夢のエージェントとなって   作:RE・RIDE

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遅くなりました。


Case 9 爆ぜる(explode)

 

俺はアレクシアを発見し、ゼノンと相対する。

 

そのとき

 

『使え』

 

「え?」

どこかで聞き覚えのある声とともに、コードゼロイダーから黒い武器が飛び出してきて、俺の手に収まる。

 

「なんで⋯これが」

 

ブレイカムゼッツァー⋯!

 

 

俺の手の中には、今まで存在すら確認できなかったゼッツのメイン武器・ブレイカムゼッツァーがあった。

 

一体何故急に⋯まさか⋯

 

「⋯ゼロ?」

 

一度口に出してみたものの、そんなことはないかと思い直し、ゼノンを見据える。

 

「まぁいいか。それじゃあ⋯初めましょうか、ゼノン先生?」

 

 

 

「フッ、どうせすぐに終わるさ。そうだね⋯君は教団の実験材料にでもなってもらうとしよう。貴重な若い魔剣士のサンプルだ。研究所のジジイどもは大喜びだ」

 

そう言って剣を構え、強く踏み込んで俺に斬りかかる。

 

俺はブレイカムゼッツァーでそれを難なく防ぐ。

 

「ほう⋯今のを防ぐか。凡人にしてはやるみたいだね」

 

ゼノンと俺は鍔迫り合いを繰り広げる。

 

「あんたの剣も、自分で思ってるほど才能があるわけじゃないがね」

 

俺はそう言ってゼノンの腹を蹴り、そのまま下からゼノンの鎧を切り上げる。

 

「ぐっ⋯!?なめるなぁ!」

ゼノンは先ほどアレクシアに使ったラウンズの剣を発動し、剣に魔力を込める。

 

「バク!」

思わずアレクシアが叫ぶが、

 

「Don't worry(心配するな)」

 

アレクシアを一瞬見てそれだけ言う。

 

「よそ見をしている暇があるのかな!」

するとゼノンは膨大な魔力を込めた数十もの剣戟をバクに叩き込む。

 

だが

「甘い」

バクはすべてを寸分の差異もなく完璧に相殺していく。

 

「なんだと⋯!?」

いつしかアレクシアはその光景に見入っていた。

 

あれが自分と同じ凡人の剣なのか、そんな疑問とともに、白く光る刀身の軌跡に魅せられ、あれこそ自分が追い求めた理想の剣だと、そう確信した。

 

才能にも力にも左右されない、ただただ基礎を積み重ねた、持たざる者にしかたどり着けない極地。あらゆる無駄を完全に排除したその剣が、今まさにゼノンの剣を打ち負かそうとしている。

 

 

「なんて素敵な剣⋯」

 

 

アレクシアは彼の剣が好きだ。

 

剣筋を見れば、その人がどんな人生を歩んできたのかが見える。

 

彼の剣は、ただただ鍛え、それでも尚届かない誰かを追いかけるかのように、ひたむきで真っ直ぐな剣だ。

 

 

「アイリス姉様⋯」

もしかしたら姉も自分と同じだったのかもしれない。

 

この剣に同じ物を感じたからこそ、あの日姉はああ言ったのかもしれない。

 

心の何処かにつっかかっていた何かが、ようやく取れたような気がした。

 

 

 

 

「な、何故だ⋯なぜ凡人が私の剣をいとも簡単に防げる!貴様は何者だ!」

 

「そのうち分かるさ。今度は⋯こっちから行くぜ」

 

「っ!」

 

バクが姿勢を低くした次の瞬間、ゼノンの剣の刃が毀れた。

「なっ⋯!?」

 

「はっ!」

そのまま数連撃を人体の急所に叩き込む。

「がっ⋯!」

 

 

 

数分後、ゼノンは白目をむいて膝から崩れ落ちる。

「もう終わりか?」

 

バクはゼノンを見下ろす。

 

「くっ⋯!」

ゼノンは体を抑えて後退する。

 

「しょうがない⋯!たかだかガキにこんな諸刃の剣を使いたくなかったのだが⋯!」

 

 

 

するとゼノンは懐から黒いガントレットのようなものを取り出す。

 

「っ!それは⋯!」

 

バクはそれに反応し、ゼノンは笑みをこぼす。

 

「教団が〝黒き薔薇〟から流れ着いた設計図をもとに完成させた兵器⋯これを使えば!」

 

ゼノンは黒いカプセルのようなものを取り出し、腕につけたガントレットにセットする。

 

シャドウ⋯!

