魔法少女リリカルなのはEXCEEDS Outlaw of Magia   作:ノーザ

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どの敵を出そうか迷っていた中、アニメがほぼ終わりに向かっていますが変わらず投稿します。
今回も1万字越えです、では第二話どうぞ。


戦闘イメージBGM『スターフォックスアサルト ボスバトル2』『GARNET MOON(島谷ひとみ)』


第二話 遭遇、魔法少女

 

 

自称無法少年のリュウヤとダイチに助けられたシイナ。その後、現在彼女は・・・。

 

 

「ついて来ないでぇぇぇぇぇ!?」

 

 

「久瀬さ〜ん!」

 

 

絶賛、魔法少女に追われていた。

 

 

時は遡り、二人と別れたシイナは引き続き侵略種の探索に当たっていた。

今度は大型の侵略種を目にしたが、あろう事か自分の設営したテントに近づいていた。

そこには食糧やら生活資源やらがあるので壊されたらこの先、生活に難が出る。

急いで向かっていると自分のテントの近くに女の子がいた。栗色の髪のサイドテールで白いジャケットを着た子。さっきの二人よりも年下だと思われる。避難を呼びかけたが逆に手を振って来てまるで今の状況がわかっていないのかと思っていた。侵略種を撃ち抜こうとショットガンを構えた瞬間だった。

何処から白い身の丈程の杖を取り出すと先端から桜色の光球を発現し、そのまま侵略種に向かって振るうと球体が侵略種の頭部に命中して鎮めさせたのだ。

少女は国連災害対策本部危険生物調査機関『EXCEEDS』の調査員の『高町なのは』だと自己紹介した。

初めは疑ったがウィンドウ状の身分証を提示して本物だとわかったが、13歳で国連所属の調査員とは未だに信じられない。彼女はシイナが魔人である事を承知の上で民間協力者としてEXCEEDSにスカウトに来たのだ。

しかし、シイナ本人は国や政府と言った組織には関心が無く強制でないのなら断ると言って別れた・・・はずだった。

シイナは足から炎を噴射して飛んで別れたのだが、なのはは先程使っていた杖に乗ってさながら箒に乗る魔法使いのように飛んで追って来たのだ。

そして今に至る──。

 

 

「久瀬さんはわたしたちが探している人材かもしれないんです〜!」

 

 

「知らない!帰ってぇぇぇぇぇ!?それに私よりもっと適した人とかいるから!例えば・・・」

 

 

と、思わず先程の二人を思い浮かべたがすぐに頭から無くす。

助けて貰ったのにここで彼等を売るのは違うと思い、しつこく追ってくる魔法少女をどうにかすることを考える。

手始めに『当たってもちょっと熱い』で済む小さな火球を5つ生成する。所謂威嚇射撃だ。

一発目、杖に乗ったままヒョイっと躱された。二発目もくるりと上体を回って避けられ残りの三発はタイミングを少し早めて発射しても難なく躱された。

なんなら逆ににこやかに微笑むぐらい余裕だった。その姿にちょっとムキになり狙い撃つように指を構えて火球を発射する。しかしこれも杖に乗ったまま空中で軽い身のこなしで躱された。先程現場歴は長いと言っていた事が納得出来る。

ぐぬぬと思っていると水面から何かが浮上してくる影が見えた。急いで上昇すると巨大な海蛇のような侵略種が現れた。シイナは背負っていたショットガンを取り出し、炎の弾丸を発射して侵略種を爆散させる。

なのはも杖から降りて空中で佇んで桜色の魔法陣を展開し、丁度シイナの背後から現れた別個体に向けて三発の魔力弾を射出させ仰け反ったところをシイナの火炎弾で討ち取る。

更に水面から一回り大きな個体が現れるが、二人の魔力弾と火炎弾の同時攻撃により爆散させた。堕とした侵略種の肉片が海に浮かび上がり血溜まりが広がって少々グロテクスな絵面が広がる。

さっきまで追いかけ回されていたのにも関わらずちょっとした連携になって笑顔で微笑むなのはにシイナも釣られて笑い、拳を突き出す。所謂グータッチである。それになのはも応えるように自身の拳を彼女に軽く当てる。

