ページ作った時の仮のタグ付けがそのままやったんや…。
A組21人のタグ見て来た人はすみません。
雄英の受験から一週間。この一週間は希結理本人よりも両親、特に母親の方が落ち着きがなくソワソワしていた。
「そろそろかしら…?」
「ふふっ。お母さんったら、少し落ち着きましょ?」
「で、でも…希結理の夢の第一歩がもうすぐ決まるのよ?」
「大丈夫よ。筆記の自己採点は合格ラインを越えてたし、実技の方も自信はあるわ♪」
何度もリビングと玄関の郵便受けを行ったり来たりしてはのループを今日の朝から繰り返している。一方父は仕事で出版社に詰めているためこの場にはいないが、いたら母親と同様にソワソワしていたことだろう。これもある意味一人娘への愛情の現れかもしれない。
そうして待つこと約一時間。ついにそれは来た。
「き、きき希結理!来てた!来てたわよ!雄英の合格通知書!」
「もう、お母さん…」
希結理は今日最大の緊張を見せる母親に呆れながらもその場で通知書を開封する。その中には円状の機械のようなものが入っており、その機械から突然映像が投影された。
『私が…投影されたっ!』
「え!?オールマイト!?」
どうやら機械は小型のプロジェクターだったようだ。仮に合格者全員にこれを送っているのだとしたら、ヒーロー科だけだとしてもかなりの額がかかっていそうなものだが。希結理も母親も突然のオールマイトに驚いたが、声に出して驚いたのは母親の方だった。もう受験者はこっちなんじゃないだろうか。
『初めまして愛乃少女!私はオールマイトだ!何故、私が投影されたのかって?ハハハ!それは私がこの春から雄英に教師として勤めるからさ!さあ早速、君の合否を発表しよう!』
オールマイトの雄英就任という重要情報をさらっと流し、オールマイトは結果発表に移った。まあ二人とも今は合否の方が気になるのでありがたくはあった。
『筆記は十分!それどころか受験者の中でも上位にランクインだ!すごいじゃないか!そして肝心の実技だが…』
その溜めに思わず二人とも息を呑んだ。
『実は受験生に与えられるポイントは、説明にあった仮想ヴィランポイントだけにあらず!実はヒーローとしての行動を見る審査制のレスキューポイントも存在していた!ヴィランポイント46点、レスキューポイント32点、合計78点!君はヴィランの退治のみならず他の受験者の救助も積極的に行っていた。文句なしの合格、それどころか首席合格だよ!』
その言葉に、希結理の表情は晴れ渡り、未来への期待でいっぱいになった。そんな希結理にオールマイトは、映像越しにこちらに手を差し伸べてきた。
『来いよ、愛乃少女。ここが君の、ヒーローアカデミアだ!』
その言葉を最後に、映像は終了した。
「…やった」
「希結理ぃぃぃぃぃ!雄英合格、しかも主席よ!良かったわね!」
「………………うん」
母は大声をあげて喜び、希結理を抱きしめた。母は誰よりも近くで希結理の努力を見てきた。勉学に励み、個性を伸ばしてきた。だからこそ、母はまるで自分のことのように嬉しかった。
希結理も、声には出さなかったものの、やはり雄英合格という事実は、彼女の感情を喜びで溢れさせた。いつもの口調がなりを潜めて素の口調が出てきて少しの涙が頬を伝うくらいには。周りより多少大人びているとはいえ、彼女はまだ15歳の学生だ。寧ろこれが年相応の反応というものだろう。
母が父に電話で連絡したとき、父も母同様に泣いて喜んだという。その晩、愛乃家はご馳走だった。
そして日が経ち、4月。雄英入学の日がやってきた。希結理はいつもの調子で雄英の門をくぐる。実は個性の『門と道』の能力による移動が可能なのだが、一般人が許可なく個性を使用することは法律で禁じられているので普通に電車で通学した。