 

そしてガントレットを回転させる。

 

リリース⋯!シャドウ⋯!

 

すると身体の至る所に目のような意匠のついた黒い怪人が現れる。

 

「ナイトメア⋯!」

バクがそうこぼし、アレクシアは復唱する。

 

「ナイトメア?」

 

「行け!」

ナイトメアと呼ばれた怪人がバクに襲いかかろうとしたそのとき

 

「グァ!」

ナイトメアが何かに吹き飛ばされる。

 

 

 

すると

 

 

 

カツ、カツ⋯という足音が聞こえ、闇の中から漆黒の装束を身にまとった男が現れる。

 

「何者だ!」

 

ゼノンがそう言うと、男はフードの中から口をのぞかせて言った。

「我が名はシャドウ。陰に潜み、陰を狩る者」

 

 

 

「漆黒を纏いし者⋯なるほど、君が近頃教団に噛みついてくる野良犬という訳か」

 

 

「シャドウ⋯」

 

「小規模の拠点をいくつか潰した程度でいい気になっているようだが⋯残念ながら君たちが潰した拠点に教団の主力は一人もいない。ただ雑魚を狙っているだけの卑怯者に過ぎない」

 

「誰を狩ろうと何処で狩ろうと同じことだ」

 

「同じじゃないさ。なにせ教団の主力はここにいる。次期ラウンズ第12席・ゼノン・グリフィ。君の命、ラウンズへの手土産とさせてもらおう!」

 

そう言うとゼノンはシャドウに斬りかかる。

しかし

 

「なっ⋯!」

シャドウの漆黒の刀に軽々と防がれ、驚愕に目を見開く。

 

「弱いな」

そう言ってシャドウはゼノンを斬り捨てる。

 

「がっ⋯!」

ゼノンは血を流しながら後ずさる。

 

「フッ⋯フハハ⋯!私が敗れたところで、まだあいつがいる⋯!やれ化け物!」

 

するとシャドウにナイトメアが襲いかかる。

 

「ギャ!」

 

ナイトメアは攻撃をかわしたシャドウに蹴り飛ばされる。

 

「知能のない獣など、我の敵ではない」

シャドウは漆黒の刀でナイトメアの体を斬る。

 

「グギャア!」

「踊るとしよう」

シャドウは舞うような剣でナイトメアを押していく。

 

 

「あの剣⋯楽しそう。それでいて基礎を忘れていない⋯!」

 

アレクシアはその光景を目に焼き付ける。

 

「すごいだろ、あいつが俺の剣の師さ」

バクがアレクシアの隣に立って言う。

 

「あなた⋯体は大丈夫なの?」

アレクシアは、バクがゼノンと戦っているときに見えた腹の傷を思い返して言う。恐らく拷問で受けた傷だろう。そこまでの目にあって尚、彼は自分を助けに来てくれた。

 

「まぁ大丈夫さ。それより⋯」

バクはアレクシアの頭に手を置く。

 

「えっ⋯?」

「⋯よく頑張ったな。後は任せろ」

 

すると爆発が起こり、煙で前が見えなくなる。

 

バクはその中に走っていき、姿は見えなくなる。

 

その背中を見送った後、アレクシアは頬を染めて口角を上げる。

「⋯ばか」

 

 

 

「グギャアァァ!」

ナイトメアは火花を散らして倒れ伏す。

 

「ば、バカな⋯!教団の最終兵器が⋯!」

ゼノンはキッとシャドウを見上げる。

 

