アルファが俺達の仲間となってから数日、俺はいつものように鍛錬の道すがら、偶然見つけた盗賊を狩っていた。
「クソっ⋯!俺達が何したってんだよ!」
リーダー格らしき男がそう言って俺に折られた剣を持った手をだらんとおろして言う。
「あの世で考えろ」
そう言って俺はワルサーP38の引き金を引く。
「残りは⋯」
リーダー格を狩っても、残りの盗賊たちは逃げる気配がない。大したものだ。
「なら⋯」
俺はゼッツドライバーを胸に巻く。
「なけなしの敬意を払ってやろう」
俺はマシーナリーカプセムをゼッツドライバーにセットし、トリガーを押す。
俺は親指と人差し指と中指を立てた右手を前に出して、手を2回ほどスナップさせる。
「
ゼッツの目と体のラインが青くなり、腕には機械手腕であるマシーナレムアームが現れる。
「なんだ、この化け物!」
俺の姿に怯んでいる盗賊たちを横目に、俺はマシーナレムアームを展開し、クローアームに変形させる。
「ハァ!」
魔力をのせた一振りで、盗賊たちの胴体と周りの木は切断された。
「さすがにやりすぎたか⋯」
俺は血の海となったあたりを見回して反省する。
今度からはもっと片付けやすいように斬ろう。
「ん?」
俺は物陰で何かがうごめいているのを見つける。
「まさか⋯」
俺が駆けつけると、そこには悪魔憑きがいた。
「悪魔憑き⋯参ったな、シドは今アルファと教団狩り⋯もとい盗賊狩り中でいないからな⋯」
俺は未だに悪魔憑きの治し方がよく分かっていないのだ。
「俺の魔力暴走の時もカプセムの力で⋯って待てよ。もしかしたら⋯」
俺はリカバリーとトランスフォーム、マシーナリーのカプセムを取り出す。
「⋯悪いけど、少し試させてくれ。安心しろ、君を傷つけるようなことはしない」
俺は悪魔憑きの頭?らしき場所に手をおいて語りかけると、カプセムを構える。
「行くぞ⋯」
トランスフォームの物体の形を変える力の解釈を拡大して、魔力の形を受け止められるように調整し、体がそれに耐えきれるようにマシーナリーの精密性で魔力の性質を変え、体の機能と形質をリカバリーで治していく⋯
かつて俺が無理やり自分の体を治すときに使った方法だ。
あのときの俺は未熟だったため、自分の体がどうなろうと多少は許容する勢いでやっていたが、あのときの経験を得て、成長した俺なら⋯!
「はぁ⋯はぁ⋯初めてだとやっぱ緊張するもんだな⋯どっと疲れた⋯」
そう言いながら元の美しい銀髪のエルフの姿へと戻り、寝息をたてている少女に目を向ける。
「ん⋯あれ⋯私⋯!」
少女は目を覚まし、自分の体を見る。
「目が覚めたか」
少女が顔を上げると、そこには茶髪の少年がいた。
「君の悪夢はもう終わった。君にかかっていた呪いは俺が解いたからな」
「ディアボロス教団⋯私たちが英雄の子孫⋯そんな話が本当に⋯」
「驚くのも無理はないさ。それで⋯君はどうする?」
「え⋯?」
「俺達とともに来るか?シャドウガーデンへと⋯ただし、一歩足を踏み入れれば、もう後戻りはできない。それに⋯」
少年は黒い装置を胸に巻く。
「変身」
ゼッツと名乗った少年の姿は異形の怪物へと変わる。
「な⋯なにこれ⋯!?」
「俺の見てくれはこの世界では化け物だからな。好きに選んでくれ」
少女は意を決してこちらを見る。
「あなたが私をずっと続いた悪夢から救ってくれました。私には⋯もう居場所なんてありません。だから⋯ついていかせてください」
「⋯決まりだな」
ゼッツは手を伸ばし、少女はその手を取る。
スライムスーツを身にまとった銀髪エルフに、ベータという名をつけた俺は、一旦拠点に戻り、シドたちが帰ってきたあとに彼女を紹介した。
かくして、シャドウガーデンの構成員2号が誕生したのだった。
数週間後、
「さてと、そろそろここも紹介しとかないとな」
そんな事を考えながら、俺はゲートカプセムをドアノブに当てて回転させ、中にはいる。
「フッフーン、いつ来てもここは良いもんだなぁ」
作戦室を一望して俺はそうつぶやきながら、ガシャ・カプセムドロッパーの前に行く。
「さて⋯今日は何が出るかな?」
俺がハンドルを回転させると、特徴的な効果音とともにカプセムが排出される。
「これは⋯プロジェクションか」
薄い青色のカプセムをまじまじと見つめながらつぶやく。
「人手が欲しいときには便利か⋯でもこれ、結構なチート性能なんだよなぁ。性能に頼りすぎるのはエージェントとしてどうかと思うし、シドにも小言言われそうだな⋯まぁ、慎重に使うとしよう」
俺はプロジェクションをカプセムシリンダーにしまう。
「さて⋯今日もアレの開発、始めますか」
俺は金庫に暗証番号を入力し、開くと、そこには開発中のエクスドリームドライバーとライズカプセム、そしてロードインヴォーカーの試作機を取り出す。
「これからもガーデンメンバーは増えるだろうし、戦力があるに越したことはないからな」
