきくなる!)
やっと大きくなる綿あめを見られてぶーちゃんはご満悦。
綿あめ3回分を体にふわふわ引っ付けたぶーちゃんは誇らしげに胸を張って大きくなった棒のふわふわをゲントに見せます。
「よかったな、ブレーザー」
どう見てもぶーちゃんのほうが綿あめとしても大きいので、ゲントは笑いが止まりません。顔周りだけは先にぶーちゃんが食べちゃったので、視界は良好。ゲントが楽しそうなのでぶーちゃんも楽しいのです。
でも、いつまで経ってもゲントが笑うのをやめません。ゲントから見たら、大きな綿あめがドヤ顔で小さな綿あめを持っているようにしか見えないのです。
楽しそうなのは嬉しいけど、何でゲントは笑ってるのかな?
ぶーちゃんはキョトンとしますが、それよりも手に持った小さな綿あめが甘い匂いでぶーちゃんを誘います。
パクリ。
やっぱり甘くて美味しい!
頑張って自分で大きくしたので、美味しさも格別です。
パクパクとご機嫌で小さな綿あめを食べる大きな綿あめ。
これは帰ったらまたお風呂だなぁ。と思いながら、ゲントも近くのベンチを見つけて綿あめを食べます。
甘くてふわふわ、作るのも楽しい。ぶーちゃんの好きなものが、ゲントと一緒にいるとどんどん増えていきます。
それがとっても嬉しいのです。
毎日毎日、宝石みたいな好きや嬉しいが増えていくぶーちゃん。
これからも一番の大好きと一緒に、ぶーちゃんは新しい宝物を探しに行くのでした。