さっきまで無かった仲間意識が芽生えて不思議な感覚になっている中、先程の爆発音を聞きつけたのか水中から鮫のような個体と廃墟の陰から飛竜のような飛翔態まで現れた。どうやら彼女達がいる場所は丁度侵略種の巣だったらしい。

 

 

「全部倒すのはちょっと手間が掛かるけど・・・」

 

 

「でも、駆除しておきたいですよね」

 

 

「うん・・・」

 

 

自然となのはと背中合わせにして互いを守る形になる。侵略種が彼女達を取り囲もうとすると突然空が曇天となった。

それもところどころ雷が覗いている雷雲だ。それを見たなのはは何処か嬉しそうになる。

 

 

「わたしの友達が来てくれました!」

 

 

「友達・・・・・・?」

 

 

シイナ達から遠く離れた場所──。

足元になのはとは違う金色の魔法陣を展開する少女。そして黒い斧のような杖を構えると機械音が静かに鳴る。

 

 

『サンダーレイジ』

 

 

その瞬間、二人の周りを囲んでいた侵略種達に轟雷が降り注いだ。雷は二人に当たらずに侵略種だけに命中する。

間近に轟音が耳に響いて思わず耳を塞ぐシイナ。そしてさっきまでの曇天が嘘のように晴れて取り囲んでいた侵略種はピクピクと痙攣して海に浮かんでいた。

そして向こうからその雷を放ったであろう少女がこちらに向かって来た。その少女はなのはと同じデザインのジャケットを羽織っており、背はなのはよりも若干大きい。

金髪に紅の瞳で街中で歩けば誰もが振り返るであろう美しさを持っていた。

 

 

「魔法少女が増えた・・・美少女の・・・」

 

 

なのは達の年代でも美女と位置付けるのに相応しいぐらいの美貌で、美少女と言われて若干顔を赤らめる金髪の少女。そんな彼女を尻目に嬉しそうに抱きつくなのは。

 

 

「わたしの親友です!」

 

 

「心配だから見に来てみたら何やってるのなのは」

 

 

「ご、ごめん」

 

 

「あ、申し遅れました。国連災害対策本部『EXCEEDS』の執務官、フェイト・T(テスタロッサ)・ハラオウンです」

 

 

「ど、どうも・・・」

 

 

なのはが見せたウインドウ状の身分証を提示するフェイト。

 

 

「それでなのは、久瀬さんにお越しいただくって話は?」

 

 

「今説得中。フェイトちゃんも手伝って」

 

 

「ちょっと待って!二人がかりは卑怯・・・」

 

 

そう言うと困った顔でこちらを見つめる二人。余計断りにくくなるからそんな目で見つめないで欲しい。

いい加減疲れたし、歳下二人に頼まれたら立場的に勝てる気がしない。渋々投降しようと思ったその時だった

 

 

突如背後からバチバチと音が鳴り響くのが耳に入った。

振り返るとそれは、空間を鋭利な刃物で引き裂いたかのような黒い亀裂だった。ガラスに走るひび割れのように、何もなかった虚空に突如として鋭い線が走ってそれが左右へと押し広げられていく。

 

 

「な、なにあれ・・・」

 

 

シイナが思わず溢すと大きく広がった黒い穴から巨大な鉄色の菱形状の結晶体が這い出て来た。

そして先端の突起に光が収束し始めると一筋の光線が発射された。

 

 

「危ない!」

 

 

フェイトの声と共に一同は左右に散ると光線は彼女達の後ろの廃墟に向かうと巨大な爆発音と共に瓦礫と化した。

更にその結晶体から金属が擦れ合う鋭い機械音が大気を震わせた。結晶体が起き上がるように体勢を変えると巨大な蜂の死骸を機械でつなぎ合わせたかのような異形となった。

金属とも甲殻ともつかぬ鈍い紫色の装甲を持ち、その8枚羽根には生物の目がギョロギョロと動いて獲物を探しているようだった。

 

 

「侵略種・・・って言っていいのかな・・・」

 

 

「にしてもメカメカしいって言うか、とにかく気持ち悪い!」

 

 

怪訝そうに言うなのはに思わず己の感情を顕にするシイナ。

生物の生々しさと機械の冷徹さが融合したその巨体が、重低音の駆動音を響かせながら彼女達の頭上を覆う。

 

