開拓者を開拓者した夜について   作:ひまなめこ

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第十九話 あれ?

と言うわけで、やって来ました長楽天。

金人港と並ぶ羅浮が誇る商店街の一つ。

本屋、服屋、飲食店と色んな店が揃っていて、人通りがかなり多く、賑わっているのが特徴だ。。

 

「うわ〜!長楽天に来るのもなんだか久しぶり!最近はバタバタしてて買い物どころじゃなかったし。」

 

「俺は羅浮の街自体初見だからな。服を買ってやると言った手前、情けないが服屋までの案内は頼んだ。」

 

「任せて!姫子直伝のナビゲーター力を見せて上げる!」

 

まるで遊園地に遊びに来た子供のようになのかはハイテンションで服屋への道を先導する。

 

「ここのお店最近出来たんだって。ネットの評価も結構高いんだよ!」

 

「へえ⋯。」

 

連れてこられたのは中華な雰囲気の仙舟とは少しミスマッチな高級そうなブランド店。

高そうなスーツやら、ドレスやら如何にも質の良い生地を使ってそうな服が沢山置いてある。

 

「⋯戦う上で生地の脆い安物よりも丈夫な高級品の方が実用的ではあると思うが、この店が売ってるのは社交界でのドレスコードとかだぞ。もっと別の店とかないのか?」

 

「え〜でも、ドレスで戦う女の子ってカッコいいじゃん。姫子みたいな。」

 

あれはドローンを操縦しているから良いんだよ。

でも、なのかが使うのは双剣だ。

近接武器は遠距離武器と違って動きがかなり激しいから、スカートは断然不向きだ。

 

「ヒラヒラの服で双剣振り回すのか?自分のドレスに足引っ掛けて転ぶ未来しか見えないんだが?」

 

「⋯だったら、こっちのお店にする。」

 

そう言って、次に向かったのはさっきの店からかなりグレードが落ちた少し安っぽいお店。

値段はかなりお手軽なのだが、販売している品が服と言うよりもスポーツ用品が中心で、まともな衣服は地味なジャージくらいしか売ってない。

 

「今度は動き安そうではあるが、地味じゃないか?」

 

「もう!さっきは実用性云とか言っといて今度は結局デザインにいちゃもん着けるの?」

 

「仕方ないだろ。さっきの店の服が戦いに不向きなのは確かだし、この店のジャージも戦いでは実用的かも知れないが、お前の可愛さを殺しかねない!なのかにはもっと可愛い服が似合う!」

 

「え?あっそう?⋯そう思ってくれてたんだ⋯。」

 

「当たり前だろ⋯お前は可愛い。だからもっと適した服がある筈だ。大体お前が選ぶ店はさっきから極端過ぎるんだよ。もっとカジュアルな服を扱っている店は無いのか?」

 

欲しい服があって気になる店があるのは別に良いんだ。

後で好きなだけ買ってやる。

でも、今回の目的を見失わないでほしい。

今回の目的は原作の巡狩なのかの衣装を手に入れる事。

ドレスとかジャージで戦うなのかも見たくない訳ではないが、やっぱりここは原作に忠実な衣装を選んで欲しい。

 

「⋯あるにはあるけど⋯。」

 

「なら、そこに行けば良いものを⋯。なんで今まで渋ってたんだ?」

 

「⋯だって⋯そこのお店仙舟人が良く着る様式の服しか無いんだもん。」

 

「そりゃ、仙舟の店だからな。何か問題でもあるのか?」

 

「⋯仙舟の服は⋯露出が多過ぎるの!スカートが短いとかなら良いけど⋯胸元とか背中がポッカリ空いてる服ばかりじゃん!」

 

言われてみれば⋯確かにそうだが、スターレイルのメインキャラなんて皆露出の多い服を着ているだろ。

今更な気がするんだが⋯。

 

「お前そんなの気にする奴だったのか?」

 

「誰だって気にするでしょ!雲離とか霊砂なんてお腹見えてるんだよ!あんなの着て戦えないよ!」

 

