「起きろ!雲離!」
「んえ?あれ?宙⋯。っ!?なっなんで!何で裸なの!」
あれ?雲離は今までの奴らと違って、ちゃんとまともな反応だな。
そりゃ、お互い裸で同じベッドに寝てたら、そりゃ混乱するわな。
見たところ、雲離は昨日の記憶は曖昧みたいだ。
だが、一々説明してあげられるほど今の俺に余裕は無い。
「雲離、色々突然過ぎて混乱するだろうが、聞いてくれ!俺は⋯ちゃんと責任取るから!俺のヤッてしまったことは⋯まあ、今更だけど、最低だった。今まで俺は自分のやって来た行動の責任から逃げてきた⋯。でも、俺は今日をもって変わる!待っててくれ雲離!ちゃんと責任取るから!」
「えっえ?え??⋯えっと⋯はい⋯。」
半ば強引に雲離を説き伏せ、納得させて、俺は服を着て部屋を出る。
そして、同じ旅館に泊まっているある人物の部屋の前にやって来てドアをノックする。
「星、起きてるか?少し話したい事がある。」
部屋の扉を叩いて数分後、星が部屋から出てきた。
「⋯宙、どうしたの急に⋯。何の用?」
「星、話がある聞いてくれ。」
俺は仙舟で起きた事を全て包み隠さず星に話した。
二度も抱いた相手に他の女を抱いた話をするなんて我ながらイカれていると思うが、今はそれどころではない。
てっきりピノコニーだけの呪いかと思われていた物が他の
もう、取り返しのつかない所まで来ている。
これ以上の再発を防止する為に出来るだけ早く対策を打たねば。
その為には星の人脈を頼るしかあるまい。
「⋯と言うわけだ星。俺は去勢する。その為に腕の良い医者を紹介してくれ。」
「そんなことのために紹介したくないんだけど⋯。」
「頼む!このままだと仙舟の女の子全員を食い尽くしてしまう。いいのか?列車組の仲間には相手を選ばずメスを食らう肉食系男子がいるって噂が広まるぞ!」
「噂じゃなくて事実じゃん。それに沢山の女の子とヤルのもまた一つの開拓の形だと思う。」
クソ⋯。
なんでこいつこんな非協力的なんだよ。
普通、こんな奴が仲間で、知らん所で他の女を誑かしてたら、ぶち切れてチ◯ポ引き千切るだろ⋯。
「頼むから強力してくれ!俺は◯ンポを切らなくちゃいけないんだ!」
「サンポを切る?」
「ごめん、伏せ字の場所が悪かった。男性器の事だ。」
「え〜でも、宙のチン◯切ったらもう、私と出来ないじゃん。それは寂しい。」
寂しがるなよ⋯。
仮にも主人公がそんな爛れた関係を求めるのはどうかと思うぞ。
一応崩壊スターレイルって全年齢向けだよな?
全年齢向けの主人公が言っちゃいけない事言ってるよ⋯。
「後生だ!頼む!去勢に協力してくれたら、何でも言う事聞いてやるから!好きなもの何でも買ってやるし、どんな要求にも従う!」
「それっていつまで?」
「無期限で良い!協力してくれたらずっと言う事聞く!」
「⋯分かった。言質取ったからね。後で無しは駄目だよ。」
「ありがとう!星!愛してる!」
「っ⋯。今のもう一回言って。」
「え?愛してる。」
「っ〜!まず最初の命令。私以外に愛してるって言わないで。」
「?分かった⋯。」
なんだか良く分からんが、無事に星の協力を得ることが出来た。
銀河を股にかける主人公である星はそれはもう広くて深い人脈を持っている。
ここ仙舟は勿論のこと、宇宙ステーションヘルタやヤリーロセックス⋯間違えたヤリーロⅵそして、ピノコニーと様々な
きっと、その中に俺のバナナを安全にちょん切ってくれる奴がいるはずだ。
「肝心の誰を頼るかだけど、ぱっと思い付くのはルアンなんだよね。」
ルアン・メェイか⋯。
確かに生物学に精通してる彼女なら、安全に去勢してくれそうだが、今のルアンって確か時期的に停雲を治療中だったよな?
