あれから3年、
アルファが次々に悪魔憑きを拾ってきたり、俺達が見つけたりするもので、シャドウガーデンの構成員は俺とシドを含めて9人に増えていた。
そして、今日も今日とてクレアによる俺達の鍛錬中だ。
「ハァ!」
俺は剣を持ってクレアに斬りかかる。
だがそれは簡単に防がれる。
「甘い!」
そして腹に蹴りを入れられそうになるが、俺はそれを左手で防ぐ。
「どっちがかなっ!」
俺はそのまま剣を離して、落下する剣を地面スレスレでキャッチするとそのまま逆手持ちで斬りかかる。
が
「まだまだね」
「へぶっ!」
クレアの剣に弾かれ、例によって川にドボンする。
「あんたも成長しないんだから⋯」
そう言ってクレアはため息をつく。
正直、この年齢にしてはクレアの実力は大したものだ。だからギリギリ負ける程度の実力を演じるのにも一苦労なんだよな。
そうそう、クレアは数日後に王都にあるミドガル魔剣士学園へと入学するらしく、その準備を進めている。
王都かぁ⋯いいなぁ⋯
などと思って過ごしていたある日
いざその日になると、クレアは姿を消した。
俺がシドの部屋へと向かうと、そこにはベータもいた。
「来たか」
「ああ、ベータもいたのか」
「ゼッツ様、お二方に作戦を共有しておこうと思ったのですが姿が見られないようでしたので⋯申し訳ありません」
「いいっていいって。それより⋯場所を変えよう」
「「?」」
二人は首を傾げる。
俺はゲートカプセムを取り出して、ドアノブに当てて回転させる。
そしてドアを開くと
「これは⋯!」
「ようこそ、俺の作戦室へ」
「いつの間にこのような空間をお作りに⋯!」
「紹介が遅れただけで、この空間自体は昔からあったんだ。ただ⋯鍵にはこいつが必要なんだけどな」
俺はそう言ってゲートカプセムを見せる。
「なるほど⋯毎日決まってどこかへ行っていたのは、ここに通っていたからか」
そうシドは納得する。
「そういうことだ。それで⋯説明を頼む」
ベータによると、クレアはおそらく英雄の子の疑いをかけられているらしく、そのせいでディアボロス教団にさらわれたらしい。
ベータは地図を広げる。
「ご覧ください。我らが突き止めた教団のアジトです。ただ⋯この中のどれにクレア様がいるかまでは⋯」
「そこだ」
そのとき、ゼッツルームを興味深そうに眺めていたシドはスライムでナイフを作り、地図に向かって投げる。
「ソコニ ネエサンハ イル」
だがその位置は記されているアジトからズレていて、俺からしたら「あっ、こいつミスったな」ってことがすぐ分かった。
「ですが⋯ここには何も⋯ハッ!まさかこれはブラフ!?だとすれば⋯この記述と照合すればすべて繋がる⋯!シャドウ様!ご指摘のポイントに隠しアジトがあると思われます」
「ダカラ イッタロウ」
(絶対偶然だな)
「七陰に伝えてくれ、決行は今夜だ」
「はい!」
ベータが去ったあと、シドは目を輝かせて俺の肩を掴む。
「ねぇなんで!?なんでこんな面白いこともっと早く話してくれなかったの!?」
「い、いやぁ⋯作業の邪魔されたくなくて言うの忘れてたわ⋯」
そう言いながら俺は目をそらす。
「⋯まぁいいや。これからは僕もここに出入りできるようにしてね」
「そう言うと思って⋯作っておいたよ」
俺は複製したゲートカプセムをシドに渡す。
「おぉ!さすがバク!」
「しょうがないから、そこのガシャも引いていいぞ」
俺はカプセムドロッパーを指して言う。
「これってガシャポン?」
そう言ってシドがハンドルを回すと、銀色のカプセムが排出される。
「なにこれ」
「こいつは⋯イレイスか」
かつて小鷹賢政ことノクスがノクスナイトへの擬装に使っていたカプセムだ。カプセムドロッパーからも出てくるもんなんだな。
「そいつはやるよ」
「えっ、いいの?」
「ああ」
かくして、シドはイレイスカプセムを手に入れた。
「私にも、娘がいる。故にあまり手荒な真似はしたくないのだがね」
そう言って男はクレアを見下ろす。
「あなた⋯たしかオルバ子爵だったかしら?」
するとオルバはクレアの顔に足を落とそうとするがクレアはそれをよける。
「ほう⋯魔力を封じられていながら、今の攻撃をかわすか⋯いい父を持ったな」
「あのハゲが?冗談じゃないわ。私は弟たちに教わったのよ。魔力は使い方が大事だってね」
「弟だと?たしか悪魔憑きの兆候が出たときも、弟たちに治してもらったんだったな」
「またそれ⋯?だから勘違いだって言ってるでしょ」
「フン⋯やはり念のために弟と義弟も調べるしかないな⋯」
その瞬間、クレアの目が大きく見開かれ、オルバに襲いかかる。
「なっ⋯!」
(こいつ⋯手の肉を削いで⋯!)