 

『ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!』

 

 

聞いた事も無い機械音のような鳴き声を放つと下半身に収納していた橙色の卵が蠢くとヒビが割れてそこから小さな個体の蜂が出てくる。無数の蜂達は彼女達に向かって一斉に飛翔して来る。

 

 

「うわぁぁぁぁこっちに来たぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

「しょうがない!こちらも応戦するよ!」

 

 

「うん!」

 

 

「ええい!こうなりゃヤケクソだぁぁぁ!」

 

 

なのはとフェイトはそれぞれ桜色と金色の魔法陣を展開し、シイナもショットガンを取り出して迎え撃つ。

なのはは桜色の魔力弾を生成して迎撃し、フェイトは金色の魔力弾を槍状に変換して放ち、シイナはショットガンから火炎弾を発射する。

それぞれが己が持つ技で迫り来る機兵の蜂達を殲滅する。通常の侵略種よりも強度があるぐらいで倒せないことは無いが羽虫の如く次から次へと沸いて来る。

 

 

「堕としても堕としてもキリがない!こうなったら最大火力で!!」

 

 

全身に力を込めて髪と瞳が橙色になったシイナがさながら火炎放射器の如くショットガンから火を噴き多く撃墜させる。バラバラと鉄屑と化した蜂達が海面に落ちてホッと一息ついた時だった。

 

 

「久瀬さん避けて!!」

 

 

「え?」

 

 

フェイトの鋭い声と共に前を向くと巨大な蜂から視認出来るぐらいの紫のリング状の超音波が眼前に迫っていた。

 

 

「がっ!?」

 

 

攻撃を直に受けてしまった彼女に全身が麻痺した感覚が襲う。まるで感電したかのように手足が思うように動けない。辛うじて筋肉が硬直してショットガンを離して無い事が不幸中の幸いか。

そんな彼女に一体の蜂が豪速で接近して来るのが視認した。なのはが魔力弾で堕とそうとするが庇うように他の蜂がわざと当たって邪魔をする。

一体の蜂がシイナに衝突すると巨大な爆発を起こした。黒煙からシイナが逆さまに自由落下して行く。

 

 

「久瀬さん!!」

 

 

救出に向かおうとするも他の蜂達が彼女達を牽制して来る。このままでは海に落ちるだけで無く、まだ海底には侵略種がいる可能性があるのでその餌食なってしまう。

今の状態では分が悪いと踏んだなのははバリアジャケットを纏う事にする。

 

 

「レイジングハート!セット・・・」

 

 

『マスター!こちらに急速に接近する魔力反応二つを検知』

 

 

「え!?」

 

 

半ば割り込まれるように愛機からの情報に驚愕するなのは。今この場には自身とフェイトの二人が魔力を持つ人間だが、それに加えて別の二人がこっちに接近しているのだ。自分たちの他に魔力を持つ誰かが──。

 

 

「久瀬さん!!」

 

 

フェイトの声に現実に戻ると再び数体の蜂が落下していくシイナに向かっていた。気を失ってる彼女に更に追撃を加えようと言うのか。

今度こそバリアジャケットを纏おうと二人がデバイスを構えた瞬間だった。

 

 

ヒュンッ

 

 

何かが高速で横切った。

二人の間を後ろから二つの影が横切って真っ直ぐシイナの元に向かって行った。

二つのうち一つは橙の軌跡を描いて彼女に襲い掛かる蜂を切り裂いた。巨大な爆発が起こるがその黒煙から一つの影が紅の軌跡を描いて突き抜けて出てきた。

 

 

「あの人って・・・」

 

 

 


 

 

 

「・・・・・・あれ?私・・・・・・」

 

 

気を失っていたシイナが目を覚ます。

そうだ。自分は巨大蜂から発られた超音波を受け、その後小蜂の特攻で意識を失っていたのだ。

そして今は・・・。

 

 

「オネーサン大丈夫?」

 

 

「・・・・・・りゅう、や?」

 

 

ボヤけた視界に入ったのは先程自分を助けてくれた紅髪の少年。呂律が回らない口で彼の名を口にすると何処か安心した気持ちになった。

するとここで彼の顔を見てとある事が疑問に浮かぶ。

 

 

(あれ・・・?なんで私リュウヤを見上げてるんだろ・・・?)