中はとても広く、迷いそうな校舎を案内板を見ながら進んでいくと、1-Aと書かれた看板が見えた。自身の身長よりもひと回り以上大きな教室のドアはきっと、異形型の個性やらに配慮した結果だろう。
そのドアを開けると、メガネをかけた見覚えのある青年がこちらに歩み寄ってきた。
「おはよう!ぼ…俺は私立聡明中学出身の飯田天哉…って、君は!」
「また会ったわね。愛乃希結理よ。よろしくね、天哉くん」
「こちらこそよろしく頼む。あの時は失礼した…ああ、席は番号順になっているぞ。愛乃くんは…すぐそこだな」
飯田はカクカクとした表情と手ぶりで自己紹介と謝罪をする。聡明中学はエリート学校だ。ならばこれだけ生真面目なのも納得だと希結理は思った。
希結理は飯田に言われた通りに教室の一番右前の席に座る。その名字ゆえに最初の席は大体ここが定位置なのだが、いろんな人と話したい希結理にとってクラスメイトとの交流機会が減るこの位置は若干マイナスポイントである。
時間が経つにつれ次々にクラスメイトが入室してくるが、皆緊張しているのか、前のドアから入ってきた人ともあまり目が合わない。まあ親交はこれから深めていけばいいと考えていると、教室のドアが勢いよく開かれた。
トゲトゲの金髪、緩んだネクタイ、ギラついた眼光。しまいには席に着くと同時に机に足をガンッ!と下ろすその様はまさにThe・不良といった印象を与えた。
「君!机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の制作者方に申し訳ないと思わないか!?」
「思わねーよ!てめーどこ中だよ端役が!!」
希結理の思った通り飯田とその青年は馬が合わないらしく、激しい口論のゴングが鳴った。特に金髪の方からは「ボケ!」や「テメェ!」などのヒーロー志望とは思えない暴言の数々。一方希結理は名前を聞くついでに仲裁してあげようかしら、なんて呑気なことを考えていた。
すると再びドアが開き、今度は見知った顔の2人が入ってきた。しかしこちらに気づかず口論の方に目がいっていたので、希結理は少し悪戯することにした。
「出久くん。また会えたわね♪」
「わあっ!び、びっくりしたぁ…」
「そんなに驚かれると傷ついちゃうわよ?」
「へっ?あ、ご、ごめん!愛乃さん…」
緑谷は困ったようにオドオドし始め、希結理はやはりこの子は面白いと思った。
「ふふっ、冗談よ。そっちの子も合格できたのね」
「うん、あの時はありがとう。うち、麗日お茶子。よろしくね!」
「愛乃希結理よ。よろしくね、お茶子ちゃん」
こちらに気付いたのか、飯田が口論を中断して緑谷たちに自己紹介を始めたが、現在時刻は8時25分。もうすぐHRの時間だ。
「お友達ごっこがしたいなら余所へ行け。ここは…ヒーロー科だぞ」
教室の入り口からそんな声が発せられた。見れば、寝袋に入ったままの人間が飲料ゼリーを一気飲みして飲み干していた。モゾモゾとうごめきながら寝袋ごと立ち上がり、教室に入ってくる。その見た目はまるで教師とは思えない出で立ちであり、一歩間違えれば不審者のそれだったが、雄英にこんな堂々と不審者がいるわけがない。
「はい、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね……担任の相澤消太だ。よろしくね」
その自己紹介に教室の一同は『先生!?担任!?』といった様子で驚いている。清潔感の欠如したその見た目を見れば当たり前の反応である。
「早速だが、体操服着てグラウンドに出ろ」
相澤は生徒たちに体操服を渡し、それだけ言い残してさっさと出ていってしまった。教室の一同は困惑しながらも更衣室に向かうのであった。
今更ながら高校生の希結理の見た目はちっちゃい方(短髪ショート)です。プレイアブルの方は見た目が大人すぎるので。