100カノにTS転生幼馴染(運命の人ではない)を加えてみた話 作:クリーンクローン
あの神社以降特に何事もなく一瞬で時は流れ、場はお花の蜜大学付属高等学校の入学式当日。
この大学を名付けた奴は頭がおかしいのだろうか。いくら恋太郎と一緒の高校に行くためとはいえここに出願するのはかなり抵抗感があったぞ。
現在は体育館での入学式が終わり、教室で校則説明を受けているところである。
クラスは幸いにも恋太郎と同じ4組だ。
それにしても...この学校、容姿のレベルがかなり高い気がする。
入学式で話を聞いていた時に見回したとき、パッと見ただけで今まで出会ったことのないレベルの美女美少女が複数いた。
このクラスにも明らかに容姿のレベルの高い人が見られる。
あの見るからにツンデレそうな金髪の切れ長の目をした美麗な子や、高校1年生とは思えないような体つきをした色気のあるタレ目の子。あのメカクレの子も、わかりにくいがかなり完成されたプロポーションをしている。
自分も今世の容姿は悪くない方だと思っていたが、この高校内だと平均程度に収まりそうである。
この高校にいる間は目の保養には困らなそうだ。
辺りを観察しているとプリントが回ってきたので受け取り、後ろに回すために後ろを向くと、
天使がそこにいた。
「...?」
...ハッ
「あ、ご、ごめん」
後ろの天使...女の子が困った表情を浮かべるのを見て我に返る。
しばらく彼女の顔を見たまま固まっていたせいで困惑させてしまったようだ。
俺は前に向き直り、彼女のことについて考える。
何だったんだ今の衝撃は...。あんなのは恋太郎に告白された時以来だ。
小さくて儚げで小動物のような印象をした彼女を視界に捉えた瞬間、衝撃が走ったのだ。
今すぐにでも彼女と話したい所ではあるが...今は先生が説明中である。彼女に迷惑をかけるわけにはいかない。
俺は一度気持ちを落ち着けて前に向き直るのだった。
少したって説明が終わり、この日は解散となった。
さっそく先ほどの彼女に話しかけることにする。
「ねね」
俺が声を掛けると彼女は反応し、顔を上げる。
...改めてみても彼女は可憐だ。大きな瞳に長い睫毛、小柄な体と美しい黒髪。
物語の中から妖精がそのまま出てきたような可憐さである。
俺は自分の中の溢れ出る感情を極力表に出さないように彼女と会話との努める。
「私、幼馴友っていうんだ。あなたのお名前は?」
私が話し掛けると彼女は少し驚いた様子だった。
「あ、ごめんね急に話し掛けて。随分可愛い子がいるなぁ、と思ってさ」
可愛い、と言われて嬉しくない女性は少数派だろう。とりあえずこう言っておけば悪い印象は持たれまい。
彼女ほどの容姿の持ち主であればこの程度の言葉は言われ慣れているだろうから、あまり効果は無いかもしれないが。
そんなこすいことを考えながら彼女のリアクションを確認しようと表情見ると、彼女の顔は真っ赤になっていた。
ッ...ピュ、ピュアだ~!!!!
やばい最高すぎる。ピュアっピュアじゃないかこの子。本当に高1か?
これは絶対にお近づきにならなければ。
俺が平静を装うのに苦労していると、彼女は鞄から学生証を取り出しこちらに見せてきてくれた。
「
コクコクと頷く彼女...好本静ちゃん。
それにしても...
「...教えてくれてありがとう」
フルフルと首を振る好本ちゃん。
...何で何も喋ってくれないんだろう。
何か怒らせるようなことしたかな?初対面でいきなり『ちゃん』付けで呼んだのが不味かったか。
「えっと、好本ちゃんは何委員になるか決めた?私、まだ迷っててさ」
とりあえず無難にさっきの説明で担任が話していたことを話題に出してみる。
内心戦々恐々としていると、彼女は鞄をゴソゴソと漁り出した。
彼女が取り出したのは1冊の本だった。
『
好本ちゃんはその本を開き、文の一部を指差した。
「...?あっ、読めってこと?」
コクコクと頷く好本ちゃん。
「え〜っと、『書庫の管理者である』?図書委員ってことかな」
再び頷く好本ちゃん。
正直舐めてたな...。この子、かなりキャラが濃いぞ。
第一印象がピュアで淑やかな子だったからその分ギャップがすごい。
「そ、そうなんだ!奇遇だね実は私もそうしようと思っててさ」
嘘だ。今決めた。
調子に乗った俺はその流れのまま言葉を紡ぐ。
「にしても凄いね!その本で話すやつさ」
その話題になった途端、彼女の顔に小さく怯えのような表情が浮かぶ。
まずい、話題選びミスった?
俺の罪悪感がマックスになり、内心泣きそうになりながら慌てて謝罪する。
「触れられたくなかった?ご、ごめんね無神経に」
俺がそう言うと好本ちゃんは慌てて首をブンブン振った。
そして、再び本のページをめくって文章に指を指した。
『そうではない』
『彼女は人との会話が何より不得手だった』
なるほど?
「喋るのが苦手だから本を使って会話してるってこと?」
頷く好本ちゃん。
「え~っと、それならあんまり話し掛けない方が良かったかな」
『彼女は人との会話が何より不得手だった』
『しかし、彼女は人との会話は嫌いではなかった』
好本ちゃんはそう言って(?)くれた。
俺は好本ちゃんを不快にさせていなかったことにホッとするとともに、少しの同情も覚えていた。会話が嫌いではないのに喋るのが苦手、というのはかなりのストレスであったろう。
...よし。と俺は改めて決心を固めた。
「好本ちゃん。私と友達になってくれる?」
好本ちゃんはキョトンとした顔をしている。
「私は外部から入学してきた人だからさ、友達少ないんだよね。好本ちゃんとは趣味も合いそうだし、仲良くなりたいんだ」
「だから、私と友達になってくれる?」
そう少し緊張しながら言って、彼女の顔を見た。
彼女の目は、潤んでいた。
!?
「ごごごごごめん嫌だったかな!?無理にとはいわないよ好本ちゃんが嫌なら断ってくれれば」
フルフル、と首を振る好本ちゃん。
『私はこんな人間ですので』
『その生涯の中で友と呼べる者は一人もおらず』
『そう言ってくれて嬉しいです』
そう話す好本ちゃん。確かに、彼女は瞳を震わせながらも嬉しそうにしていた。
その顔を見た俺は自分の頬が緩むのを感じた。
彼女は自分の喜びで他者を幸せにできる人なのだろう。
そんな彼女と友達になれた俺は幸せ者だ。
「好本ちゃん」
こちらを見る好本ちゃん。
「友達の証としてさ、好本ちゃんのこと名前で呼んでいいかな?」
コク、と頷く好本...静ちゃん。
「これからよろしくね。静ちゃん」
静ちゃんは嬉しそうに頷いた。