 

 

リュウヤは歳下故に身長もシイナより少し低い。それなのに今は彼を見上げる形になっていた。体勢も地面に足が着いていない感覚になっており、体も横向きになっていて──。

 

 

(ん?待って、横向き?)

 

 

改めて自身の状態を再確認する。

今はリュウヤを見上げており、足も地面に着いておらず体は横向き。この状況下で導き出せる答えは・・・。

 

 

『お姫様抱っこ』

 

 

「・・・・・・っ!?」

 

 

自分が置かれている状況を理解した彼女は一気に顔が熱くなる。よく見ると体もしっかり抱き寄せられていて距離もかなり近かった。すると彼の左手が自分に近づいてるのが見えた。

 

 

「え!?な、なになに!?」

 

 

その手が彼女の顔まで来ると思わず目を瞑ってしまう。

 

 

(だ、駄目!)

 

 

キュッと目と口を閉じてしまうがその手は顔に掛かった髪を優しく整えるように払うとじっと見つめられる。

 

 

「な、何・・・・・・?」

 

 

助けられた時と同じか細い声で恐る恐る聞く。

今のシイナの状態は魔人化して髪と瞳の色が鮮やかな橙色に変わっていた。彼が初めて助けに来た時は丁度元の姿に戻っていた時だった為、魔人化の彼女を見るのは初めてである。

朝焼けのようなオレンジ色。陽光によってそれが更に際立つ。彼はまるで偶然探索中に煌びやかな宝石を見つけたように。その眩さに目を細めてポツリと呟いた。

 

 

「綺麗・・・・・・」

 

 

「!?!?!?!?!?!?」

 

 

彼にとってそれはただ思った事を口にしたつもりだったが今のシイナにとってはその言葉は一番効いた。

ぼんっと顔が紅潮し、目もぐるぐると焦点が合わずに慌てふためく。

 

 

「ななななななな何を言ってるのいきなり!?!?き、急に綺麗とか言って!?!?ていうか降ろして!?早く降ろして!?このままじゃ恥ずか死ぬからぁ!!」

 

 

 

「いででででで!?ちょっとオネーサン暴れないで!?このままじゃ俺が落ちる!!」

 

 

ジタバタと腕の中で暴れる彼女をなんとか宥めるリュウヤ。

落ちると聞いて彼の足元を見る。赤い対照的なボードに乗っていた。これは放浪中にダイチと共に作ったホバーボードだ。飛行能力だけなら罰怒ブランドに引けを取らない性能である。

 

 

「それに、俺だけじゃないでっせ」

 

 

「え?」

 

 

彼が指を指す方へ見るとこれまた見た事のある少年がいた。

 

 

「うりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!滅っ殺!」

 

 

「や、やっぱり・・・」

 

 

刀身が長めのナイフ『ヒートナイフ』で蜂達を切り裂くダイチが罰怒ブランドに乗りながら戦っていた。

 

 

「ちょっとまだ危ないから掴まっててね」

 

 

「いや、私も飛べるから降ろして!」

 

 

 

「お〜いダイチ一人で大丈夫か〜?」

 

 

 

「話聞け!?」

 

 

叫ぶシイナを無視して奮闘中のダイチ呼びかける。

 

 

 

「うわぁぁぁ〜!何機の敵がいるんだよぉ〜!!」

 

 

 

「ビルギットさんもっと動け!!」

 

 

 

「ビルギットさん is 誰!?」

 

 

「ええい!この!クソ!」

 

 

「いやアンタかい!!」

 

 

慌てるような声を出してるが、実際は順当に堕として行ってるダイチ。大丈夫そうだと踏み込んだリュウヤはそのまま彼女を抱き抱えて飛行する。すると背後から他の蜂達が追って来るのを確認した。

 

 

「後ろから来てるよ!」

 

 

「わかってるわかってる」

 

 

「いやわかってないじゃない!私降ろした方が戦いやすいって!」

 

 

 

「あんまり騒いでると舌噛むよオネーサン」

 

 

 

