なんだかんだであれから2年。カプセムはダブりまくって、結構な数が完凸していた。
「まぁそれでも出ないやつはめっきり出ないんだけどな」
俺は今日もハンドルを回す。するとピンク色のカプセムが排出される。
「今日は⋯ウイングか」
俺はカプセムシリンダーの中のウイングを取り出し、ウイングを合成して能力を引き上げる。
「それにしても⋯プラズマは一向に出ないな。っていうかブースターだけでもプラズマブースターってなれるのか?」
今度試してみるかぁなどと考えながら、俺はゼッツルームから出る。
そうそう、15歳になった俺達はクレアと同じミドガル魔剣士学園に入学した。
王都有数の超名門で、有名人なんかも少なくない。
まぁ学園での扱いは決して良いとは言えないが、エージェントたるもの、普段は普通の好青年を演じなければ⋯なんてな。
正直、バク・コードリーとしているときのほうが素に近いから、このままでいるに越したことはない。
それでも悪党狩りは夜な夜な続けている。
たとえば⋯
「フッ⋯!ミドガル魔剣士学園⋯ここにはあのアレクシア第2王女もいると聞く⋯他の馬鹿なガキどもも、その辺のやつよりかは高く売れるだろう⋯!」
「そうですねぇ兄貴!」
「てめぇら!ぜってぇ侵入がバレるような真似すんじゃねぇぞ!」
『おう!』
こういう馬鹿な奴隷商人みたいな奴らが度胸試しとばかりに侵入を試みたりしていることがたまにある。
だから
「いやいや、バレたくないなら大声出すなよ」
「ッ!誰だてめぇ!」
「俺は無敵のエージェントだ」
ゼッツドライバーを胸に巻いて、トランスフォームカプセムをセット。
「
「消えろ」
「ば⋯化け物⋯!」
「No⋯I'm ZEZTZ」
俺は体を細い糸のような形状に変え、敵の体を内部から破壊していく。
「この学園に手を出すな」
「てめぇ⋯一体何なんd⋯!」
そのまま残っていたリーダーを殺す。
ここまではまだいい。
いつでもどこでも、こういう輩はいるものだ。俺としては、撲滅するべき者を撲滅するだけだからな。
問題は⋯
「⋯また死体処理かよ」
毎晩毎晩これをやるのは実に面倒だ。
「⋯あ、シドのイレイス借りてくればよかった」
そんなこんなで今日に至る。
「おはよう」
俺は寮を出て待っていたシドのモブ友達、ヒョロ・ガリとジャガ・イモに挨拶する。
「おせぇぞバク」
「そうですよ、早くしないと遅刻しちゃいますよ」
「そういうのは俺だけじゃなくシドにも頼む」
少々遅れて出てきた俺よりも、シドが出てくるのは遅かった。
「ごめんごめん、お待たせ」
「やっとか、シド」
「おそいっつぅの、行くぞ」
俺達は発車しかけている列車に急いで飛び乗る。
「はぁ⋯なんとか間に合った」
「くそっ、俺らも上の連中みたいに崖の中の寮に一緒に入れてくれりゃあ毎朝こんな暑苦しい列車に乗らなくて済むのによぉ」
「お姫様たちが住んでるような高級な場所に、僕らみたいな木っ端貴族が入れるわけないじゃないですか」
「まぁそんなもんだ、社会ってのは」
「姉さんみたいに、特待生になれればいいんだけどね」
「ブシン祭優勝候補になれってか?ムリムリ」
入学して早7ヶ月、シドは順調にモブ生徒として馴染んでいた。
俺も平時の状態ではあまり目立ちたくないから、基本的に悪目立ちするようなことには関わってこなかった。
そんな中、俺に一つの試練が訪れていた。
「それより、昨日のテストでビリだった奴の罰ゲーム、覚えてるよなぁ?」
と、ヒョロがニヤニヤと笑いながら俺に向かって言ってくる。
「約束は守ってもらいますからね?」
