マスター?いいえデビルサマナーです 作:こちらメギドラオンでございます
正体不明の漆黒の騎士を俺とクー・フーリンの連携で見事に撃退したその後。
周りが俺達に強い警戒心を滲ませる中、ずっと様子を見守っていたギルガメッシュが声を上げた。
「中々の余興だったぞ異邦人。貴様と、貴様のその道具が喚び出す異界の存在。思った以上に面白そうではないか」
「はあ、どうも……………」
相変わらずめっちゃ態度デカいなコイツ…………。
プライドの高さならメガテンの高位悪魔とも良い勝負が出来るんじゃないか?
下手したら魔王級はありそう(小並感)。
「さて、本来なら我の庭を荒らす者は即誅殺の対象だが……………あの狂犬を追い払った褒美だ。今宵は貴様への裁定は無しとしてやろう。命拾いしたな異邦人」
「……………そりゃどうも」
こちらとしても連戦は避けたかったので、その申し出は非常に助かる。
COMPで解析出来たデータだけでも、その数値・魔力量は高位悪魔にも匹敵しうるので、見逃してくれるというなら大歓迎だ。
実際に戦うとなったら、万全を期した状態でなければ勝てない。
そう確信させるだけの力を、目の前の存在からは強く感じる。
いざとなったら、
というか、「我の庭を荒らす者」ってなんだよ。
ひょっとして俺のこと?
オタクを怒らせる事なんて、何もしてない筈なんですけど………。
はっ、もしかして……………。
「あんたが道端に悪魔召喚プログラムを落とした人物なのか!?」
「何を言ってる貴様は」
めちゃくちゃ呆れられてしまった
あっ、人違いでしたか。すいません……………。
見た目
メガテンシリーズにはファンの間で『閣下』と呼ばれる存在がおり、主人公であるプレイヤーや人間達に悪魔召喚プログラムを配る作品が存在するのだ。
だから、俺のこの悪魔召喚プログラムも、『閣下』が道端に落としたていで渡してきたのかと思ったが……………違ったらしい。
という事はこの悪魔召喚プログラムは一体、誰が……?
うえーっ怖いよーっ。
「雑種共、次までに有象無象を間引いておけ。我と見えるのは、真の英雄のみで良い。そして異邦人。貴様への裁定はあくまで保留というのを忘れるなよ。では、な」
ギルガメッシュは周囲にそう伝えた後、金色の粒子となってこの場から姿を消した。
どうやら霊体となって消えたらしい。
後には金色の粒子が仄かに残されてる。
また会いに来るつもりなのかよあいつ……。
俺みたいな木っ端サマナーは忘れてもらって結構ですよ?
というか忘れてくださいお願いします。
「ふぅむ……結局、やりたい放題して去ってしまったなあの金ピカ。それはそうと、そこのお主!さっきの戦いは実に見事だったぞ!サーヴァントは勿論、あの魔術も見事なものだった!バーサーカーが終始圧倒されていたではないか!」
ギルガメッシュが去り、妙な沈黙に包まれる中、イスカンダルが俺に声をかけてくる。
その顔は俺とクー・フーリンへの賞賛で満ちていた。
「魔術……………?ああ、タルカジャのことね。そりゃ、バフは基本だからな」
「タルカジャと言うのかさっきの魔術は!坊主、知ってるか!?」
「い、いや知らない…………そんな魔術、初めて聞いた……」
イスカンダルが戦車の御者台、その隣に座る自身のサマナーであるウェイバー君にそう尋ねるも、ウェイバー君はタルカジャを知らないようで、終始頭に疑問符を浮かべていた。
あれ?タルカジャは割とポピュラーな魔法だと思ったんだが………………。
それとずっと気になってたんだが、サーヴァントってなんだ?
新しいメガテン用語か何かか?
俺は思い切って二人に尋ねてみることにした。
「なあ、サーヴァントってなんだ?そんな言葉、聞いたこともないんだが」
「はあ!?お前、マスターの癖にサーヴァントも知らないのか!?というか、お前が召喚したそいつがサーヴァントじゃないか!」
俺の質問に答えたのはウェイバー君だった。
どうやらクー・フーリンの事をサーヴァントだと勘違いしてるみたいだが…………………。
「
そう何気なく呟いた瞬間、周囲の空気が凍り付くのを感じた。
あれ?俺また何かやっちゃいました?
「いや、何言ってるんだお前………?クー・フーリンが悪魔……………?」
ウェイバー君は驚きを通り越して、もはやドン引きしていた。
周囲を見渡せばみんな似たような反応をしている。
その中でも、常時魅了デバフ悪魔さんことディルムッドの反応は顕著だった。
「その発言は聞き逃がせないなクー・フーリンのマスターよ。ケルト最大の英雄を悪魔呼ばわりとは、我らを侮辱するつもりか?」
「あれぇ!?何か勘違いされてるような!?」
なんかめちゃくちゃ怒ってるんですけどこのイケメン!
え、俺何か怒らせるようなこと言った…………?
クー・フーリンは悪魔だろぉ!?
少なくとも、メガテンではそうでした!
この世界がメガテンなら、怒られる理由も無いような!?
「貴様ァ………!!」
なんとか誤解を解こうとそう説明すると、何故かますます怒りの燃料に火が付いてしまった。
いや、本当になんで!?
「口を開けば訳のわからぬ世迷言ばかり。どうやら、本当に俺を怒らせたいようだな………………!」
「お、落ち着け!俺はただ、クー・フーリンは悪魔ということを説明しただけで………………!」
「まだ言うか!その口、我が槍で閉じてやる!」
そう言って、二本の槍を手に飛び出すディルムッド。
こうなったらやるしかないか……………!