オルバはそれをかわしつつも、驚きを隠せない。
「弟たちに何かあったら絶対に許さない!お前も!愛する家族も!友人も!全員殺して⋯っ!」
オルバはクレアを殴り飛ばし、クレアは意識を失う。
「小娘が⋯!まぁいい。この血を調べれば⋯」
そのとき
「オルバ様!」
「何事だ!」
「侵入者です!」
「っ⋯!」
「うがぁぁ!」
七陰の第4席・デルタが先陣を切って敵を切り裂き、他のメンバーも次々に敵を倒していく。
オルバが駆けつけた頃には、辺りは血の海だった。
「貴様らは⋯!」
「我らはシャドウガーデン」
「ディアボロス教団の壊滅を目的とする者⋯」
「我々は悪魔憑きの真実も、英雄の子孫についても、すべて知っている」
すると奥から何者かの足音が聞こえてくる。
「貴様は⋯!」
その人物は黒いコートを着込んでいて、胸には黒い装置のようなものをつけていた。
「『
そう言うと男は赤いカプセルを胸にセットする。
装置が淡く光り、明滅する。
男がトリガーを押すと、それは一気に赤く光る。
「
男は左手を唇にあて、そのまま左に動かして指を弾く。
「変身」
そう言うと男は胸のカプセルを回す。
男の姿は闇に包まれ、筋肉が膨張した後に収縮すると、体に赤いラインが入り、瞳を開くかのように、目に赤い光が溜まっていく。
「な、なんだ貴様はぁ!」
「俺はゼッツ⋯この世の悪を撲滅するエージェントだ」
「抜かせぇ!」
オルバはゼッツに斬りかかるが、軽々とかわされ、そのまま腹にキックを撃ち込まれる。
「ガッ⋯!」
オルバは後退し、腹を抑える。
「おのれ⋯!こうなったら!」
オルバは懐から錠剤が入った瓶を取り出し、錠剤を噛み砕く。
すると魔力量が一気に増え、その姿は異形へと変わる。
「なるほど⋯ドーピングか」
「ハァァ!」
オルバは手に持った剣で斬りかかる。
だが
「フッ」
「なっ⋯!?」
ゼッツによって軽々と剣を掴まれ、そのまま握りつぶされる。
そしてそのまま腹に強烈なパンチを食らって吹き飛ばされる。
「グハッ⋯!」
オルバはそのまま膝をつき、血を吐く。
「くっ⋯!なんだこの化け物は⋯!」
そしてオルバは折れた剣を握り、一気に地面へと叩きつける。
地面には穴が空き、そのままオルバは下へと消える。
「逃げる気か」
ゼッツはそのままオルバを追う。
「我々も追いますか?」
ベータはアルファに問いかけるが、アルファは首を振る。
「必要ないわ。下にはシャドウがいるし、きっと彼もすぐ追いつく」
「!だから別行動をしていたのですね!二人で挟み撃ちをするために!」
「あれ?もう終わりそう?」
俺が賊のリーダーを追ってくると、そこではシドとボロボロのオルバが相対していた。
「はぁ⋯はぁ⋯!たとえ⋯貴様らがどれほど強くとも⋯!世界の闇は⋯果てしなく深い!」
そう言って賊のリーダーは俺達を見る。
「⋯ならば潜ろう、どこまでも」
「ああ。あんたの過去に一体何があったのか⋯そんなことは分からないが、これだけは言える。夢は悪夢を超える」
すると
「たやすくほざくなぁ!」
男は残っていた錠剤をすべて噛み砕き、さらに異形の姿へと変わる。
「俺がやろうか?」
「いや、僕が決める」
そう言ってシャドウは前に出る。
男は再生した剣でシャドウに斬りかかるが、シャドウはそれを簡単にかわす。
「貴様らも味わえ!己の無力さを!」
だが
「⋯醜いな」
シャドウは魔力を全開にする。
「なんだその魔力はぁ⋯!」
「遊びは終わりだ」
シャドウは魔力を込めた渾身の一閃で男を切り裂く。
