今日は皆で紅葉狩り。
ぶーちゃんは前のいちご狩りで学びました。
紅葉狩りにもきっと怪獣はいません。だからサトコやジュンと一緒でも危なくないのです。
でも、もみじってなんだろう?
(楽しみだね、ゲント!)
ニコニコご機嫌のぶーちゃんはジュンと一緒にお出かけの準備をしているゲントの肩の上。ぶーちゃんの特等席の一つです。他の特等席はゲントの頭の上とかです。サトコはお弁当の準備をしてくれています。もちろん、ぶーちゃんの分もあるのです。
それが嬉しくて、ぶーちゃんはまたニコニコ。
紅葉狩りってピクニックかな。皆で行ったらきっと楽しいよね。
ゲントが運転する車に乗って出発です。運転中はいい子なぶーちゃんはジュンのお膝の上で大人しくしています。ゲントと遊びたいけど、運転中は我慢我慢。
ジュンがうりうりとぶーちゃんの頭を撫でてくれるので、ぶーちゃんはきゃーっとなります。だからぶーちゃんはお返しにジュンの頭に乗ったり、また小さいその手をふわふわのお手々でぽふぽふするのです。
そうやって遊んでいると、あっという間に紅葉狩りの場所に到着したみたい。
わくわくのぶーちゃんはお外に出てびっくり。
(ゲント!ゲント!お山が燃えてる!危ないよ!!)
歩いていこうとするゲントの服をつかんで一生懸命引き止めます。
「ブレーザー?どうしたんだ?」
ゲントが困った声で聞いていますが、どうした?じゃありません。
だって、いつも元気な緑色のお山が、今は真っ赤になっているのです。怪獣がお山を燃やしているのかもしれません。それならサトコやジュンを避難させて、ゲントと一緒に怪獣をやっつけてお山を助けてあげないといけないのです。
やることがいっぱい、とっても大変。
「紅葉狩りは狩りじゃないぞ?戦わないから大丈夫だぞ」
戦わない?大丈夫?あんなにお山が真っ赤なのに?
そうだ!とぶーちゃんはふわふわの胸を叩きます。
(本当に怪獣がいないか、ぶーちゃんが見てきてあげる!)
行ってくるね!とぶーちゃんはお手々を振ってピューンと飛んでいきます。
「えっ、どこ行くんだ、ブレーザー!ブレーザー!」
「パパ、ぶーちゃんどこ行ったの?」
使命感にあふれるぶーちゃんには、そんな声は聞こえません。ぶーちゃんはとっても強いブレーザーなので、ゲントたちももっとたくさんの人たちも守りたいからです。
秋晴れのきれいな青空と燃えるような真っ赤なお山の間を飛んで、怪獣はいないかな、大きな音はしないかな、みんなが怖がりそうなことはないかな、と大きなお目々でパトロール。
時々聞こえてくるのは楽しそうな笑い声だけで、ぶーちゃんはあれあれ?と考えます。
怪獣いないのかな?それとも怪獣も楽しくなっちゃうのかな?楽しい怪獣ならやっつけなくてもいいね。もしかしたら怪獣なでなでできゃうかも?
ちょっとわくわくするぶーちゃんはちょっと休憩するために、そーっと赤いお山に入りました。
熱くないね、触っても大丈夫だね。
赤い葉っぱと黄色い葉っぱがとっても綺麗。
これのせいでお山が燃えてるように見えたんだ。
ゲントたちにも教えてあげなくちゃ。
(これを見たら、ゲントたちも安心して遊べるね)
ぶーちゃんは特別きれいな葉っぱを探して、片手に赤い葉っぱ、もう片手に黄色い葉っぱ。もっとなにかないかな?
ぶーちゃんはキョロキョロ探します。怪獣もだけど、もしかしたらゲントたちが喜んでくれるものがあるかもしれません。
キョロキョロしながら歩いていると、何やら光るものを見つけました。
ツヤツヤで茶色くて小さな丸いもの。
(これは何かな)
ぶーちゃんがもっと周りを見ると、似たようなものがちらほら落ちています。
いっぱいあるから、これもきれいなのを選んで持っていってあげよう。
どれにしようかな、とぶーちゃんは茶色くて丸くてツヤツヤしたものを拾ってはじっくり匠の目()で見比べていきます。
せっかく持っていくなら、一等いいものを見せてあげたい。今まさにぶーちゃんは匠なのです。ところで、君は狩人のはずです、目を覚まして。
選りすぐりの1個を葉っぱを持った手で抱っこするように持ち上げてぶーちゃんは飛びます。
ぶーちゃんには大きい葉っぱが2つと小さなつるつる丸いの。これをいっぺんに持つのはさすがにぶーちゃんも大変です。
ふわふわのお手々から、時々丸いのがツルンッ、スポンッと逃げていってしまいます。
(待って!待って!いかないで!)