ジャガもそう言って俺に詰め寄り、シドは後ろで羨ましそうな表情でこちらを見てくる。
先日、ヒョロ達とある賭けをした。賭け自体は至極ありふれたもので、四人の中でテストが最下位だったものが、学園のアイドルに告白をするというものだった。
連日の死体処理もあって、あまり時間がなかった俺はあっさり最下位となった。
だがシドはこの罰ゲームをうけたかったらしい。
曰く、「告白してフラレるなんてモブっぽい!」そうだ。
こいつはどういうモブを目指してるんだ⋯などと言うことは置いといて、絶対成功しないという確信を持っているため、俺は渋々承諾したのだった。
そして肝心の告白相手だが⋯
「あぁ!麗しのアレクシア王女、学園の女神よ!どうかこの私と清き交際を⋯!」
「ごめんなさいね、興味ないのよ」
登校中にそう言って男子生徒の告白をばっさりと切り捨てる女生徒を見かける。
「さすが王女様ですね⋯政略結婚確定コースとはいえ」
「遊び相手にゃ悪くなさそうだけどな」
そうヒョロとジャガが言う。
アレクシア・ミドガル。銀髪のツインテールと、赤い瞳が特徴のミドガル王国第2王女。
お察しの通り、彼女が俺の告白相手である。
姉はブシン祭優勝経験を持つ第1王女、アイリス・ミドガルであるが⋯これに関しては正直今はどうでもいいか。
とにかく、告白したところでさっきのかわいそうな人みたいにフラレて終わりだろう。
なにせ彼女は文字通り高嶺の花子さん、俺みたいな普通の好青年と付き合おうなどと思うはずがない。
腹をくくった俺は、アレクシア王女を放課後の中庭へと呼び出すことに成功した。
そして放課後の今に至る。
眼の前には今回の目標であるアレクシア王女がいる。
さすがに美人だなぁなんて考えながらも、叶うはずがない物をいつまでも眺めていてもしょうがない。
相手はあのお忙しい王女様だ。あまり引き止めるのも悪いので、さっさと本題に入ることにする。
手を差し出して頭を下げる、ベーシックな告白の仕方だ。
「えっと⋯アレクシア王女様、よろしければ、どうか僕と付き合ってもらえないでしょうかっ!」
どうせフラれるのだから、少しくらいキョドったところでなにか変わったりしないだろう。はぁ〜、やっとこれで試練が終わっt⋯
「いいわよ、付き合いましょう」
そう言って王女は俺の手を取る。
「⋯へ?」
俺は即座に顔を上げ、握られている自分の手を見る。
「え?」
俺の間抜けな声に戸惑っているのか、アレクシア王女も「?」という顔をしている。
いつの間に寝落ちしていたんだ⋯なんて現実逃避している暇も与えず、アレクシア王女は言葉を続ける。
「あなたのような人を待っていたの。これからよろしく」
「あぁ⋯はい」
とりあえず、俺に人生初の彼女ができたのだった。
翌日
「なんかおかしい気がする」
「おかしいな」
「絶対におかしいです」
「おいしい」
俺達は食堂で昼食を食べていた。ちなみに俺は節約のため、今朝焼いたトーストを食べている。⋯焦げてるけど。
あれからというもの、あらゆる男という男から殺意を込めた眼差しを向けられているのだ。
「正直言って、お前にアレクシア王女と付き合えるほどのスペックはない」
「バクくんが行けるなら僕も告白しとけば良かったですよ」
お前らが俺の何を知ってるんだ⋯とキレかけながら、シドの方を見る。
相変わらず、淡々と飯を食べている。
あの日寮に帰ってからシドにも同じようなことを言ったのだが、「僕がしたかったモブムーブとは変わるけど、王女と付き合ってるネームドの友人ポジっていいかも。キープしといて」などとほざき、危うく手を出しかけた。