机にロードインヴォーカーとエクスドリームドライバーを置いて、今日も俺はエクスドリームドライバーとライズカプセムの開発に取りかかる。
「そうだ、プロジェクションがあるんだから、人手が増やせるじゃん!」
俺は早速、プロジェクションカプセムを取り出す。
すると俺の分身が8体ほど現れ、各自ドライバーとカプセムの開発に取りかかる。
「ついでにこれもっ」
俺は分身たちにマシーナリーカプセムを当てて回転させる。
すると分身たちは自由自在に工具を取り出し、作業を続ける。中には腕をマシーナレムアームにして精密性をあげるものもいた。
「じゃあ俺は⋯これを量産するか」
俺はゼロが遺したゼッツフォンとゼッツカメラ、ゼッツライセンスとゼッツセンサーを取り出す。
そのとき
「あれ?そういえばあの日ゼロも⋯」
『お前には、夢と現実を行き来するエージェントとしてこの世界を守ってもらう。強大な敵⋯ディアボロス教団から』
と、ゼロが死の数日前に言っていたことを思い出す。
「ディアボロス教団⋯確かにそう言ってたよな。あのとき焦るシドを手助けするつもりで言った言葉だったけど⋯まさか」
俺はゼロが座っていた場所まで上がり、机の引き出しを開ける。
そこには
「あった⋯!」
そこには『ディアボロス教団について』と書かれたファイルが収められていた。
俺はそれをめくって中身に目を通す。
「⋯マジか。まさか⋯本当に実在するのか」
俺は中身を読み終え、息をつく。
「⋯まぁ、俺のやることは変わらないさ」
俺はドライバーを取り出す。
「ゼロ⋯あんたが何をしたかったのか、何を目標にしていたのか、そんなことは俺には分からない。だけど⋯安心して眠れ。後のことは、俺がなんとかする」
そのとき、コードゼロイダーから物音がした。
「なんだ?」
俺が下に降りると、そこには白いカプセムが落ちていた。
「これは⋯ブースターカプセム⋯!」
コードゼロイダーの原動力となっているカプセムだ。なぜこのタイミングで出てきたのかは知らないが⋯使わせてもらうとしよう。
「⋯ま、考えすぎるのもめんどくさいし、今まで通りに行こう。あの報告書に書かれていた内容とシドの言っていたことは概ね合ってたし、あいつは運を持ってる⋯あいつについていけば、ディアボロス教団にあたる。そんな気がする」
俺はそう言ってブースターカプセムを握る。
「⋯ということで、方針は変わらずだ。俺のエージェントとしての夢は、まだ始まったばかりなんでね。楽しませてもらおう」
ある程度ガジェットの量産を終え、俺が拠点に戻ると、ベータがベッドの上で泣いていた。
「どうした?」
「ゼッツ様⋯お見苦しいところをお見せして申し訳ありません⋯!」
そう言ってベータは涙を拭う。
「いいからいいから、何があったんだ?」
「実は⋯」
ベータが語ったことはこうだ。
シャドウガーデンに入ったものの、躊躇なく盗賊を狩る俺やシドに対して少し怯えているようで、殺人に抵抗を覚え、悪夢を見ているらしい。
「なら、読み聞かせでもしてやるよ」
「読み聞かせ⋯?」
「ああ。ほら、横になれよ」
ベータが布団を被ると、俺は前世のおとぎ話を話し始めた。
ベータが眠ったのを確認すると、俺はゼッツドライバーを取り出す。
「さて⋯俺も行くとするか」
「はぁ⋯!はぁ⋯!」
ベータは夢の中でなにかから逃げていた。
自分が殺した盗賊なのか、それとも心の中のどこかで恐れている盟主シャドウやゼッツなのかさえ分からない。
「あっ!」
ベータはなにかにつまずいて転ぶ。
「はぁ⋯はぁ⋯!来ないで⋯!」
黒い靄がかかった存在がベータににじり寄ってくる。
そのとき
「ハァァ!」
何者かのキックが、闇を貫く。
「ウォォォォォ!」
黒い靄は晴れ、ベータはそれを祓った者の姿を見る。
「あなたは⋯」
その姿は、自分を救ってくれたゼッツによく似ていた。
「もう大丈夫だ」
そう言ってゼッツらしき者はベータの頭に手を置く。
「これからは良い夢、見られますように」
そこでベータの目は覚める。
「どうだ?良い夢、見れたか?」
いつの間にか枕元に座っていたゼッツはベータにそう問いかける。
「はい⋯!ゼッツ様のおかげです⋯!」
「これからはシャドウと相談して日替わりで俺達が読み聞かせに来るから、安心するといい」
「はい!ありがとうございます!」
その後、それを聞きつけたアルファも読み聞かせを「私にも」と言い出したのはまた別のお話。
最初の方を読んで、「これアルファとの出会いの焼き直しじゃね?」と思ったそこのあなた。安心してください、書いてて自分もそう思いました。
感想や評価、お待ちしてます。お気に入り登録してくださると嬉しいです。
ヒロインは誰がいい?(上位三人をヒロイン入り)
-
アルファ
-
ベータ
-
ガンマ
-
デルタ
-
イプシロン
-
ゼータ
-
イータ
-
シェリー
-
ローズ
-
上記以外のヒロイン