そこはやはり文化の違いか⋯。

確かに考えてみればなのかの衣装は意外と露出が少ない服が多かったな。

通常なのかしかり、長夜月しかり、そして巡狩衣装しかり。

と言うか⋯この世界の人間に服装に対する羞恥心がある事に驚きだ。

男も女も関係なく、脇を見せたり、胸元空けたり、背中見せたり、やりたい放題の奴らばっかりだからな。

 

「仙舟にも露出が少ない服くらい探せばある筈だ。一緒に見つけよう。」

 

「うっ⋯うん、わかったよ。」

 

何とかなのかを説得して、俺達は変に極端だったり、偏りのない普通の店に向かった。

 

「このお店⋯なんだけど⋯。」

 

「ふむ⋯。」

 

なのかの案内の元、着いた店は日常で着れるカジュアルな服や戦闘での着用を推奨される厳格な服など様々な種類の服が揃った理想的な店だった。

⋯ただ、マネキンに着せてある服とかを物色する限り、確かに露出が多い服が大半を占めている。

 

「確かに⋯けしからんデザインの物ばかりだな⋯。誠とにけしからん⋯。」

 

「ほら!やっぱり仙舟ってエッチな星(ほし)なんだよ!」

 

「てめえも大概エッチだろうが。あんま人通りの多い所で大きな声で言うな。」

 

「うっウチがエッチ!?あんた⋯もしかしてウチをそういう目で見てるの?」

 

「ああ、見てるね。もはや見まくってすらいるね!ついでに星も姫子も物凄くエッチな目で見てる。」

 

「さっ最低!エッチ!宙のエッチ!淫乱男!」

 

うぐっ!⋯そんな核心を突かれた事を言われると心が傷⋯つかないな⋯。

もう、そんな初歩的な罵詈雑言で傷付く段階はとっくに終わっているのだ。

何せ俺はもう既に両手では収まらないほどの女を抱いたからな。

俺が淫乱とかエッチとか正直今更だし、そう言われてもまったく痛くも痒くもない。

 

「お前の言う通り俺はエロい。認めよう。だがお前もエロい。」

 

「ウチはエロくないよ!」

 

「わかったから口を閉じろ⋯。これ以上は他の客の迷惑になるから。早く服を探すぞ。」

 

取り敢えずなのかを落ち着かせて、俺は原作の知識を頼りに巡狩なのかの衣装を探す。

 

「お!あったあった。」

 

ここまで来る道のりの割に案外探せば直ぐに見つかった。

 

「なのか、いい感じの服を見つけたぞ。」

 

俺は見つけた衣装を持ってなのかに見せる。

 

「⋯ふーん。意外と良いセンスしてるじゃん。」

 

「だろ?試着してみろよ。」

 

「うん、ちょっと着てみる⋯覗かないでよ?」

 

「⋯約束は出来ない。」

 

「なんでよ!ぜっったいに覗かないでよ!良い?覗かないでよ。」

 

そう言ってなのかは試着室に入り、カーテンを閉めて、俺が持ってきた服に着替え始める。

 

「⋯そろそろタイミング的にここだな。」

 

数秒数えて俺はここだ!と言うタイミングで試着室に近付き、カーテンをバサッ!と開ける。

 

すると⋯。

 

「きゃあああ!なんであけるの!」

 

「ビンゴ狙い通り。」

 

「何が!」

 

俺の目の前には今、上下下着姿のなのかが試着室の中に立っている。

そう、これは全て俺の狙い通り。

服を脱ぐ時の布の擦れる音から、なのかの着替えるスピードを正確に計算し、上下の服を脱いで完全に下着姿になったタイミングを見計らって試着室のカーテンを開けたのだ。

我ながら完璧なタイミングだったな。

 

⋯それにしても⋯。

 

「桃源郷はここにあったのか⋯。なのか、お前やっぱエッチだ。」

 

「出てって!」

 

