「あの…何してんの…」
「いいじゃない、私とアカツキさんの仲なんだから~」
今日も今日とて、大物が劇場にやってきた。
彼女は僕の懐に入って、身体を密着させてくる。こんな甘々な彼女を国民が見たら驚くだろうな。
「警備しないといけないのでは?」
「今日の私はお休みなのー」
「そうですかー」
目の前に居るこの人は、このスネージナタの女皇様の側近であり、
彼女は、こうやって休みを利用して、この劇場にやってくる。
主に、自分目当てで…
「アカツキさんは暇?」
「生憎…暇じゃないんだよな」
「むぅ~」
何故、そんなお偉いさんである彼女とため口で話しているかは、彼女が風の精だからである。
僕も精霊族なのもあって、小さい頃から彼女を見てきたからのもある。
「そんな顔してもだめだ。こっちだって忙しいんだから」
後ろの方で、ドタバタとするスタッフの足音を聞いて、僕は彼女にそう告げる。
「仕方ないわね」
「諦めてくれたら助かる」
僕はそう言って、劇場に戻ろうとしたのだが、そんな僕の腕を彼女は掴んできた。
「今日、私、暇なの」
自分の顔を指さしながら、言う彼女。
「うん、知ってる」
「だから、私にも手伝わせて」
「……はい?」
********
あの後、彼女の押しに負けてしまった僕は、彼女を劇場の中に入れる事に…
「なんで入れたのよ!!」
彼女の姿を見たヴォジャニーツァは、予想通り僕の元に怒りマークを浮かべてやってきた。
「なんでって…手伝いからって言うから…」
「それでも!!ただでさえ忙しいんだから、面倒事は増やさないで!」
「…ごめん…」
こうなっているヴォジャニーツァは、止まらない。
僕は、大人しくその場で謝罪をする。
「でも、彼女の事だから、無理やり入ってきたと思うから。アカツキは悪くはないわね」
ヴォジャニーツァは、手を顎に持っていって何かを考えていた。
「どうした?」
「アカツキ、良い事を思いついたわ!」
「お前の案はろくでもないから、怖いんだけど…」
「そんな事はないわ!ちゃんと考えてきたもの!」
「へぇ~」
ジト目で幼馴染の事を見る。
「アカツキには迷惑をかけないわよ」
「その答えだと、誰かに迷惑をかけるって言ってるもんだぞ」
「そうだったわ」
僕の言葉を聞いて、ヴォジャニーツァはそう答えた。
「で、お前の案って何よ」
「ふふん、それはね」
ヴォジャニーツァを鼻息を出しながら言った。
「アカツキとデートよ」
あほくさ
「よーし、みんなの手伝いをしに行くよー」
「ちょっと待ってよ!」
幼馴染の言葉を聞いて、バカバカしくなった僕は、席を立ってみんなの所へと行こうとしたが、幼馴染に引き留められる。
「なんだよ」
「私は至って真面目だわ!」
「尚更、質が悪い」
あれを真面目に言うとかどうかと思う。
「そんな事はないわ!私はアカツキとデートに行きたいだけなの!」
「はいはい、この繁忙期を乗り越えたらな」
「それって…!」
「いいからお前も手伝いに行け」
「分かったわ!絶対だからね!」
「分かってるってば、早く行け」
僕がそう言うと、ヴォジャニーツァはみんなの元へと走っていった。
「私が知らない内に更に仲良くなったんだね」
「!?」
後ろを振り向くと、飛んでいるヴェスナが居た。
全然、彼女の気配に気づかなかった。
「驚かすな…死ぬかと思った」
「あははは、いえーい、私の作戦成功ー!」
僕の反応を見て、ヴェスナは喜んでいた。
いっそのこと、死んだふりでもしたら良かったかな。……したら、ヴォジャニーツァとオデットが飛んでくるから無理だ。
「そういうのは控めにな」
「分かってるわ。アカツキさん以外にはしてないもの」
「本当か?親衛隊が遊びに付き合わされたって言ってたぞ」
「誰が言ってたの?」
「それは言えんぞ、企業秘密なもんで」
僕がそう言うと、ヴェスナが抱き着いてきた。
「アカツキさん~」
「何」
「教えてくれたら…なんでもしてあげるわ」
彼女はそう言って、胸元を強調してきたり、スカートの端を持って誘惑をしてきた。
というか、ヴェスナ…意外と大きいんだな。
「そういうのはご遠慮してるんで…今すぐお帰りください」
「ええーーー」
ヴェスナは、僕の言葉を聞いて悲鳴を上げた。
「誘惑をするなら、もっと自分磨きをしてからね。まだ、お前は子供だよ」
「むぅ~私だってもう大人なんですけど!!」
「はいはい、僕から見たら子供だよ」
「ぐっ……もっと、大人になってアカツキさんを落としてみせるんだからーーーー!!!!!!」
彼女はそう言って、劇場から去っていった。
結局、手伝うって言っておきながら何もしてないじゃん…
「監督、ちょっと」
「あ、今すぐ行く」
「アカツキー私とデート」
「お前は一旦黙ってろ」
「なんでよぉーーーー!!!!!!」