ぶーちゃんは一生懸命追いかけてまた丸いのを拾います。でも、またすぐにスポンッと逃げられちゃって、ぶーちゃんは、
(嫌われちゃったのかなぁ。近くにいた同じようなのがもしかしたら仲間だったのかなぁ)
と、だんだん悪いことをしている気になってきて、お目々が光でウルウルしちゃいます。でもこの綺麗な丸いのをゲントに見せたいのです。
(ごめんね、後でちゃんと帰すからね)
だから逃げないでね。
スポンッ、ツルンッ、と逃げられては追いかけて拾って、を繰り返して、赤や黄色の木の間からやっとゲントたちのところへ戻ったぶーちゃん。
「ブレーザー、どこ行ってたんだ?」
「あ、ぶーちゃん帰ってきたー!」
「よかった、心配したのよ」
優しいゲントたちの声に嬉しくなって、ぶーちゃんはニコニコで戦利品をゲントの手に落とします。
「随分きれいな[[rb:紅葉 > もみじ]]と[[rb:銀杏 > いちょう]]だな…………なんでどんぐり?」
「わ、すごいよ、ぶーちゃん!どんぐり大きい!」
茶色くて丸くてツヤツヤでツルツルなこれは、どんぐりって言うんだって。いい感じの木の枝と一緒で子どもも大人も大好きなどんぐりだからぶーちゃんがニコニコ持ってくることは当然なのです。私はどんぐり好き。
「どんぐりかぁ……コマとかやじろべぇとか作れるな」
「もっといっぱい拾いに行こうよ!松ぼっくりとかもあるかなぁ」
盛り上がる男の子2人をサトコがニコニコ見ています。でも、ぶーちゃんは、ゲントの手からどんぐりを取って首を横に振りました。
(だめだめ。寂しがりやさんだから仲間のところに帰してあげるの)
「?どうしたんだ?」
ゲントが不思議そうに聞くので、ぶーちゃんはどんぐりを持って来た道を戻っていきます。
どんぐりを拾ったところに戻ると、近くのどんぐりたちを集めて、持っていたどんぐりを真ん中に置きました。
(お友達を連れて行っちゃってごめんね)
気持ちを込めてどんぐりを撫で撫で。
追いかけてきたゲントとジュンは、顔を見合わせていましたが、ぶーちゃんがどんぐりを置いておきたいならとそっとしていてくれます。
「よし、じゃあブレーザー。皆で紅葉狩りの続きだ。景色を見ながらお弁当にしよう」
お弁当!
ぶーちゃんのお目々がペカッと輝きました。
「ママがお弁当の中身はお楽しみって言ってたから楽しみだね」
3人でニコニコしながらサトコのところに帰ります。
「おしぼりあるからちゃんと手を吹いてからね」
帰ってきた皆にサトコはそう言います。おしぼりはぶーちゃんの分までちゃんと準備してありました。それが嬉しくて、ぶーちゃんはまたニコニコ。
皆で手を拭いてお弁当を囲みます。
ぱかっと開いたお弁当は、お山のおにぎり、きれいな色を挟んだサンドイッチ、ハムのお花、黄色い卵焼き、たこさんのウインナーにカラッとした唐揚げ、ほっこりコロッケ、真っ赤なトマト。もう一つの箱にはちょっぴりレモンの香りのウサギさんリンゴに小さく分けられた柔らかくて黄色いの。
ぶーちゃんは黄色いのをまぁるいお手々で示してゲントを見上げます。ゲントはサトコを見ました。ぶーちゃんのお目々はゲントの目を追ってサトコに向きました。
(これなぁに?)
「それはスイートポテトよ。甘いお芋のお菓子」
ニコニコとサトコが教えてくれます。
「ママのスイートポテト美味しいんだよ!」
嬉しそうなジュンが教えてくれると、ぶーちゃんは大喜びでスイートポテトに飛びつこうとして………ゲントにひょいっと捕まってしまいました。
「ブレーザー、それはデザートだから最後だ」
そうだった、危ない危ない。
甘ーいデザートは美味しいご飯の最後。お楽しみ。
ぶーちゃんはとっても美味しそうなお弁当を覗き込みます。
ぶーちゃんにはどれもとっても大きいけれど、ぶーちゃんならペロリと食べてしまえるのです。
特別じゃないお弁当だけど、とっても特別なお弁当。そんな美味しいお弁当の上を、真っ赤な葉っぱや黄色い葉っぱを揺らす風が吹いていくと、サワサワと楽しい音が聞こえます。
ふわっとお弁当の近くに綺麗な葉っぱが落ちてきて、紅葉狩りはとっても美味しくて楽しいことなんだな、とぶーちゃんはまた一つお勉強したのでした。
ところで、ゲントがどんぐりに言っていた「やじろべぇ」がよく分からなかったので、帰ってからぶーちゃんは聞いてみました。
やじろべぇを教えてもらえたぶーちゃんは、
(ぶーちゃんのほうがまっすぐ立てるよ!)
と、ゲントの手の上でお手々を横に伸ばして片足で胸を張るぶーちゃんがいたのでした。
もちろん、ゲントの手の上でころんっと転がることになっちゃったのは2人だけの内緒です。