「ガァァ!」
そのまま男は倒れ込む。
「⋯あとは俺に任せろ」
俺がそう言うとシャドウはうなずく。
「分かった。⋯ただの盗賊にしては強かったな」
シャドウはその場をあとにする。
「⋯あんた、名前は?」
俺はギリギリ生きている男に問いかける。
「オル⋯バ⋯」
「オルバ、あんた⋯もしかして娘のためにこんなことをしたのか?」
俺は落ちていたペンダントを見せて言う。
「だったら⋯なんだ⋯」
「あんたの願い、俺が預かる」
「なぜ⋯そんなことをっ⋯」
「人には夢を見る権利がある。悪夢に苦しまされている人間がいるなら、俺は必ず助ける」
「⋯頼む⋯!ミリア⋯をっ⋯娘を⋯救って⋯くれ⋯!」
オルバは涙を流しながら言う。
「ああ、約束する。だから⋯あんたは安心して眠れ」
「⋯感謝⋯する⋯仮面の戦士⋯ゼッツ⋯」
そう言い残し、オルバは事切れる。
「⋯夜の終わりだ」
俺はその場をあとにする。
翌日、クレアは自力で帰ってきた。
さすがに俺はちょっと引いたって話は置いといて、そのまま数日で王都に旅立っていった。
その日の夕方
突然アルファたちが俺のゼッツルームにシドとともにやってきた。
どうやらベータから話を聞いたようだ。
「まさか本当にこんな空間があったなんて⋯!」
「俺が作ったわけじゃない」
「え?」
「ここを作ったのは⋯俺の親父さ。随分前に死んじまったけどね」
「⋯そう、ごめんなさい。あなたにも色々あったのね」
「気にしないでいいって。それでどうしたの?」
するとアルファたちは改まって言う。
「私たちは、あなたたちの元を離れる時が来たわ」
「⋯世界に散るのか」
とシドが動揺を隠しつつ言う。
「ええ。教団の力は世界全体に及んでいる。だから私たちも、各地で教団と戦うつもりよ」
「なるほど⋯寂しくなるな」
俺がそう言うと、アルファは微笑む。
「心配しないで、定期報告には必ず行くし、いつでも飛んでくるわ」
俺は少し考え込む。
(そうは言うけど友達としては少し心配だなぁ⋯あっ、そうだ)
「そうか⋯なら、これを持っていくといい」
俺は完成させた後、複製に成功したロードインヴォーカーとカプセム、そして改造・複製したゼッツフォンもとい、青紫のメインカラーに金色の差し色が入ったSGフォンを渡す。
「これでいつでも連絡ができる。そしてロードインヴォーカーを使えばゼッツのような姿に擬装できる、だが⋯あまり無理はするなよ」
「ええ。心使い感謝するわ」
そうして、彼女たちは旅立っていった。
「さて⋯これからどうする?」
「⋯まぁ今まで通り盗賊狩り⋯かな。ちょっと寂しいけど」
「だな」
すると
「それはそうと⋯」
とシドが切り出す。
「僕にはないの?あのロードなんたら。陰の実力者プレイに使えるかな〜なんて思っt⋯」
「ない(食い気味)」
ゼッツは終わりましたが、この作品はまだまだここからが始まりです!
それはそうとマイスも楽しんでいきたいですね!
感想や評価、お待ちしてます。お気に入り登録してくださると嬉しいです。
ヒロインは誰がいい?(上位三人をヒロイン入り)
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アルファ
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ベータ
-
ガンマ
-
デルタ
-
イプシロン
-
ゼータ
-
イータ
-
シェリー
-
ローズ
-
上記以外のヒロイン