まぁ俺達がやり合った場合、この辺りが尋常ではない被害を被ることとなるので自重したが。
と、そのとき
「ひぇっ!?」
ジャガがなにかを見てに驚き、釣られたヒョロもそちらを見る。
「うぇっ!?」
そして処理落ちしたPCみたいなカクカクな動きをし始める。
「あ」
とシドも声を上げる。
「なんだよ一体⋯」
俺もそちらを見る。
するとそこにいたのは
「ご一緒してもいいかしら」
「あ⋯ども」
ほかでもない、アレクシア王女その人だった。
「どどどどどどどうぞぉ!?」
「ここここここんなしぇきでよければぜひぃ!」
さすがシドが見つけたモブ友達と言うべきなのか、この二人のキョドりっぷりは見事なものだ。
「僕、先戻っとくね」
そう言ってシドは立ち去り、俺はシドがいた席にズレて、アレクシア王女に椅子を差し出す。
「どうぞ、王女様」
「あら、ありがとう」
なんだか意地の悪そうな笑みを浮かべながらアレクシア王女は席に座る。
するとテーブルに続々と料理が運ばれてくる。
「へぇ⋯結構おいしそうなもんだね。量も結構たくさん。こんなの毎日食べてんの?」
「ええ。おかげで食べきれなくて困ってるの。本当はもう少し下のコースでいいのだけれど⋯私が頼まないとみんな遠慮しちゃうのよ」
「他人のため⋯か。いいね、そういうの。優しいんだ」
俺がそう言って笑いかけると、アレクシア王女は顔をそらす。
「ーーーっ、べつにそう言うんじゃないけど⋯」
「でも食べきれないのはもったいないなぁ⋯俺、食べようか?」
「え?別に⋯構わないけど」
「よっしゃ、いただきま~す」
俺はコース料理を見回す。まずはこれにしよう、ソースがかかった6枚切りのおしゃれな肉料理。おいしそうだ。
俺は料理を口に運ぶ。
「⋯うん、柔らかくて食べやすいし、舌触りもいい。初めて食べたよ、こんな美味しい料理。ありがとう」
本心からの礼を言うと、アレクシア王女はそっぽを向く。
「⋯別に。気に入ったのなら良かったわ」
俺は肉料理を食べ終え、アレクシア王女の方を見る。
「で、何しに来たんですかい?用もなくこんなとこに来ないでしょう?」
「あら、お付き合いしてる殿方の元に来る理由なんて必要かしら?」
そう言って赤い瞳を向ける。
「さぁね、僕には分かりませんよ。なにせ経験がないんでね」
「⋯まぁいいわ。あなた、午後の実技は王都ブシン流よね」
「ん?そうだけど」
「一緒に受けましょう」
(な、ナニィ!?)
「い、いやいや⋯俺は9部。1部のアレクシア王女様には到底必要ないような⋯」
この学園では、午前は基礎科目、午後は実技科目というように分けられていて、そのうちの実技科目ではクラスも学年もごちゃまぜにされていて、多くの流派の中から、一番自分にあったものを選ぶのだ。
その中でも王都ブシン流はかなりポピュラーな授業で、1部50人で9部まである。
入学して間もない俺は現在、最低クラスの9部である。
アレクシアの1部は実力がとても秀でた者たちで構成されているエリートクラス⋯普通の好青年である俺には似合わない。
「大丈夫よ、私の推薦で1部に席を空けてもらったから」
「⋯OK」
こうして、俺の忙しいランチタイムは終わった。
いつの間にかライダー図鑑にゼッツが追加されていてびっくりしました。
日曜になんか重かったのはあのせいかぁ
感想や評価、お待ちしてます。お気に入り登録してくださると嬉しいです。
ヒロインは誰がいい?(上位三人をヒロイン入り)
-
アルファ
-
ベータ
-
ガンマ
-
デルタ
-
イプシロン
-
ゼータ
-
イータ
-
シェリー
-
ローズ
-
上記以外のヒロイン