100カノにTS転生幼馴染(運命の人ではない)を加えてみた話 作:クリーンクローン
※主人公の一人称は心の中では俺、喋るときは私になってます
桜舞い散る3月。
無事に中学を卒業した俺『
「元気出せって恋太郎! 失恋が何だってんだ!」
「そうそう、たかが人生で100回目の告白で『恋愛対象としては反吐が出るようなの!』って言われただけなんだからさ」
「お前ら失恋で傷心中の俺に容赦がなさすぎだろ!?」
俺と友人がそう恋太郎に追い打ちをかけ恋太郎を追い詰めていると、友人Aが驚いたようにこちらに顔を向けてきた。
「告白失敗100回目てマジ?」
ああ、そこが引っ掛かってたのか。
「マジだよ」
「マジか」
友人Aは恋太郎の方に向き直り、尊敬の眼差し...ではなくアホを見る眼差しで、
「お前に"恋愛勇者"の称号を与えよう」
「やめろおおおお!!」
とどめを刺しにいった。
病んだミッ〇ィーどころか死にかけのミッフィーの顔になった恋太郎に対して、友人Aが不思議そうな顔で疑問を投げかける。
「...でも結局謎だったよな...。恋太郎って顔も悪くないし運動も勉強もできる方だし、誰にでも親切で気が利くし、男女問わず人望あるし、真面目なのに気さくで接しやすいし」
「べた褒めじゃねーか! 何だお前俺に気でもあんのか!」
「っ恋太郎、失恋しまくったショックでついに男と...!」
「ちがうよ!? 逆だよ! こいつが俺に気があるの!」
「ねーよ!」
と、そんな風にギャアギャア騒ぎながら下校する俺たちなのであった。
「恋太郎も夕も元気でな。恋太郎は高校でも失恋記録はドンドン伸びるだろうが自殺はするなよ!」
「新たなる門出に何てこと言うんだこの友人Aは!」
「友は...高校ではもう少し大人しくするんだぞ!」
「出来たらするね」
「うん絶対しないな!」
友人Aを見送り、2人きりとなった恋太郎と俺。
卒業式の帰り道、幼馴染が二人きり。何も起きないはずが...
「この後はどうする? 家帰る?」
「いや、この後寄りたいところがあるんだ」
起きません。
いやこれは俺たちがヘタレだからとかそういうことではなく。
実は、俺はもう昔にこいつから告白されたことがある。で、ほかの女性と同じくこいつを振った。だから俺がこいつに告白されることはもうない。
俺も随分と女性のフリをするのが上手くなったが、未だに俺が好きなのは女性である。
「寄りたい所ってここ?」
「ああ」
そんなことを考えながら恋太郎について行き、辿り着いたのは神社だった。
参道の横にはいくつも連なる『縁結び』と書かれたのぼり。
神社なのにそんな露骨にアピールしていいのか...?
というか、そうか恋太郎。神頼みをするほど追い詰められていたんだな、可哀そうに。
でも、しょうがないよ恋太郎。お前、俺がどんだけ彼女できるようにサポートしてやっても振られるんだもの。
お前はもうそういう運命のもとに生まれたんだろうな。
という憐みの感情を込めた目で恋太郎を見つめる。
「見るな...そんな目で俺を見るな!」
遊〇王?
「俺にはもう神頼みぐらいしか頼れるものがないんだ..」
さすがに哀れすぎて見てられなくなってきたな。
「しょうがないなあ。私も一緒に祈ってあげるよ」
「ほんとか! ありがとう! 友はやっぱ良い奴だな!」
ッ...
「うんうん祈ってあげるよ『恋太郎が女の子に刺されるくらいモテますように』って」
「普通にに祈って!?」
危ない危ない。恋太郎は急に刺してくることがあるから油断ならん。
ん? お前女性が好きって言ってだろ何をドキッとしてるんだ、って?
