コロレフスキー劇団スタッフの物語   作:桜紅月音

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4話 大物の彼女

 

 

「あの…何してんの…」

 

 

「いいじゃない、私とアカツキさんの仲なんだから~」

 

 

今日も今日とて、大物が劇場にやってきた。

彼女は俺の懐に入って、身体を密着させてくる。こんな甘々な彼女を国民が見たら驚くだろうな。

 

 

「警備しないといけないのでは?」

 

 

「今日の私はお休みなのー」

 

 

「そうですかー」

 

 

目の前に居るこの人は、このスネージナヤの女皇様の側近であり、冬契軍(ドルジーナ)の隊長であるヴェスナ

彼女は、こうやって休みを利用して、この劇場にやってくる。

主に、自分目当てで…

 

 

「アカツキさんは暇?」

 

 

「生憎…暇じゃないんだよな」

 

 

「むぅ~」

 

 

何故、そんなお偉いさんである彼女とため口で話しているかは、彼女が風の精だからである。

僕も精霊族なのもあって、小さい頃から彼女を見てきたからなのもある。

 

 

「そんな顔してもだめだ。こっちだって忙しいんだから」

 

 

後ろの方で、ドタバタとするスタッフの足音を聞いて、俺は彼女にそう告げる。

 

 

「仕方ないわね」

 

 

「諦めてくれたら助かる」

 

 

俺はそう言って、劇場に戻ろうとしたのだが、そんな僕の腕を彼女は掴んできた。

 

 

「今日、私、暇なの」

 

 

自分の顔を指さしながら、言う彼女。

 

 

「うん、知ってる」

 

 

「だから、私にも手伝わせて」

 

 

「……はい?」

 

 

 

 

 

 

********

 

 

あの後、彼女の押しに負けてしまった俺は、彼女を劇場の中に入れる事に…

 

 

「なんで入れたのよ!!」

 

 

彼女の姿を見たヴォジャニーツァは、予想通り俺の元に怒りマークを浮かべてやってきた。

 

 

「なんでって…手伝いからって言うから…」

 

 

「それでも!!ただでさえ忙しいんだから、面倒事は増やさないで!」

 

 

「…ごめん…」

 

 

こうなっているヴォジャニーツァは、止まらない。

俺は、大人しくその場で謝罪をする。

 

 

「でも、彼女の事だから、無理やり入ってきたと思うから。アカツキは悪くはないわね」

 

 

ヴォジャニーツァは、手を顎に持っていって何かを考えていた。

 

 

「どうした?」

 

 

「アカツキ、良い事を思いついたわ!」

 

 

「お前の案はろくでもないから、怖いんだけど…」

 

 

「そんな事はないわ!ちゃんと考えてきたもの!」

 

 

「へぇ~」

 

 

ジト目で幼馴染の事を見る。

 

 

「アカツキには迷惑をかけないわよ」

 

 

「その答えだと、誰かに迷惑をかけるって言ってるもんだぞ」

 

 

「そうだったわ」

 

 

俺の言葉を聞いて、ヴォジャニーツァはそう答えた。

 

 

「で、お前の案って何よ」

 

 

「ふふん、それはね」

 

 

ヴォジャニーツァを鼻息を出しながら言った。

 

 

「アカツキとデートよ」

 

 

 

あほくさ

 

 

 

「よーし、みんなの手伝いをしに行くよー」

 

 

「ちょっと待ってよ!」

 

 

幼馴染の言葉を聞いて、バカバカしくなった俺は、席を立ってみんなの所へと行こうとしたが、幼馴染に引き留められる。

 

 

「なんだよ」

 

 

「私は至って真面目だわ!」

 

 

「尚更、質が悪い」

 

 

あれを真面目に言うとかどうかと思う。

 

 

「そんな事はないわ!私はアカツキとデートに行きたいだけなの!」

 

 

「はいはい、この繁忙期を乗り越えたらな」

 

 

「それって…!」

 

 

「いいからお前も手伝いに行け」

 

 

「分かったわ!絶対だからね!」

 

 

「分かってるってば、早く行け」

 

 

俺がそう言うと、ヴォジャニーツァはみんなの元へと走っていった。

 

 

「私が知らない内に更に仲良くなったんだね」

 

 

「!?」

 

 

後ろを振り向くと、飛んでいるヴェスナが居た。

全然、彼女の気配に気づかなかった。

 

 

「驚かすな…死ぬかと思った」

 

 

「あははは、いえーい、私の作戦成功ー!」

 

 

俺の反応を見て、ヴェスナは喜んでいた。

いっそのこと、死んだふりでもしたら良かったかな。……したら、ヴォジャニーツァとオデットが飛んでくるから無理だ。

 

 

「そういうのは控めにな」

 

 

「分かってるわ。アカツキさん以外にはしてないもの」

 

 

「本当か?親衛隊が遊びに付き合わされたって言ってたぞ」

 

 

「誰が言ってたの?」

 

 

「それは言えんぞ、企業秘密なもんで」

 

 

俺がそう言うと、ヴェスナが抱き着いてきた。

 

 

「アカツキさん~」

 

 

「何」

 

 

「教えてくれたら…なんでもしてあげるわ」

 

 

彼女はそう言って、胸元を強調してきたり、スカートの端を持って誘惑をしてきた。

というか、ヴェスナ…意外と大きいんだな。

 

 

「そういうのはご遠慮してるんで…今すぐお帰りください」

 

 

「ええーーー」

 

 

ヴェスナは、俺の言葉を聞いて悲鳴を上げた。

 

 

「誘惑をするなら、もっと自分磨きをしてからね。まだ、お前は子供だよ」

 

 

「むぅ~私だってもう大人なんですけど!!」

 

 

「はいはい、僕から見たら子供だよ」

 

 

「ぐっ……もっと、大人になってアカツキさんを落としてみせるんだからーーーー!!!!!!」

 

 

彼女はそう言って、劇場から去っていった。

 

 

結局、手伝うって言っておきながら何もしてないじゃん…

 

 

 

「監督、ちょっと」

 

 

「あ、今すぐ行く」

 

 

「アカツキー私とデート」

 

 

「お前は一旦黙ってろ」

 

 

「なんでよぉーーーー!!!!!!」

 

 

 

 

 

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