「そんなに怒んなよ。俺マジて褒めてるんだぜ?男女二人で仲良く買い物デート行ったらラッキースケベイベントは必須だろ?お前ももう少し寛容になれよ。」

 

「今すぐにカーテンを閉めて出ていかないと氷漬けにするから。」

 

⋯これ以上は不味いな。

流石にやりすぎたようなので、俺は大人しく試着室から出てカーテンを閉める。

 

「ごゆっくりどうぞ。」

 

「うるさい!」

 

完全に切れてるな。

これはもう、暫く口を聞いてくれないかもしれない。

 

そんなこんなでなのかが着替えるのを待つこと数分。

遂に着替え終わったなのかが試着室から出てきた。

 

「ほら、着替え終わったよ⋯。どう⋯?」

 

「⋯すみません、店員さんこれ後10着下さい。」

 

「そんなにいらないよ!」

 

リアルの巡狩なのか衣装⋯想像以上の破壊力だ。

残念ながら、エロさは皆無だが、とても可愛いらしい。

可愛さに磨きが掛かっている⋯。

⋯素晴らしい⋯。

 

「⋯もう、似合ってるなら素直に褒めてくれればいいのに⋯。」

 

「可愛いぞ。そして凄く綺麗だ。その姿のなのかに斬られて死ねるなら敵も本望だろう。正に羅浮が新たに生んだ剣姫だな。今のお前が放つ輝きはまるで瑠璃のようだ。」

 

「さっ流石に褒め過ぎ⋯。もういいから⋯これ以上は恥ずかしいからもう着替えるね。」

 

「そうか⋯。なら、俺は会計に行ってくる。ゆっくり着替えててくれ。」

 

そう言って俺はレジに行き、巡狩なのか衣装を20着程購入する。

 

「お買い上げ123,489信用ポイントになります。」

 

「カードで。」

 

俺は財布からブラックカードを取り出して、一括で料金を支払う。

 

「ふう⋯。」

 

こんなに金を使ったのは前世で推し活していた時以来だ⋯。

 

そう、感慨に耽っていると、着替え終えたなのかが店の中から出てきた。

 

「お待たせ⋯ってなんでそんなに荷物が多いの?」

 

「20着買ったからな。」

 

「そんなに要らないよ!」

 

「戦いの為の衣装だぞ!戦っている間に破けたり、はだけたり、爆発したりするだろ!その為のスペアだ。」

 

「だとしても、買うなら多くて3着くらいでしょ!20着はやりすぎだよ!」

 

⋯はあ、わかってない⋯。

なのかはまるでわかってない⋯。

ゲームならどれだけダメージを受けても服はそのままかもしれないが、この世界は現象だ。

攻撃を受けたら、傷を負うし、服だって傷む。

なのかは今まで弓で遠距離攻撃ばかりしていたから、知る機会が無かったのだろう。

 

⋯ならば、俺が教えてやる。

近接戦闘でどれだけ服が破けるのかを⋯!

 

「なのか、早速だがこの衣装を着て俺と組手しろ。」

 

「はあ?なんで?」

 

「お前はまるでわかってない。近接戦闘は弓やドローンとは違って相手の攻撃に被弾する恐れがある。その度に服が破け、傷んで行けば、いずれ20着でも足りなくなってくる。それを思い知らせてやる。」

 

「⋯なんか色々理由付けしてるけど、本当はウチを脱がせたいだけなんじゃないの?」

 

「⋯5割はその目的もある。」

 

「変態!」

 

ペシンッ!

 

なのかの平手打ちが俺の顔面に炸裂する。

 

「もう!さっきからなんなの!服を買ってくれたのはありがたいけど、エッチな事言ってウチをからかったり、ウチの着替えを覗いたり⋯。宙ってそう言う人だったの?最低!もう知らない!」

 

そう吐き捨てて、なのかは俺から服の入った袋を奪ってどっかへ消え去って行った。

 

「あれ⋯?」

 

いつもと違うぞ?

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