「誰の所為で言ってると思ってるのよ!?」

 

 

 

また喧嘩してるの?やめてよ!やだぁ〜☆(フェードアウト)」

 

 

「アイツのポジション何処なの!?」

 

 

 

急に現れたかと思ったら追いかけてきた蜂達を堕としに行くダイチに怪訝そうに見るシイナ。

やけに高い声で喋っていたのは敢えてスルーすることにした。しかし撃ち漏らした蜂がまだこちらに向かって来ていた。

 

 

 

「まだ来てる!」

 

 

「・・・あっ良い事思いついた」

 

 

「え、何?」

 

 

「オネーサン、靴下脱いで裸足になった方が良い。これからびしょ濡れになるよ」

 

 

「ちょっと待って何するつもり!?ていうか前!前にビルがあるって!」

 

 

既に後ろには数十体の蜂達が群がってきて丁度目の前には廃墟のビルがありこのままでは激突してしまう。

 

 

「見てて、またオネーサンを救ってやるよ」

 

 

「駄目!ぶつかる!!」

 

 

思わず目を瞑ってしまうシイナだが蜂達との距離をギリギリまで引きつけたリュウヤはビルとの壁をほぼ直角で曲がって上昇する。

蜂達にとっては目標が見失ったかと思ったら目の前に壁が現れ、避ける間もなく激突して爆散していく。後続の蜂も誘爆して追っていた蜂達を完全に撒いた。

 

 

「FOOO!一気に殲滅していくぅ〜!」

 

 

「あ、危なかった・・・」

 

 

「でも、助かったでしょ?」

 

 

ニッと笑う顔が太陽の光に照らされて余計に眩しく見える。その笑顔に思わず心臓が跳ねるシイナ。

 

 

(あれ、なんで私・・・・・・って違う違う!これはあれだから!ぶつかると思ったからこんなに緊張してるの!断じてそんなのじゃないから!!)

 

 

心の中で必死に否定して平静を取り繕う彼女にリュウヤは首を傾げる。

 

 

「よし、じゃあ俺今から堅実モードから天才モードに入るから悪いけど降りて」

 

 

「何?天才モードって???」

 

 

彼女を降ろして自ら飛んでいるのを確認すると乗っていたボードから降りて足元に魔法陣を展開する。

するとボードが目の前に来て二つに分かれると彼の肩付近に浮かぶ。そしてボードの裏に仕込んでいた二本の赤い棍棒を連結させグルグルと回す。

 

 

「私は天才である!!」

 

 

「天災の間違いじゃなくて!?」

 

 

肩に推進機と化したホバーボードで単独の飛行が可能になったリュウヤが向かって来る蜂達に棍棒の両先端から緑の蛍光色のワイヤーのような物が飛び出る。

 

 

「ジャベリンはぁ、こう使う!!」

 

 

グルグルと振り回し、まるで鞭の如くしなった『ビームジャベリン』は蜂達を真ん中に綺麗に裂き、胴体を切断していく。

 

 

「あ、それっ!」

 

 

棍棒を二つに戻して横に払うと分離したビームジャベリンがブーメランの如く回転しながら蜂を撃墜する。

 

 

「諸君らはこの廃墟から私にやられに来たんだよなぁ!」

 

 

「なんかキャラ変わってない・・・?」

 

 

「ウッヒャッヒャッヒャッヒャ!私は天才なのだよぉ!」

 

 

高笑いしながら蜂を堕としていく自称天才の天災少年リュウヤ。その変わりようにシイナは若干引いた。先程まで助けてくれた彼は一体何処へ・・・。

二人が奮闘する中、遠くから女王蜂が8枚羽の目から光が集束し始める。

 

 

「お、なんだぁ?光が付いたぞ?」

 

 

「彗星かな?」

 

 

「いや、違うな。彗星はもっとバァーって動くもんな☆」

 

 

そんな小ボケをしてると案の定目からレーザーが発射され、ギョロギョロと動く目と連動してめちゃくちゃな軌道を描くレーザーが迫って来た。

しかしその隙間を潜るかのように避けてリュウヤが女王蜂の眼前まで迫ってきた。

 

 

「なぁにがジャベリンよぉ!」

 

 

