夜も更け、時は丑の時。大通りに二人組の酔っぱらいが千鳥足で歩いていた。
「おいおい、みっちゃんよ~こんなに飲んで、ま~たかみさんにしかられるぞ~」
「いいんだよよっちゃん、あいつはガツンと言ってやればいいのよ!ガツ~ンと…」
すると男の一人が突然足を止めた。
「どうしたんだよみっちゃん」
「…あ…あ…あれ…」
「あん?」
男が目を大きく見開き前を指差した。するともう一人の男も男が指を指したモノを見、絶句した。
男達が見たものは大きな骸骨と巨大なスプーンを持った大男そしてそれに対峙する少女の姿だった。
「ヌァンダウォマエハ!」
「どうやらこの少女は、大量にマグネタイトを持っているようであります!!」
相手の恐ろしい風貌の相手に怯えることなく少女は一歩も引くことなく告げた。
「私の名前は真宮寺さくら、帝都に仇成すあなた達を許しては置けません!」
「ウォレモウハラヘッタ、ウォマエヲクワセロ!」
「私もこれ以上はガマン出来ません!いただきます!!」
するとさくらと名乗った少女は手に持っていた刀――銘を霊剣荒鷹という――に手を添え、近づいてきた相手に一太刀でなぎ払った。
大男は倒せたが骸骨はその身体のせいで刃が届くことは無かった。
「ウォマエコロシテウォマエクウ…クワセロー!!」
骸骨が少女に大きく口を開けて突進を仕掛けてきた、しかし骸骨が少女を喰らう事は出来なかった。少女は骸骨が突進を仕掛けると同時に刀を正眼の構えにし、目を閉じ集中していた。そして少女の身体から桜色の霊力が溢れ出していたそして・・・
「破邪剣征・桜花放神!」
少女がそう言い刀を振ると刀から放たれた霊力が骸骨を真っ二つに切り裂いた。後ろを振り返ると男達が気絶していたのでそのままにして少女は去っていった。
時は太正十二年、帝都東京は異文化の交流による経済の発展、それに伴う都市の近代化によって大きな賑わいを見せていた。しかしその一方で帝都の闇には悪魔そして降魔と呼ばれる人に仇名す魔物が跳梁跋扈していた。
鳴海探偵事務所
ここ鳴海探偵事務所は変な依頼しか受け付けないということで有名である。
「ゴウト、昨日の夜、異常にMAGが放出したのを感じたんだが」
『やはりうぬも感じておったか。最近異常に悪魔が出てきておる上に、ヤタガラスからはあんな指令とは・・・まったく少しはこちらの身にもなって欲しいものだ』
その時、事務所の扉が突然開いた。
「歌をさ~あ~歌いま~しょ~ってな!」
『こやつは何時もにも増して喧しいな』
「おっす!ゴウトちゃん、今日もおはよう!!」
ゴウトと呼ばれた黒猫の声は通常の人間には聞こえず、デビルサマナーと呼ばれる人間か、極稀に霊力と呼ばれる力を持った女性にしか聞こえないのである。そしてそのゴウトと話している青年こそデビルサマナーである十四代目葛葉ライドウなのである。
「どうしたんですか、鳴海さん?」
「いや~ライドウ、聞いてくれよ。なんと、あの帝国歌劇団のトップスタァ、神崎すみれさんを町で見かけちゃったんだよ。それですみれさんから『ぜひ見にいらしてくださいね』って言われたからもうこれ見に行くしかないじゃん、きっとこれ一目惚れじゃないかな~」
『アホか』
「ん?どうしたんだゴウトちゃん、もしかしてゴウトちゃんも見に行きたいの?」
『行くわけが無かろう』
「あの、鳴海さん」
「ん?どうしたんだライドウ、ひょっとしてお前も行きたいのか?」
「いえ、今朝ヤタガラスから帝国歌劇団の米田支配人に会うようにと言われたのですが…」
帝劇
帝国劇場の前に鳴海とライドウとゴウトの二人と一匹がいた。
「それにしてもあの米田さんが帝劇の支配人とはね」
「お知り合い何ですか?」
「え?あぁ…まあそんなところだな…とりあえず中に入ろうか」
そうして二人が帝劇へ入っていくとおかっぱ頭の少女に止められた。
「あの~、すみませんまだ公演時間は先なので、立ち入りはご遠慮して欲しいのですが…」