「なんなんだ貴様はぁ!何故それほどの力がありながら、正体を隠す!」

その言葉にシャドウはフッと笑いをこぼす。

 

「我らはシャドウガーデン。陰に潜み、陰を狩る者⋯我はただ、それだけのためにある」

 

「正気か⋯!?貴様⋯!」

 

「残念ながら、俺達はとっくに正気ってやつを忘れてるんでね」

するとシャドウの背後からバクが現れる。

 

「バク・コードリー⋯!貴様さえいなければ!」

ゼノンはバクに襲いかかる。

 

だが

 

インパクト!

 

赤いカプセルのようなものを握ったバクの拳一撃に、ゼノンは沈む。

 

「かはっ⋯!き、貴様は⋯!ただの学生じゃないな⋯!」

「御名答」

 

バクの姿が漆黒のスライムに包まれ、それが消えると、黒いコートにエージェント服をまとった姿となる。

 

「俺の名はゼッツ。この世の悪を撲滅する、無敵のエージェントだ」

 

そう言うと胸にドライバーを巻き、カプセムをセットし、トリガーを押す。

 

インパクト!

 

「I'm on it(さぁ、やろうか)⋯変身」

 

グッドモーニング!ライダー!ゼ!ゼ!ゼッツ! インパクト!

 

 

瞳に灯った光が煙の中で輝き、体から溢れ出る圧が煙を晴らす。

 

「あれは⋯」

アレクシアは奇妙な姿の存在をみとめる。

 

 

ゼノンは目の前で異形の化け物へと変わったバクに目を見開く。

 

「そうか⋯!お前だったのか⋯!お前が教団の中で噂されていた赤目の化け物⋯合点がいった」

そう言うとゼノンは立ち上がる。

 

「フッ、フハハハハハ!いいだろう!貴様たちが本気だというなら、私もそれに答えようじゃないか!」

ゼノンは赤い錠剤が入った瓶を取り出す。

 

「これによって人は人を超えた覚醒者となる!常人が使えばその力に耐えきれず身を滅ぼすが⋯!」

ゼノンが錠剤を口に入れると、ゼノンの周りに赤黒い魔力が迸る。

 

ゼノンの姿は異形へと変わる。

「覚醒者・サード⋯!この力を制御してこそ選ばれし者。加えて⋯!」

 

 

ゼノンはガントレットを胸にかざす。

 

するとガントレットが変形し、バックルのような形になると、そこから帯が伸びる。

 

「⋯その形状」

(まるでノクスドライバーだな)

 

ゼッツがそんなことを思っていると、ゼノンはカプセムをはめて、回転させる。

「夢化⋯!」

 

シャドウ!メタモルフォーゼ⋯!

 

するとゼノンの体に倒れていたシャドウナイトメアが纏われる。

 

「うぉぉぉ!」

ゼノンの姿がナイトメアのような姿に変わり、体中に目のような意匠がつく。

 

「これこそ⋯!悪夢顕現⋯人類の最高到達点⋯私こそが最強だぁ!」

 

 

「⋯フッ、醜いな」

「なぁにぃ⋯?」

シャドウは笑って言う。

 

「所詮その程度の力が最高到達点とは笑わせる。貴様のそれは進化ではない。変質だ」

 

「貴様⋯!教団にあだなす野良犬の分際でぇ⋯!」

 

 

 

「⋯ならば刮目せよ。ここからが見せ場だ」

そう言うとシャドウはどこからか漆黒のドライバーを取り出す。

 

シャドウインヴォーカー⋯!

 

「っ!お前それどこで⋯!?」

ゼッツはシャドウを見て言うと、シャドウは笑みをこぼす。

 

「奇妙な茶飲み友達からの贈り物だ」

 

そう言うとシャドウは銀色のカプセムを取り出す。

 

「⋯我が色に染まれ」

シャドウがカプセムを握りしめ、魔力を込めると、その色は青紫色の中に黄色と赤のグラデーションが入ったカプセムへと変わり、中の絵柄の色も変わる。

 

 

シャドウはドライバーを胸に巻き、カプセムをセットし、トリガーを押す。

 

イレイス!

