「うわぁ、、さっきの場所も凄かったけど、やっぱり見渡す限り全面雪で覆われているんだな」
凍てつく暴風を遮るようにヴェルザードに必死にしがみつきながら、眼下に広がる視界を見下ろす。そこには豊かな緑や人の営みを示す人工物など一切なく、どこを切り取っても白一色の静寂な銀世界が続いていた。
、、、ちなみに、なぜ僕がこうも格好悪く彼女に全力で抱きついているかというと。
「ちょ、、速すぎない!? これ落ちたら死ぬんだけど!?」
ジェット旅客機すら軽々と置き去りにする異次元のスピードで、広大な雪の大地を滑空しているからだ。視界が白く激しく流れていく。三半規管が死にそうです、まぁこの体に三半規管があるかどうかなんて知らないけどな
「大丈夫よ、私がこうしてしっかり抱きしめているから」
いや、、そうおっしゃいますけども! 体感速度が物理の法則を超越しているんですよ!
『解。現在の主様はこの高さから落下に巻き込まれた程度では消滅しません。どうぞご安心ください』
脳内の解説者がそう言って励ましてくれるのだが、そういう問題ではない。そもそも僕は前世からジェットコースターすら得意じゃないのだ。普通に、本能レベルでめちゃくちゃ怖い。
「ふふ、案外怖がりなのね」
「怖がりというかこれは高所に対する生物としての根源的な恐怖というか、、」
「大丈夫よ。もし手が滑って落ちたとしても、絶対に私が助けてあげるから」
まぁ、ヴェルザードを信頼していないわけじゃない。世界の頂点に君臨する竜種がそう言ってくれるなら、おとなしく信じるしかないか。それ以外の選択肢もないしね
「あ、見て。あれが白氷宮よ」
ヴェルザードが指差した先を追うように、僕も視線のピントを合わせる。
「え、、デカすぎでショ!?」
視界を埋め尽くすあまりにも壮大すぎる極寒の宮殿――それが白氷宮を見た時の率直な第一印象だった。
前世の記憶にある東京ドームなんて比にならない。10個分、いや、都市一つが丸ごと収まるほどの巨大な建造物だ。某有名アニメに出てくる氷の王城をさらに神聖化させたようなその姿は、洗練され尽くした『神秘的』という言葉がこれ以上なく似合っていた。
「気に入ってくれて嬉しいわ」
ヴェルザードは満足げに細めた黄金の瞳を輝かせると、そのまま僕を抱えたまま白氷宮の門をくぐり抜けた。
外観から容易に想像できた通り、内部もすべて透明感あふれる美しく頑丈な氷で構築されており、足音すら吸い込まれそうな幻想的な空間がどこまでも広がっていた。
「ねぇ…、、どこに向かっているの?」
氷の翼を背中に格納し、静かな廊下を並んで歩きながら尋ねる。
「私の部屋だけど?」
「あ、、さいですか」
『何か当然のことでも聞いているの?』とでも言いたげに首をかしげるヴェルザードの表情に、僕はそれ以上ツッコミを入れるのを諦めた。
「着いたわ、ここが私の部屋よ」
案内された重厚な氷の扉の奥は、思っていた以上に暖かな装飾が施された部屋だった。僕はとりあえず用意された椅子の上にちょこんと腰を下ろす。
「ねぇ、ちょっと聞きたいことがあるのだけど、良いかしら?」
「ん? 僕に応えられることなら何でも言うけど」
ヴェルザードは黄金色の美しい瞳を僅かに揺らしていた。、、いつも余裕たっぷりな彼女が、珍しく緊張しているんだろうか?
「あの、、良かったらで良いのだけど、、私と一緒に、ここに住まない? それと、、貴方って今までに彼女がいたことある?」
「え?」
怒涛の二連発に、僕の思考回路は完全にフリーズした。
ここで暮らすこと自体は願ったり叶ったりだ。行くあてもなく住む場所に困っていたくらいだし、むしろこちらから頼み込みたいレベルである。だけど……彼女がいるかどうかなんて、なんで唐突にそんな甘酸っぱい質問をしてくるんだ?
「、、、住む場所については、願ってもない申し出だから本当にありがたいよ。それと、彼女は……いたことない、ぞ?」
はぁ。自分から口にしておいて、何だか猛烈に惨しくなってきたな。前世を含めて哀しいほどの童貞歴である。
「そ、、そう! それなら良かったわ!」
何故か不安そうな顔から一転して嬉しそうな顔になるヴェルザード、なんか表情がコロコロ変わって可愛らしい
「それで?ここに住むには良いがどこが俺の部屋になるんだ?」
「それは決まっているわ、私と同じ部屋よ!」
「、、、、、」
自信満々に言っているが、、一応俺男なんだよな、、いやこの体は生殖器が無いからもし間違っても襲うなんてことは無いが、、一応、、僕も心は男なんですよ
「あら、不服そうね、何か問題でも?」
「いや、、別に問題は無いぞ、、だが一応俺も男だ、、そういう気分になることも考えて部屋は、、」
「そんなことを気にしていたのね、それなら問題ないわ、私は貴方に襲われたとしても問題は無いから」
「、、、、、」
なぁ解説者、僕の体って人間みたいにならないのか?