飛び出たジャベリンを鞭の如く振るうが当たる直前にエネルギーを障壁を張られ、振動音を響かせながら攻撃が相殺される。

 

 

「なんとぉ!?」

 

 

そしてリング状のレーザーが放たれるが肩のホバーユニットで急バックして躱す。その際に腹の中のものが逆流してウッてなるが飲み込んで堪える。

 

 

「あのバリアみたいのが厄介だな」

 

 

『解析が完了した。どうやらあの8枚羽の目からエネルギー反応を確認出来た。先にあの目を潰す事で無力化出来る』

 

 

「なーるほど、そうとわかったら・・・・・・ダイチ!!」

 

 

「はいよ!」

 

 

「アイツのデケェ目ん玉潰せば無力化出来る!」

 

 

「なんだ、随分と簡単じゃないか!」

 

 

「目ん玉つぶつぶもぎもぎフルーツにしてやりましょう!」

 

 

「もぎもぎフルーツ了解!」

 

 

二人は分かれてそれぞれ女王蜂の羽の眼球に目掛けて攻撃を仕掛ける。

 

 

「ダブル“紅蓮練度”(グレネード)!!」

 

 

大剣の柄に向かって炎を纏った蹴りを二発入れると豪速球と化した大剣が右の羽の一つ眼球に向かって飛来する。

直前まで障壁を張られるがガラス細工のように割られ眼球を貫通する。

 

 

『ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!?』

 

 

苦しそうに悶える女王蜂だが、飛んで行った大剣がUターンして先程の速度のまま反対側から左羽の眼球の一つを突き破る。

さらに悶える女王蜂にリュウヤの追撃が入る。

 

 

「初めての空中戦でぇ!!蝶のように舞い!!」

 

 

大きく伸ばした鞭が眼球を叩き、返す鞭で他の目にも鞭を叩き込む。その様はまさに───。

 

 

「蜂のように刺↑す!!」

 

 

残りの眼球も割れて悲鳴のような駆動音を響かせながら苦しむ女王蜂にある事に気付く。

なんとチキチキと割れていた箇所から再生し始めたのだ。このままでは今までの攻撃が水の泡だ。そう思っているとドライグからの助言が入る。

 

 

『再生速度はさほど早くない。今一気に叩けば倒せるだろう』

 

 

「そうと決まれば・・・・・・ダイチ!『フォーメーションSE』だ!!」

 

 

「フォーメーションSE!?リュウヤ、やるんだな!?今!ここで!!」

 

 

「あぁ!勝負は今!ここで決める!!」

 

 

「また何かしようとしてるんだろうなぁ・・・・・・」

 

 

二人のやりとりを遠くから見ていたシイナがポツリと呟いた。あんな掛け合いをする時はロクな事じゃないと身をもって体験した彼女だからわかる。

 

 

「ドライグ!チャージまでどれぐらい掛かる!」

 

 

『最短で3分だが、彼奴の状態を見るに完全再生まで2分30秒とみた』

 

 

それを聞いた瞬間リュウヤは再生中の女王蜂に向かってジャベリンを振るう。

 

 

 

「ジャベリンをぉ!味わいなぁ!!(剛田節)」

 

 

放たれたジャベリンは女王蜂に巻き付き、バチバチと火花を散らしながらこんがらがって悶える。

 

 

 

『完全再生まで3分30秒にまで修正』

 

 

「よし!そんじゃあ他の蜂達に邪魔されないように援護よろしく!」

 

 

「任セロリ!」

 

 

二人は分かれてリュウヤは攻撃準備の為に足元に魔法陣を展開し、ダイチは彼に蜂達が向かわないように倒していく。

 

 

「オラオラァ!相手になってやるぜハエども!!」

 

 

両手にヒートナイフを展開して乗っている罰怒ブランドを回転させてさながらコマのようにグルグル回って切り裂く。

 

 

「いいぞ、あれなら・・・」

 

 

『警告、背後から3体接近中』

 

 

「マ?ちょっとマズイか?」

 

 

 

丁度彼の背後から迫って来る三体の蜂達。今は術式を展開中なので動く事は出来ない。ダイチはまだ頭上で他の蜂を相手をしてるのでこちらに来れない。

万事休すか──。

 