 

オ・オ・オンユアマーク オ・オ・オンユアマーク

 

「I've arrived answer(我は答えにたどり着いた)⋯擬装」

 

インヴォーク・ナイト システム イレイス⋯!

 

その姿は、青紫のアンダースーツに、赤い複眼、そしてコートを羽織ったかのような姿の戦士に変わった。

 

「黒い⋯ノクスナイト⋯!」

ゼッツがそう漏らすが、シャドウは否定する。

 

「否、我が名はナイトシャドウ。闇夜の陰だ」

 

 

 

「ほざけぇ!」

ゼノンが影に隠れ、背後からナイトシャドウに襲いかかる。

 

「所詮姿が変わったところで⋯!最強であるこの私に勝てるものかぁ!」

 

だが

「!?」

その姿はどこかへ消える。

 

「どこへ⋯っ!グァァ!」

ゼノンは大型の武器に斬られ、吹き飛ぶ。

 

「確かに、姿が変わっただけだな」

 

ゼノンを斬ったナイトシャドウの手には、青紫の持ち手部分から漆黒の刀身が伸びているブレイカムバスターが握られていた。

 

「今宵に相応しい色だ。やはり、時と場所はわきまえなければな」

そう言ってブレイカムバスターを上に放り投げ、ゼノンに接近し、間髪与えずに数発のパンチを繰り出す。

 

「ぐっ⋯ぐぁぁ!」

ゼノンは血を吐きながら崩れ落ち、ナイトシャドウは落ちてきたブレイカムバスターをキャッチして、スライムスーツの中にしまう。

 

 

 

「おいおい⋯俺の出番ないじゃん」

ゼッツは一人取り残され、立ち尽くす。

 

すると

その背後からゼノンが生み出した分身体のシャドウナイトメアたちが襲いかかる。

 

「そうそう、こうでなくちゃ」

次の瞬間、先陣を切っていたナイトメアたちがブレイカムゼッツァーの一撃で塵と消える。

 

「はぁぁ⋯ハァ!」

ゼッツは腕に力を込め、ナイトメアたちをパンチで消し飛ばす。

 

「いいもん見せてあげるよ」

ゼッツはブースターカプセムを取り出すと、ブレイカムゼッツァーにセットし、回転させる。

 

ブースター!

 

するとコードゼロイダーが炎をまとい、ゼッツの元へと走ってくる。

 

ゼッツはコードゼロイダーに飛び乗り、ブースターカプセムをゼッツドライバーにセットする。

 

ブースター!

 

「行くぜ、ゼロイダー」

ゼッツはドライバーのトリガーを押す。

 

ブースター!パニーッシュ!

 

 

ゼッツはそのまま突っ込み、ナイトメアたちは蒸発する。

 

爆発が起こり、そこから現れたゼッツはゼロイダーを急停止させる。

「お疲れ様、ゼロイダー」

 

 

 

 

「クソぉぉ!」

ゼノンはナイトシャドウに魔力を込めた渾身の一閃を叩き込む。

 

だが

「っ⋯!モロにあたったはずだぞ⋯!」

 

「この程度の力で最強を騙るなら、それは最強への冒涜だ」

そう言ってゼノンを斬り上げる。

 

「グァァ!」

胸のドライバーが壊れ、ゼノンの姿が覚醒者の姿に戻り、飛んできたシャドウカプセムをナイトシャドウがキャッチする。

 

「借り物の力で最強へと至る道など⋯ない!」

そう言ってナイトシャドウは転がっていた瓶を踏み砕く。

 

 

 

それと同時に魔力の領域が展開される。

 

「なんだ⋯これは⋯!?これが魔力なのか!?個人の魔力でこんな⋯こんなぁ!」

 

「なぜ貴様の攻撃が先ほどの一閃を除いて我に当たらなかったか分かるか?」

 

「何を⋯!?」

 

「我は我自身を消した。そして再び顕現した」

 

「ありえない⋯!自分で自分を殺したというのか⋯!?」

 

ナイトシャドウは擬装を解除し、元の姿に戻る。

 

「遊びは終わりだ」

 

(っ!今ならば⋯!)