『解。『暴虐之神』の効果により可能です、ですが体を作る元となる成分は雪になりますが、よろしいですか?』
平気だけどそれ大丈夫?雪って結構柔らかいからちょっとした衝撃で崩れそうだけど
『解。それなら問題ありません。『暴虐之神』 の能力創造により、体を作ることが出来る能力を創造、素材創造でその素体となる物を想像します』
なるほど、、やっぱり暴虐之神ってかなりチートだな、、まぁスキル名に神ってついてる時点で強いのは分かるけど
「まぁ、、、それは嬉しいが僕がヴェルザードを襲うことはない、安心してくれ」
「それはなんで?」
いや、、何でって言ってもなぁ、、生殖器が無いから襲おうにも襲えんし
「いや、、生殖器、、いやその前に体が無いからな、襲おうにも襲えない」
「ということは体があれば貴方は私を襲ってくれるの?」
「いや、、それは、、まぁヴェルザードは綺麗だし僕の好みというか、、だし、それで相手が了承してくれれば、、」
考えがまとまらずとりあえず頭に思い浮かんだ言葉を言うが、あれ?これもしかしたら俺ヤバいこと喋ってね?
「そう、、なら私から貴方を襲ってもいいということね?」
ヴェルザードは舌なめずりをし、俺のことをまるで獲物を見るかのような目で見てくる、まぁ僕も前世は童貞で、そういう経験が無かったわけだし、、美人にそう言われるのはかなり嬉しいことだし、、俺も心から喜んでいる、、だけどさ、、、早くないかい
いや、、まだ俺ら会って1日も経っていないんだわ、流石にそういう関係を持つには早すぎないか?
「まぁ、、うん。」
おい、何俺肯定してるんだよ!さすがん経験が無いと言っても俺圧迫に弱すぎだろ!
「確証は取ったからね?後からやっぱなしとかもう遅いから」
そう言いながらヴェルザードは自分の体をドンドン俺の体に近づけていく、、と言っても今の俺は雪の塊だから体というのもおかしな話だが
『体の生成にかかる素材とスキルの取得を完了しました、これから体の生成を始めます』
と、その時俺の頭の中にそんな解説者の声が響き渡る、、ちょ!たんま。今は止めてくれ!
『解。もう体の生成を開始した為、止めるのは不可能です、諦めてください』
『では体の生成を始めます、先ほど入手したスキル『創造者』を使い、体を生成します、ベースとしてはこの世界に来た時に出会った人や物をベースにしまう』
は?ちょっと待て!俺この世界に来てからまだヴェルザードとしか会ってないんだけど?絶対ヴェルザードベースの体じゃん!
解説者が体を生成し始めるといきなり俺は白く光り始めた
「、、、、」
「、、、、、、」
そうして僕の体は作られた、まぁ俺の見た目を簡単に言えばヴェルザードの見た目を7割、地球での自分の見た目を三割にして混ぜたような感じである、、よくわからないって?大丈夫僕もよくわかっていない
「ちなみにだが、、、この姿は俺が自分で選択したんじゃない、、、」
「、、、、、」
あ、ヤバい、俺の姿に驚いて固まっていたヴェルザードは俺の声を聞くや否やさらにどんどんと僕に近づいてきた、あ、ヤバいよ、このままじゃ僕のファーストキスが、、、
「ちょ、、待って、落ち着いてくれ!」
ヴェルザードの顔がどんどんと近づいてくる、逃げようとしてもさっき顔を両手で掴まれたので顔を左右に揺らすことも出来ない、それに加え体を動かそうとしてもヴェルザードは俺の体に覆いかぶさるように体重をかけているため動かすことは出来ない
「ちょっ!離せばわか、、んむっ!」
俺の抵抗は空しくそのまま俺は前世と今世で初めてのファーストキスを奪われた
「ちょ、、ストップ」
「ダーメ」
ヴェルザードは俺の静止を聞こうとせずにキスを続ける、、そこで僕は初めてこの世界が弱肉強食の世界だと理解した、、
「ぷはっ、、はぁ、、はぁ」
それから約3分ほど俺はキスをされ続けた、、ちなみにだが初めてするキスはレモンの味がするというがあれは嘘である、、実際はもっと甘い、、それこそ砂糖のような味でした、、
「ふふ、どうだった?私とのファーストキス、、ちなみに私もさっきのがファーストキスだから」
「え?初めてなのにあんなに長かったのか?」
僕はそう言って口の周りの唾液を拭く。そのあとヴェルザードはまた不敵な笑みを零す、
「さ、じゃあ今から白氷宮を案内するから付いてきて」
さっきとは打って変わりヴェルザードは部屋のドアを開ける、僕もそれに合わせその場から立ち会がりヴェルザードの後ろを付いていった、はぁ、、今でも心臓がドキドキしてる