かめはめ波をブチかませ!   作:mukugawa

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短めですが、どうぞ。


これで最後だ! カイザーボット爆散!

 

 本校舎の地下にホシノの姿はあった。

 

「「「『ホシノ先輩!』」」」

 

 縛り付けられたホシノに駆け寄っていく後輩たち。

 その声に反応するように、ホシノはゆっくりと顔を上げた。

 

「……うへへ、こんな夢を見るなんて。私もとうとう終わりかな」

 

「夢じゃない。みんなここにいる」

 

「寝ぼけるには早すぎますよ☆」

 

「もう、ホシノ先輩ってば……」

 

『心配したんですからね……』

 

 後輩たちが次々と言葉を投げかけながら、その拘束を解いていく。

 その光景を俺は離れて見ていた。

 

「アキラくん……」

 

「大丈夫ですよ、ユメ先輩」

 

 今は後輩を労うターンだ。この戦いで一番頑張ったのは紛れもなく後輩たちなのだから。

 ホシノはやっと現実を認識したのか、後輩たちにもみくちゃにされながら助けを求めるように視線を走らせた。

 

「───え?」

 

 目が、合った。

 驚愕の表情を浮かべたまま、ホシノは固まった。

 

「……」

 

 なんと声を掛ければいいだろうか。

 「久しぶり」……いや、違うな。「おはよう」……これも違うな。

 俺が第一声に困っていると、ホシノはゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。

 

「これって、やっぱり夢? アキラがこんな所にいるわけ───」

 

「いや、それは違う」

 

「…!」

 

「その……久しぶりだな、ホシ───」

 

「アキラ!!」

 

 胴体に強い衝撃。飛び掛かってきたホシノを受け止める。

 

「アキラ、アキラなんですよね!?」

 

「そ、そうなんだけどさ」

 

 どんなパワーしてんだこいつ。体がミシミシいってんだけど。

 相変わらず小さい体躯からは想像もつかない巨人みたいな力だ。

 元気なようで何よりだが、そろそろきつくなってきたぞ……

 

「ホシノ、苦しい……」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 パッと離れるホシノは目に涙を浮かべていた。

 

「ホシノちゃん。よかったね」

 

「ユメ先輩……そうか、ユメ先輩がアキラを連れてきてくれたんですね」

 

「いや、実はそうじゃなくって……私は追いかけてきたというか」

 

「?」

 

「まあ、その話はあとでいいだろ。とにかく、今はこの場所から離れようぜ」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 本校舎から出ると、援軍に駆けつけてくれたゲヘナ風紀委員会とトリニティの戦車隊が待っていた。

 

"みんなもありがとう。助かったよ”

 

 先生からのお礼の言葉に恐らく風紀委員会のリーダーであろうコートを羽織った小柄な少女が答える。

 

「そちらも無事に目的は果たせたようね」

 

"うん。なんとか解決かな"

 

「よかったです……」

 

 戦車隊を率いていたと思われる紙袋を被った奇妙な少女が安堵の息を漏らす。

 ……なんなんだあの紙袋?

 トリニティの部隊長は紙袋を被るルールでもあるんだろうか。

 

「ねえ、アキラ先輩」

 

 ぬっと顔を近づけてきたのは砂狼後輩だった。

 

「近い……なんだ、砂狼後輩」

 

「さっきの青い弾丸はなに?」

 

「神秘を込めた弾丸」

 

「神秘? なにそれ?」

 

「まあ、そうなるよな……話が難しいから説明するのも面倒くせぇ」

 

「ん、説明して。あとで話すって言った」

 

 困った。実際、自分も詳しいわけではないのだ。

 あの黒服から聞かされたことを元にやってみたらできるんじゃないかという精神でチャレンジしたら、空を飛べたり、弾丸が青く輝いたりしたわけで……

 

「……キヴォトス人は大なり小なり神秘っていう力を持っててな。お前も無意識に弾丸に込めていたりする。時々、「敵が妙に吹っ飛ぶな」ってことないか?」

 

「……ある、かも」

 

「その神秘をコントロールして、今度は無意識じゃなく、意識して込めるんだ。すると……」

 

 瓦礫に向かって神秘を込めた弾丸を発砲する。

 3mくらいの瓦礫は一発の弾丸で粉々に砕け散った。

 

「こうなる」

 

「なるほど……こんな感じ?」

 

 砂狼後輩がアサルトライフルを構える。

 放たれた弾丸が瓦礫の一つを粉砕した。

 ……マジか。これが才能の差ってやつか?