 

「死ねぇ!」

ゼノンがシャドウに魔力を込めた剣を振り下ろすが、シャドウの体に触れた剣は砕け散る。

 

 

「なっ⋯!?」

 

「何を驚いている。言っただろう、〝姿が変わっただけ〟だと」

 

「まさか⋯本当に⋯!」

 

「かつて⋯核に挑んだ男がいた。男は肉体を鍛え、精神を鍛え、技を鍛えた。だが、それでも届かぬ高みがあった⋯」

 

(しかし、僕は諦めるわけにはいかなかった。だから修業を重ねた果て、ひとつ、答えにたどり着いた⋯)

 

「核で蒸発しないためには、自分が核になればいい!」

シャドウの目は変わらなかった。

 

 

「っ!この狂人がぁぁぁ!」

ゼノンは魔力を込め、拳を突き出すが、その拳はゼッツによって止められた。

 

「今こいつが話してるだろ。黙ってろ、三下」

 

「っ⋯!」

ゼッツに気圧され、ゼノンは戦意を喪失する。

 

 

 

ゼッツは魔力領域から出る。

 

アレクシアはその姿を見て

「あなたは⋯」

 

「静かに。⋯今から良いものが見られる」

そう言ってアレクシアの頭に手を置くと、去っていった。

 

「今のって⋯まさか⋯!」

 

アレクシアが振り向くと、そこには誰もいなかった。

 

 

 

シャドウは漆黒の刀を振りかぶる。

 

「真の最強を、その身に刻め」

 

魔力がシャドウに集約する。

 

「これぞ我が最強⋯!」

 

 

アイ・アム(我は)⋯⋯

 

 

アトミック(核なり)

 

 

シャドウが剣を振り下ろすと、次の瞬間、その場が青紫の光に包まれる。

 

七陰たちはその景色をうっとりと眺め、王都は彼の魔力に彩られた。

 

これが、シャドウガーデンが初めて表舞台に現れた1日であった。

 

 

 

 

 

◆

 

アレクシアは人の温もりを感じて目を覚ます。

 

「え⋯?」

 

「あっ、起きた」

 

まず目に入ったのはバクの顔だった。

 

「いやぁ、参ったねぇ。煙で前が見えなくて、どこを探したもんかとウロウロしてたらこの有り様」

バクがそう言って目を向けた場所に、アレクシアも視線を動かす。

 

そこはクレーターのようにえぐられ、先ほどの閃光の威力を物語っていた。

 

「どう、立てるか?」

バクに言われて初めて、自分がバクにお姫様抱っこをされていることに気付いた。

 

「え、えぇ。⋯ありがと」

アレクシアは足をおろし、立つ。

 

「⋯いつか私にも、あなたのような剣が振るえるような時が来るのかしら」

 

「⋯さぁね」

バクはそっけなく返す。

 

「⋯でも」

 

「?」

 

「君がそれを夢見るなら、いつかきっと」

 

そう言って優しく微笑む彼に、アレクシア頬を染める。

 

「っ⋯!⋯フフッ、えぇ。叶えてみせるわよ」

 

 

「それじゃあ俺はこれで。姉妹二人、水入らずで話すといい」

 

「⋯えぇ。あなたたちのおかげで、答えにたどり着けたわ。⋯ありがとう」

 

「じゃあ、また学校で」

 

「っ⋯!えぇ、『また』ね」

そしてバクは去っていく。

 

 

 

「アレクシア!」

するとアイリスが現れ、アレクシアを抱きしめる。

 

「アレクシア⋯!無事で良かった⋯!本当に⋯!」

 