 

「ま、嘘なんですけどね」

 

 

蜂が彼に近づいた瞬間、水面から火柱が昇って焼き尽くした。こうならない為に予め近くにトラップを仕掛けておいたのだ。リュウヤに一定範囲内に接近すると発動する罠魔法の術式を仕掛けておいたのだ。

しかし倒したのは前にいた個体で残りの二体は前を囮にして火柱から免れたのだ。

流石に想定外で蹴りでどうにかしようかと思って身構えたが蜂達の頭上から火炎弾が降り注ぎ、爆散していった。ダイチが間に合ったのかと上を向くと──。

 

 

「一応借りは返したつもりだよ!」

 

 

シイナがショットガンを構えてしてやったと笑みを浮かべていた。

 

 

「あっ好き!!ありがとう!!」

 

 

「ふぇっ!?!?」

 

 

彼にとっては『援護ありがとう』の意味を含めての『好き』だったが突然好きと言われた彼女にとっては不意打ちを喰らったのと変わらず赤面してしまう。

そんなシイナを尻目に攻撃準備が整い、足元の魔法陣が紅から淡い青色に変化する。

右腕の装甲が展開され、龍の顔になると構えていた棍棒が水色になる。

 

 

「喰らえ害虫!!海龍流転(サーペント・ドライブ)!!」

 

 

棍棒を突き出すと水面からエネルギー体の海蛇──水龍(サーペント)が突き破って現れる。

海面を跳ねるように這う水龍はまっすぐ女王蜂に向かって獲物を締め上げるかの如く巻き付いた。

巨大な駆動音を轟かせて更に苦しむ女王蜂に更にダイチが追い討ちに入る。

 

 

「化学の時間だ! “必駆”(ビッグ)蛮触礼亞(バンフレア)!!」

 

 

両手に構えた大剣の先端に巨大な火球が生成されて発射される。その火球は女王蜂より一回り小さいサイズだった。

 

 

「オネーサン!ここから全力で離れるよ!」

 

 

「きゃっ!?り、リュウヤ!?!?」

 

 

シイナの元まで向かうと突然抱き締めて頬を赤く染める彼女だが全速力でその場から離脱した。

 

 

「今から凄いことが起きるよ!」

 

 

「ちょっと!何が起きるって言うの!?」

 

 

「とても素晴らしい事だよ☆」

 

 

「答えになってない!」

 

 

横からニュッって現れたダイチが代わりに答えるが全然わからずツッコむシイナ。

さてここで問題である。

水が超高温の物質に接触したらどうなる?

その答えは──。

 

 

ズガァァァァァァァァァァァァァァン!!!!

 

 

火球が水龍に触れた瞬間巨大な爆発を起こして女王蜂どころか他の蜂達も巻き込まれて木っ端微塵に吹き飛んだ。

フォーメーションSEとは『Steam Explosion(水蒸気爆発)』の事である。

これは水場が多く無いと出来ない魔法で今回は海を利用して放ったので出来たのだ。

爆発により頭上から海がスプリンクラーの如く降り注ぐ。

 

 

「自然のスプリンクラーだ〜!気持ちいい〜!」

 

 

「いや〜一仕事終えたシャワーは最高ですな〜!」

 

 

「無茶苦茶すぎる・・・て、て言うか早く降ろして!」

 

 

「あぁ、ごめん」

 

 

抱き抱えられてる事を思い出して赤面する彼女を速やかに降ろすリュウヤ。その後二人はシャワーを浴びるかの如くスプリンクラーを浴びて整う姿に何処か可笑しく笑みを浮かべる。

そしてふと手を胸元に置くと・・・。

 

 

(・・・・・・まだドキドキしてる)

 

 

助けてくれた時と先程離脱する際に咄嗟に抱き締められた感覚を思い出して鼓動が早くなっていくのを感じる。

間近で感じた体温に、息が掛かるくらいの至近距離。そして心なしか抱き心地も──。

 

 

(ってバカバカ!そんなわけ無いじゃない!!)