 

「驚いたな……お前は筋がいいみたいだ」

 

「ん。それほどでもある。もっと褒めて」

 

「稀に見る天才と言ってもいい。すごいやつだよ」

 

「ん……褒めすぎ」

 

 注文が多いなこの後輩は。

 しかし、天才という言葉はあながち間違いでもないと思う。

 俺がここまで神秘をコントロールできるようになったのは、かめはめ波の練習……もといトレーニングの積み重ねとあのデカいのとの戦いで殻を破ったことが大きい。

 言われただけであっさりと弾丸に神秘を込められるのは才能といってもいい。

 

「お前なら、すぐにかめはめ波も撃てるようになっちまうかもな」

 

「かめはめ波? それって───」

 

 砂狼後輩が何かを言いかけたその時だった。

 並ぶ廃墟を蹴散らしながら。轟音を立てて何かが迫ってくる。

 

「あれは……しつこいぜ。カイザー」

 

 壊れたはずのあのロボットがこっちに向かって黒い煙を上げながら突進してきている。

 

「負けてない! 私はまだ負けてなどいないィ!! カイザーボットが負けるわけなんぞないんだァーー!!」

 

「往生際が悪いぞ、カイザー! 負け犬はとっとと尻尾を巻いて家に帰れ!!」

 

「黙れ黙れ黙れ黙れェーー!!」

 

"アキラ! 煽らないで!"

 

 激情にかられたカイザーPMC理事は俺目掛けて突っ込んでくる。

 俺は砂狼後輩の首根っこを掴み、ホシノ目掛けて放り投げた。

 

「ん!?」

 

「シロコちゃん!」

 

「ちょうどいい。てめえでこれを試してやる……!」

 

 あの時と同じ。体中を駆け巡る力を両の手に……!

 

「潰れてしまえェーー!!」

 

 振りかぶられる鉄拳。

 それよりも早く、この一撃がお前が頼る鉄屑を打ち砕くだろう──!

 

「かめはめ波だァーー!!」

 

 鳥の嘴のような形の両掌から放たれた蒼い閃光が、真っすぐにロボットへと向かい、その装甲を突き抜けた。

 腰部のコクピットより上、胸部にぽっかりと開いた空洞。

 ロボットはその振りかぶった腕を力なくだらんと下す。

 

「な、なにィィーー!?」

 

 ぶすぶすと嫌な音を立てたロボットが爆発し、カイザーPMC理事の断末魔が轟く。

 爆発に巻き込まれた癖に、地面を転がったと思いきやもう立ち上がろうとしてやがる。

 カイザー本社まで吹っ飛んでくれればよかったのに────

 

「へっ、きたねえ花火───」

 

「アキラ!」

 

「アキラくん!」

 

「だっ!?」

 

 一仕事終えて余韻に浸っていたら、ホシノが飛び込んできやがった……

 

「ア、アキラ! 体は、体は大丈夫なんですか!?」

 

「大丈夫ってお前……怪我なんかしてねえぞ」

 

「そんなことを言ってるんじゃありません! 忘れたんですか!? 今まで昏睡してた理由を!!」

 

「寝ちゃダメだよアキラくん! せっかく起きられたのにまた───」

 

 ユメ先輩まで……でも、そうか。

 前は無理やりかめはめ波を撃ったせいで体がボロボロになったんだっけ。

 失敗したな。ホシノやユメ先輩の前で気軽に撃つんじゃなかった。

 余計な心配をさせてしまったな。

 

「大丈夫だよ。もう眠ったりしない」

 

「でも──」

 

「その必要がないんだと思う。わかるんだ、なんとなく……そういうのが大丈夫な体になるためにずっと眠ってたんだって」

 

 多少の倦怠感はあるが、あの時のような全身を焼く痛みは感じない。

 体が神秘の発散に適した体になった証拠なんだろう。

 

「今なら何発でも撃てるぜ」

 

「「やめて!!」」

 

「……はい」

 

 せっかくものにしたのに、今後は撃つのを控えないといけないかもな……とほほ。

 

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