それにヴェルトと姫子もルアンに用事があるとかで会いに行ってるんだよな。
そう考えると今のルアンの周りはゴタついてて、流石にお邪魔するにはタイミングが悪いよな。
「ルアン・メェイは止めた方が良いと思う。」
「うん、確かに姫子達との用事もあるだろうし、少しタイミングが悪いかも。なら、ヘルタならどう?同じ天才クラブの。」
「ヘルタ⋯。」
彼女の名前は知っている。
勿論、ゲームの知識もあるが、それ以前にこの世界では超がつく程の有名人だ。
彼女を知らぬ者などいない。
天才として知られる彼女はルアンとは違い、生物学に精通こそしてないが、その常人では到底届き得ない頭脳と圧倒的な知識量はあの知恵の星神ヌースも認める程。
彼女なら、どうにかしてくれるかも知れない。
「ヘルタなら、あるいは力になってくれるかもな。」
「うん、まあ今回は内容が内容な上に本人が結構気難しい人だから、協力してくれるか分からないけど、私がどうにか交渉してみるよ。」
「それはありがたい。」
と言うわけで、俺の懐バナナを収穫する為に俺達は宇宙ステーションヘルタに行くことになった。
星穹列車は今使えないが、開拓者には界域アンカーがある。
一度行ったことのある場所なら、どこでもドアみたいにひとっ飛び。
一瞬で世界一速い無料世界旅行が出来ちゃう。
「着いたよ。ここが宇宙ステーションヘルタ。」
「おお!」
マジで一瞬で来ちゃったぜ!宇宙ステーション!
ここが生の宇宙ステーションかぁ⋯。
どこもかしこもメカメカしく正に近未来の乗り物っぽくてヲタク心をくすぐる。
「広い!カッコいい!素敵!探検したい!」
「後で見学すればいいでしょ。それよりも先にあんたの去勢が最優先。」
忘れてた⋯いけないけない⋯。
考えてみたら、この宇宙ステーション⋯ヘルタ人形に所長であるアスター、それから今はいるか分からないが、ヘルタ本体と⋯まあ、爆弾が多いこと多いこと。
去勢前にはしゃいで何か起きたら溜まったもんじゃない。
「着いてきて、多分ヘルタは模擬宇宙の所にいると思う。」
模擬宇宙かぁ⋯全然やってなかった覚えしかない。
正直階差宇宙の方が報酬美味いからそっち優先しちゃうんだよな。
ヘルタは天才なんだから、もう少し凡人でも楽しめるようにゲーム調整頑張るべきだと思う。
同じ天才クラブのスクリューガムが作った階差宇宙はすげえぞ!ピノコニー、オンパロス、二相楽園と新しい
などと、どうでも良い事を考えながら、星に着いていくと遂に、模擬宇宙が設置されているヘルタオフィスに到着した。
「ヘルタいる?」
「あれ、お子ちゃまじゃん。どうしたの?今日は模擬宇宙のテストの日じゃないよ。」
星の呼び掛けに応じ、現れたのは星や俺の腰辺りくらいの身長しかない小柄な人形ヘルタだった。
「今日は模擬宇宙じゃなくて、一つお願いあって来たの。」
「何?私は忙しいの。下らない事だったら承知しないから。」
「ここにいる新しい列車の仲間⋯宙って言うんだけど。彼のチン◯を取って欲しいの。」
「⋯はあ?」
いや、ド直球過ぎだろ⋯。
もう少しオブラートに包んで説明出来ないのか⋯。
「何を言うかと思えば⋯。あなた私を優秀な外科医か何かだと勘違いしてるの?」
「別にそんなんじゃないけど、今はヘルタしか頼れなくて⋯。」
「⋯はあ、いつもお子ちゃまには助けられてるし、協力してあげたいけど、生憎私は生物学専門じゃないの。こう言うのはルアンの役目。」
「ルアンは今タイミングが悪くて⋯。」
「だろうね。今の彼女、絶滅大君の魔の手から生き残った重要なサンプルを回収したとか何とか言って、そっちの研究に没頭してるし。」
もしかしなくても停雲の事か?
今は絶賛治療中かな。
尚更今はルアンには頼めないよな⋯。
「悪いけど、忙しい私はあなた達の性事情に関わってる暇は無いの。他を当たって。」
まずい⋯このままだと交渉決裂だ⋯。
どうにかして、上手く説得しないと⋯。
あーでも俺がヘルタを説得する上で交渉材料になりそうなのはなんだ?
星なら星核って言うヘルタの興味を引く代物持ってるけど、俺には何も無い。
何か⋯何か⋯。
「ねえ、ヘルタ。さっきから何でそんなに忙しそうにしてるの?」
「⋯少し前に妙な虚数エネルギーの流れを検知したの。」
「妙なエネルギー?」
「そのエネルギーの元を辿ってみたら、あら不思議。そのエネルギーの発生源は繁殖の星神タイズルスの物だった。」
「「え?」」
その時、俺と星の驚愕の声が重なった。
当然だろう、タイズルスと言えばかなり昔に死んだ星神だ。
死んだのだから、生命活動は完全に停止し、一瞥も謁見も出来るわけがない。
なのに、そのタイズルスから虚数エネルギーが流れた⋯?
一体どこに⋯?