悪魔会話が連続で
会話が失敗したら即戦闘。メガテンのお約束をこんな形で経験する羽目になるとは…………………!
『止まれランサー』
「ッ、!!我が、主……!」
しかし、突如響いたケイネス先生とやらの声で、ディルムッドの動きはビタリと止まった。
相変わらず、めっちゃこっち睨んでるけど。
『私がいつ、クー・フーリンとそのマスターを討ち取れと命令した?そのような指示を下した覚えは私には無いぞランサー』
「も、申し訳ありません我が主よ!」
ディルムッドは顔を真っ青にして、自分の主に謝っている。
もはや俺への怒りも忘れたようで、深く頭を下げていた。
ふぅ、助かった…………………。
負ける気はしないが、連戦は避けたかったので運が良かった。
俺はCOMPを下ろし、クー・フーリンにはそのまま警戒を続けさせた。
一応、ね。もしかしたら、急に怒り狂ってこちらを殺そうとしてくるかもしれないし。
そしてひとしきりケイネス先生とやらに怒られた後、ディルムッドは顔を上げて再びこちらを睨んできた。
「主の命令だ。今宵はここで去る。セイバー、次の戦いを楽しみにしているぞ。そしてクー・フーリンのマスターよ。主の命令があった時は覚悟しておけ。貴様の心臓は俺が貫く!」
そう言い残し、ディルムッドもギルガメッシュのように霊体となってこの場から去って行った。
めっちゃ怒ったままなんですけど……………。
もしかして、【幻魔】とクー・フーリンの種族名を正確に答えなかったのが逆鱗に触れたのかな。
メガテンにおける悪魔は単なる総称だから、そこまで気にしないと思っていたが………………。
だとしたら悪いことしたな。今度謝っておこう。
「おそらくだがサマナー。彼が怒ってるのは別の理由だと思うぞ」
「え、そうなのか?」
クー・フーリンの言葉に、俺は困惑した。
じゃあ、何に怒ってるんだよえーっ。
………まあ、良いか。それは今度、考えるとしよう。
俺はこの場に残った面子であるイスカンダル&ウェイバー君、そしてアーサー王の名を持つ少女とその主である銀髪の女性に顔を向けた。
「あ〜、これからどうする?二人も抜けたし、俺も今夜はもう戦うつもりはないんだが…………」
まあ、やるなら相手になる。
気は進まないが。
「…………どうします、アイリスフィール?」
アーサー王の名を持つ少女は、自らの後ろに控える銀髪の女性にそう話しかけた。
アイリスフィールって言うのかあの女の人。
ヤバい、めっちゃ美人って感じの名前だ。
ふつくしい…………………。
「気が乱れてるぞサマナー。しっかりしろ」
「おっと、そうだった。さて、あちらさんはどう出るか……」
俺は彼女達に見えないよう、体で隠しながら静かにCOMPを構える。
いつでも動けるよう準備を整えていると、話はついたのか銀髪の女性改めアイリスフィールが口を開く。
「…………そうね。ここは退きましょうセイバー。貴女も怪我をしてるし、その状態で彼らと戦うのは無理よ」
「申し訳ありません、アイリスフィール。貴女のサーヴァントでありながらこの始末…………穴があったら入りたいです……」
そう言って、左腕に視線を落としながら顔を苦渋に歪ませるアーサー王。
そういえば、ディルムッドの槍に左腕を貫かれたんだったな。
まだ治癒してないのか、その腕からは今も血が垂れていた。
「……余計なお世話かもしれないけど、早くディアラマかパトラなりかけるして回復させてやったほうが良いぞ。ま、他所の使い魔に口を出すのはマナー違反かもしれないけど」
「ディア…………?パトラ……………?言われなくてもそのつもりよ。そんな事より、貴方の方もかなり消耗してるんじゃない?バーサーカーとの戦いの時に使っていた魔術、かなり魔力を消費しそうに見えたけど?」
「タルカジャの事か?いや、全然……その気になれば、十数回は余裕で使えるが?」
「なっ……………あれ程の魔術をそんなに……!?」
タルカジャは初級に覚えられる魔法で、消費量もメガテンでは少ないほうだ。
その上のマハ系やヒートライザ級になるとまた別だが…………タルカジャ系ならかなり気軽に使える。
しかし、タルカジャ程度でやけに驚かれるんだな……。
更に上の、それこそ
まあ、俺も使えないんだが。
その後、アイリスフィール達も去っていき、この場には俺とウェイバー少年とイスカンダルしか残っていなかった。
………………遠巻きに監視していた連中の気配も消えたな。
隠してたつもりだろうが、悪魔狩りにより強化された五感は彼らの反応もしっかり捉えていた。
その中にはずっと俺を観察していた奴もいたので、こりゃ家に帰っても警戒は続けないとな。
後で索敵の得意な仲魔でも召喚して警戒させるか。
「ふぅむ、残るは我らだけか。よし。クー・フーリンのマスターよ。お主達にも尋ねるとしよう。我が麾下に加わり、共に聖杯を手にするつもりはないか!?」
「せい、はい………………?」
「お前、聖杯も知らないのかよ!?本当にマスターか!?」
聖杯ってあれか?
メガテンの派生作品であるペルソナ5に出てきた、悪神ヤルダバオトの人々を堕落させる器にして、その世界における破滅フラグとも言える存在。
この世界はペルソナだった………………?
え、じゃあかなりヤバくないか?
もしかして近い内に、この街滅ぶの?