「駄目だよ君ィ、私は鳴海探偵社の鳴海だ予約が入ってるだろ?」
「すみません、その方の予約はありません…」
「葛葉ライドウです」
「あ、その方なら聞いています。ただいまご案内します」
支配人室にいくまでの間に鳴海はライドウに「所長を差し置いて何だお前は!」と文句を言っていた。
そして部屋の前に少女が立ち止まると二人はそれに続いて止まり、少女が扉を叩いて確認をした。
「米田支配人、葛葉ライドウさんが小見えになりました」
すると部屋のから気の抜けた声で「入って来い」と声がし、少女は扉を開け二人を部屋に通した。
部屋の中からは真っ昼間であるのに酒の匂いが濃く漂っていた。
「おう、よく来てくれたな」
「お久しぶりです。米田さん」
「鳴海か…おめぇは呼んだ覚えはねぇぞ。まぁいいや、どうせ後々話す手間が省けるからな…葛葉ライドウ、今日からおめぇにこの帝劇で働いてもらう」
そんな米田のいきなりの発言に異を唱えたのはやっぱりと言っていいのかやはり鳴海だった。
「米田さん、いきなりライドウにここで働けなんてむしがよすぎやしませんかね!ライドウ、俺は少し米田さんと話す、外で待っていてくれ」
「そりゃいいや。葛葉、帝劇でも見物しといてくれ…それから地下には舞台道具があってあぶねぇから入るんじゃねぇぞ」
「わかりました」
ライドウはそう言うと部屋の外へ出ていった。
「米田さん…いえ、米田中将。お久しぶりです」
「あぁ、お前も相変わらずだな」
鳴海にそう告げた顔は酔っぱらいの顔ではなく一人の軍人としての顔だった。
「それで、ライドウから聞いたのですがヤタガラスかが帝劇に向かえとだけ聞いたんですが何故でしょうか?」
「その事だったら、当然決まってる」
「やはり帝都防衛ですか」
「そうだ、そのためには軍のデビルサマナーだけではいざという時に対応できない事態があるかも知れん、そんな時のためにここ、帝国華劇団・花組が設立された」
「確か花小路伯爵と宗像少将、神崎伯爵そして米田中将達が推し進めているた計画でしたよね」
「それでようやく実を結んだと思ったらヤタガラスからの横槍だよまったく」
「まさか米田中将も戦われるのですか?」
「十年前の降魔戦争じゃあるめぇ、そのための兵器も用意してある…お前も聞いたことあるだろ?」
「確か…短期決戦型治安維持・対降魔戦闘兵器光武、ですね。しかし搭乗員が…」
「あぁ…まったく胸が悪くなるような話だぜ、うら若き乙女がこんな戦いに巻き込まれるなんてよ…それにそのうちの一人は真宮寺一馬の娘、真宮寺さくらだ…」
「あの真宮寺大佐の娘さんですか…皮肉なものですね…」
「さっきヤタガラスからの横槍が入ったと言ったが内心では喜んでいる俺がいる…葛葉ライドウが花組に入ることによって少しでも戦力が増えそれによって誰も死ななくてすむようになればいいってな…」
「…わかりましたそれではライドウをお願いします」
「おいおい、勝手に決めちまっていいのかよ」
「はい、多分ライドウはここに入るんじゃないんでしょうかね…それに米田中将ならば信頼が出来ますしね」
「それから最後になっちまったが、今日付け花組の隊長が来ることになってんだ、そいつはすげぇぞ士官学校を首席で卒業し剣道の腕は抜群、そして光武に乗るための素質も持ち合わせてる」
「どんな完璧超人何ですか…」
「そう言うことだからライドウは借りてくぞ」
「それから米田さん…いえ、米田中将、一つ頼みがあるのですが」
「お、おう…どうしたんだいきなり」
「花組の色紙ってもらえませんかね?」
上野公園では一人の青年将校が町を見下ろしていた、自らが守る町を…
今回は初めてスマートフォンで投稿しました。
ただライドウがほとんど喋ってないなと書いていて思いました(小並感)
それからタイトルの闇ノ魔物ってそのまんまじゃね?って思われているでしょうが気にしないで下さい。
コメントをしてくれると嬉しいです。