確かに俺は告白を断った。それに、恋太郎のことは異性としては見れない。もし今告白されたとしても以前と同じ結果になるだろう。
しかし、だ。
俺はこいつの幼馴染であり、親友である。
俺は恋太郎への愛を持っている。
それはプラトニックな愛ではなく、友愛や家族愛と言った方が正しい。
この肉体に転生してからというもの、前世との肉体の違いなど様々な問題を抱えて生きてきた俺だが、そんな俺が今まで無事に生きてこられたのは恋太郎がいたからだ。
そんな恋太郎に向ける俺の愛は『新婚さん〇らっしゃい!』に出ているようなラブラブ夫婦にも負けない熱量を伴っている。
俺にとって、恋太郎は世界で最も大切な存在であるのだ。
まあだからといって、恋太郎に近づく女を消すとかそんなヤンデレじみたことはしない。
恋太郎の幸せは俺の幸せでもあるからな。
なんなら彼女ができるように根回ししてやってたぐらいだ。
恋太郎に彼女ができないのは俺が邪魔してる、とかではなく本当にこいつが絶望的に彼女作りと相性が悪いだけである。
「どうか...どうか恋の神様仏様...!! 高校では彼女ができますように...!」
「私からもお願いします」
と、二人で祈っているとどこからともなく「大丈夫じゃ」と声が聞こえた。
どこから...と辺りを見回してみてもこの神社にいるのは俺と恋太郎の二人だけ。
「こっちじゃこっち」
神社の方から声が聞こえたのでそちらを向くと、そこには
賽銭箱から顔だけを出した髭面の生首じじいがいた。
「ぎゃああああ賽銭泥棒!?」
「こんな奇々怪々な登場の仕方する賽銭泥棒がおるか!!」
「そうだよ恋太郎。どう見ても妖怪か魔物の類だよ」
「それだ!」
「『それだ!』じゃないわ! わしゃこの神社の神じゃ!」
「そんな奇々怪々な登場の仕方する神がいるか!!!!」
にゅっ、と自称神が賽銭箱から出てきた。
チャンス
「ふっ」
「何をしておる」
「目潰しはどんな生物にも有効だと思って..」
目潰しをしようとしたらすり抜けた。どうやらこの世のものではないらしい。
「ええい! おぬしらいい加減にせい! 話が進まんわ!」
「それは確かに。ごめんなさい」
「わかればいいんじゃよわかれば」
そう言うと、神は仕切り直しとばかりに咳払いを一つ。
「...大丈夫じゃ恋太郎。祈願などをせずともおぬしは高校で”運命の人”と出会うことになっておる」
「う...運命の人...!?」
「うむ、”運命の人”とはじゃな...人がこの世に生まれたときに定められる、"最高の恋愛パートナー"同士のことじゃ」
「最高の...恋愛パートナー...!?」
「ああそうじゃ。運命の人同士が出会うと全身にビビーンと衝撃が走り、たちまちお互いのことが好きで好きでたまらなくなる。...俗に言う"一目惚れ"のことじゃ」
「お互いのことが...好きで好きでたまらなくなる...!?」
「ああそうじゃ。ただ注意しなければならないのはこの時、女は”その場ですぐに”、男は”時間をおいて徐々に”相手を好きになると言うことじゃ」
「女はその場ですぐに...、男は時間をおいて徐々に...!?」
「さっきからわしが言ったことちょこっと繰り返すのやめろ、文字の無駄!!! ただでさえここまでで原作の12ページ分しか進んでないんじゃから!」
確かに、ちょっとテンポ悪いな。
でもちょっと待て、いくらテンポ悪いからって流石に聞き捨てならんぞ。
「私は?」
「む?」
「私は恋太郎の運命の人じゃないの?」
「え? いやおぬしは..」
「違うの?」
「そ、そうじゃなおぬしも運命の人じゃ。なんじゃこいつこわ」
やったね。神様のお墨付き貰っちゃった。
「友も運命の人なのか?」
「らしいよ」
「え、じゃあ俺と付き合ってくれるのか?」
「いやそれは無理」
恋太郎が項垂れているのを尻目に神様は説明を再開する。
「運命の人同士はそれぞれ定められた時期に必ず会う運命になっておるのじゃ」
「なるほど...俺は高校でその運命の人と出会い...幸せな恋ができるっていうことなんだな...!」
「復活はや」
「ああ...しかもなんと...おぬしが出会う運命の人は100人もおるのじゃ!!」
「100人!!!?」
「ええ..」
「もう好きな彼女選び放題じゃ。よかったな!!」
「そ...そんな...選び放題だなんて...!!」
「100人て絶対刺されるじゃん...。はっ、さっき私が『恋太郎が刺されるくらいモテますように』って願ったから..」
「えっそういうこと!?」
「恋太郎が刺されそうになったら私が死ぬ気で守るから安心して!」
「それはやめてくれ!」
ッ...
というか、自分が選ばれなかったからって逆ギレして恋太郎を刺しに行くような奴は俺が逆に刺してやりたい。流石にこんなことは言えないが。
まあ恋太郎なら何とかするでしょう。こいつかなりハイスペックだし。
「う...嘘じゃないんだろうな...そんな夢のような話...!!」
「ああ神は嘘などつかぬ」
「じゃあ嘘だったら...この神社燃やしてもいいか?」
「私も手伝うよ恋太郎」
「いくら疑わしいからって普通神を脅すかこのバーチャル世代共が!」
※主人公はチョロオリ主です。