アイリスはばっと離れて心配そうにアレクシアを見つめる。

 

「ごめんなさいっ、⋯冷たかったでしょう」

 

その言葉にアレクシアは首を横に振る。

 

そしてアイリスを再び抱き寄せる。

 

「ありがとう、アイリス姉様」

 

 

 

 

◇◇◇

 

アレクシア誘拐事件は、真犯人ゼノン・グリフィの死亡によって幕を下ろした。

 

色々あったけど、結果オーライってところかな。

 

思わぬ収穫も得たし、俺としても悪いことばかりじゃなかった。

 

「表面上は解決ということになったわ。あなたも晴れて無罪よ」

 

「みたいだね、冤罪が晴れたよかったよ」

 

俺はアレクシアに呼び出されて校舎裏に来ていた。

 

「でも姉様は専門の調査部隊を立ち上げる準備をしているし、私も協力するつもりだからまだこれからね」

 

「姉さんと仲直りできたみたいで何よりだ」

 

「⋯そうね」

頬を赤くして言う。

 

「色々聞きたいこともあるのだけれど⋯今回の件に免じて、見なかったことにしてあげるわ」

 

「それはどうも」

俺としてもそれは助かる。説明がめんどくさいし、そもそもどこまで把握してるのか分からないからだ。

 

「それと⋯その、ひとつ、提案なんだけど⋯」

 

そう言ってアレクシアはモジモジと動き、言葉を紡ぐ。

 

「今まで私たち、偽の恋人を演じてきたわけじゃない⋯?だから⋯もしあなたさえ良ければ⋯その、もう少しだけ付き合ってほしいのだけれど⋯」

 

こいつは予想外。

 

「⋯魅力的な相談だけど、ごめん。俺はいつ消えるかも分からない身⋯君にはもったいない。もっといい男がいるはずだ」

 

そう言って彼女の頭に手を置く。

 

「⋯そうね。あなたならきっとそう言うと思ってた」

 

すると

 

「⋯!」

 

アレクシアが俺の唇に自分の唇を触れさせる。

 

「⋯諦めないからね、私。覚悟しておきなさい」

 

今までで1番と言えるほどの素敵な笑みを浮かべてそういう彼女に、思わず胸がどきりとした。そしてアレクシアは去っていく。

 

◇◇

 

「ふ~ん、つまり王女様とのロマンスは終わる気配がないと」

 

「⋯まぁな」

 

俺はシドと学園の中庭を歩いていた。

 

「そういや、前のアレ。出すなら言ってくれ。人気のないところでリカバリーで直すことも、あれだけ注目集めちゃできないだろ。人的被害がなかったのは幸いだったが⋯」

 

「失礼な。僕だって考えなしにアトミック撃ったりしないよ」

そんな会話をしていると、シドが大量の本を持って歩く少女にぶつかった。

 

 

「ごめん、大丈夫?」

尻もちをついた彼女に、シドが手を差し出すと、桃色髪の少女は顔を染める。

 

そしてその手を取ったのだった。

 

なんだ、このエフェクト。キラキラして眩しい。

 

まさかこの出会いが、あんな事件につながるとは、その時の俺も⋯まぁ少しばかりそんな気がしていたのだった。

 

 

 

 

 

 




・ナイトシャドウ
シャドウがシャドウインヴォーカーとイレイスカプセム(シャドウver.)を使用することで擬装できる戦士。

身体能力や肉体強度、魔力量などは一切上昇しておらず、シャドウにとっては着替えた程度の変化しかないため、シャドウの技術、肉体、精神に機能のすべてを依存している。



◇◇◇

シドはシャドウの格好ではあんま白い装備とかつけたくなさそうだなと思ったのでわざわざ黒いオリジナルドライバーを出しました。

書いててめっちゃゼノンボコボコだなと思いました。

まぁいっか。


追記:めっちゃ表記ブレしてました。ナイトシャドウが正しいです。混乱させてしまって申し訳ありません!


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