 

 

払うかのようにブンブンと首を振って否定するが頬は熱く、心音はまだ早い。

その頃リュウヤはスプリンクラーを浴びてサッパリしていた。

 

 

「いや〜なんか天気が急に悪くなって雷が鳴ったと思ったら、今度はデッカい鳴き声が聞こえてやって来たらデカい虫はいるわで色々あったけどなんとかなりましたな〜」

 

 

(あぁ、それで助けに来たんだ・・・)

 

 

「なんやかんやあったけどあんな奴、そうめんみてぇなもんだぜ☆」

 

 

「俺はそんなもんより、蕎麦がいいぜ☆」

 

 

(いや、なにそれ・・・)

 

 

突然そうめん発言したダイチ対して蕎麦発言するリュウヤ。それがまた可笑しくてクスリと笑ってしまう。

 

 

(また、会えた・・・・・・)

 

 

1日に2回も再会して、2回も助けられて心の何処かでは嬉しく感じたのはまた別の話。

 

 

「さ〜て、体動かしたら腹減ったけどどうする?もう夜の分まで食べる?」

 

 

「まぁこんだけ動いたら食べてもバチは当たらないでしょう」

 

 

「んじゃまぁ行きますk「あの〜すみませ〜ん」ん?」

 

 

ふと彼等の頭上から声が聞こえて振り返るとゲッとシイナは思わず言ってしまう。

白いジャケットを羽織った少女が二人、なのはとフェイトだ。

 

 

「こちら国連災害対策本部危険生物調査機関『EXCEEDS』の調査員の高町なのはです。少しお話を聞いてもよろしいでしょうか?」

 

 

にこやかな笑みで二人の少年に訊ねるなのは。でもこの二人なら『そんなの知りませ〜ん』と言いながら逃げるんじゃないんだろうかと思っていると信じられないものを目にする。

ガシャンと持っていた棍棒とヒートナイフを落とし、肩のボードも外してそれぞれのデバイスの槍と大剣を地面に置いて静かに両手を上げた。

疑問に思って二人の顔を見るとギョッとする。

先程までの笑顔は何処に行ったのか静かすぎるぐらいの真顔で目も笑っておらずそれは刑が執行される前の囚人のそれだった。

 

 

 

 


 

 

とある出来事の話をしよう。

15年前まで内戦状態だった機械信奉国家『ダルナザ共和国』。そこでは自律起動型の機械が暴走する通称『ロボット暴走事件』が多発していた。

人型だけでなく飛行ユニット型や巨大重機型までもが暴走していた。その国の警備隊が迎え撃つもまるで歯が立たず一刻の猶予も争う事態だった。

そこで国連からの増援が投入されると情報が入ってなんとかその場保つように奮闘する中、()()()現れた。

 

 

頭上から現れたそれは桜色の魔力弾を雨のように降り注ぎ、迫り来る巨大重機を無力化しその手に持つ杖から発生した魔力刃で人型を斬り伏せて一気に戦況を逆転させた。

 

 

一人の警備隊員によると何が起こったのかわからなかったと言った。何故ならそれを行ったのは屈強な戦士でもなく歴戦を感じる者ではなかったからだ。

 

 

見た目は13歳の少女。

白いジャケットを纏い、手に持つのは身の丈程の白い杖。一見すると魔法少女を彷彿とさせる容姿。

だがその実力は見た目にそぐわないぐらいの強さだった。

たった一人で機兵の大群を無力化し、戦況を一転させるその力量。誰かがポツリと呟いた。

 

 

 

『国連の白い悪魔』と──。

 

 





なのは「はじめまして、高町なのはです!久瀬さんを勧誘しようとしたら国連で噂になってる二人にも出会っちゃいました!」
フェイト「でもあんなに侵略種に対して暴れていたのに何故かすんなり話を聞いてくれたよね?」
なのは「うん、久瀬さんみたいに断られたらどうしようと思ったけど。わかってもらえて良かった!」
シイナ「それって私が話を聞いてくれない人って言いたいの・・・?」
なのは「と、とんでもございません!たださっきみたいに長ったらしく説得しなくて良いと思っただけで・・・」
シイナ「やっぱり私が話を聞かない人って言ってない!?」
フェイト「次回、魔法少女リリカルなのはEXCEEDS Outlaw of Magia第三話 彼等について」
なのは「見てください!」
シイナ「そっちもやるんだ・・・」
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