「エネルギーは仙舟のある場所に向かって流れてた。今からそこに行って調査しないと⋯。」
ん?ん??ん??
仙舟?
あれ?
意外にも近場で大変な事起きてたんですね⋯。
⋯。
⋯⋯。
⋯⋯⋯。
なんか⋯いやな予感がする。
と言うか心当たりがある気がする。
「あの⋯ヘルタさん⋯。」
「何?だから今私は忙しいって⋯。」
「俺、その⋯もしかしたら、心当たりあるかもです⋯。」
「は?何言って⋯そんなわけ⋯。」
俺の言葉にヘルタは否定し、一蹴しようとするが、その言葉は最後まで続かず、途中で途切れる。
「⋯ねえ、あなた宙って言ったけ?」
「はい。」
「あなたの身体一度調べさせてくれない?」
やっぱり⋯もしかしなくても⋯そういうことですよね?
これは⋯ヘルタにある意味興味を持たれて喜ぶべきか⋯いや、でもなぁ⋯関わってる奴がなぁ⋯。
まあ、良いか。
それよりもこの状況を利用しない手はない。
「調べてもいいですけど。一つ条件があります。」
「何?」
「俺の去勢に協力して下さい。」
「⋯はあ、分かった。協力する。」
よし!交渉成立!
「ちょっと待ってて。今から持ってこさせるから。」
「?持ってこさせる?」
ヘルタの言った事に疑問符を浮かべていると、突然もう一体のヘルタ人形がオフィスに入って来て小さなケースを俺に渡してきた。
「なんすかこれ?」
「使い道が無かったから、処分しようとしてた奇物。これを使えば使用者の性別を反転する事が出来る。」
性転換か⋯。
去勢じゃなくてそっち行っちゃいます?
確かにチン◯は無くなるけど、なんか根本的な解決には繋がらない気がするんすけど⋯。
まあ、贅沢は言えないか⋯。
俺は渡されたケースを開けて奇物を確認する。
ケースの中にはメカメカしいモールドが入った少しオシャレな首輪が入っていた。
「おお!結構カッコいいじゃん。」
「これで、あなたの問題は解決だね。そのチョーカーを着けて数秒後に性別が変わるよ。でも、着ける前に一つ注意⋯」
カチッ!
「おお!意外にもエアフィット!つけ心地サイコー!」
ヘルタが何か言っていたが、それを右から左に聞き流して無視し、早速首輪型の奇物を装着した。
「⋯はあ⋯。あのね、ちゃんと人の話は最後まで聞いて!」
「ごめんごめん⋯で?注意ってなに?」
「そのチョーカーは一度着けると二度と外れないの。」
「はあ!先に言えよ!」
「言おうとして、あなたが無視したんでしょ!」
そんな重要とは思わんやん⋯。
クソ⋯普段からゲームの利用規約とか飛ばしてるのが仇となった⋯。
と心の中で嘆いていると、突然俺の身体に異変が起きる。
「⋯がっ!?なんだ⋯?身体が熱い⋯。それになんか骨がボキボキ言ってる⋯。」
「変化が始まったんだよ⋯。暫く激痛が続くよ。」
「それも早く言ってくれよ⋯。」
「誰のせいだと?」
それから暫く卒倒しそうな程の激痛とともに骨はボキボキ、内蔵はグチャグチャと音をたてて内側から細胞単位で俺の身体が作り変わっていった⋯。
そして⋯。
「はあ⋯はあ⋯はあ⋯やっと終わった⋯。」
「みたいだね。ほら、鏡見る?今のあなた結構顔だけはイケてるよ。」
そう言って、ヘルタは俺の前に大きな鏡を持ってくる。
そして、言われた通りに鏡の中を覗くと、そこには今まで会ってきた女性の中でも一二を争うほどの絶世の美女がいた。
身体が全体的に細くしなやかで、身長は星みたいに高身長。
顔は人形のように小さく肌はきめ細やかでまるで彫刻や絵画の様だ。
髪は黒髪に暗めの青紫のメッシュが入ってる長髪で、瞳の色は夕暮れ時に茜色に染まる空の様なオレンジと青のグラーデーションになっている。
総じて、美少女!
今日から俺は美少女!
「どうだ!星!俺超可愛くないか!」
「えっど⋯。」
「星?」
「はっきり言って犯したい⋯。」
うわ⋯ヤバい⋯。
目がガチだ⋯。
「ねえ、宙。宇宙ステーションに来る前の話覚えてる?何でもずっと言う事聞いてくれるって言ってたよね?無事に去勢⋯では無いけど、チン◯取れたんだから、ねえ?いいでしょ?」
「⋯ごめんちょっと用事思い出した!」
俺は身の危険を感じて、その場から逃走する。
⋯なんか寧ろ以前よりもヤバくなった気がする⋯。