遅くなった割に少ない文字数ですみません。
どうしても徐々にヤンデレ化してほしくて….
サイトウさんの指導の甲斐もあり、俺のガラル空手もかなり形になってきたように感じる。技術的にはまだまだだが、この前の模擬戦では持ち前のパワーを活かしてトシヤさん相手にかなりいい勝負ができた。
そこで、サイトウさん以外の人からも指導を受ければ更に成長できると考えた俺は、彼女にその旨を相談してみる事にした。
「なるほど…。私以外の方からも指導を受けたい、と。」
「そうそう。あの勝負以来色んな人と交流するようになったしやってみたくてな。
どう思う?サイトウさん。」
「………」
「?サイトウさん?」
どこか上の空な彼女の名前を呼ぶと、ハッとしたようにこちらを向く。
「わかりました。許可しましょう。…ただ、」
「ただ?」
「いえ、やはり大丈夫です。気にしないでください。」
彼女は何かを言いかけたが、途中でやめてしまった。
面倒見の良い彼女のことだ、「いつでも私を頼ってくれていいんですよ。」と言おうとしてくれたのだろう。
「ちなみに、最初の相手は決めているのですか?」
「もちろん、トシヤさんに頼もうと思ってるで。」
「そうですか。頑張ってくださいね。」
サイトウさんは俺の目をまっすぐ見つめたまま、応援の言葉をかけてくれた。
それからというもの、俺は道場中の様々な人に声をかけ、稽古に付き合ってもらった。
彼らとの鍛錬の中で、俺はサイトウさんとの稽古だけでは気付けなかった様々な課題に直面した。しかし、その度にサイトウさんと稽古をすると、何をすればいいのかがすぐにわかる。
ーーそんなある日のこと
「ササギくん、上半身に集中しすぎ!足運びが疎かになってるわよ!」
「すいませんアイコさん。こう、ですか?」
「そうそう良い感じ。だいぶ形になってきたんじゃない?」
「ありがとうございます!!」
俺はジムトレーナーにしてガラル空手の実力者、アイコさんに稽古をつけてもらっていた。
「次の動きに移る前に、水分補給しましょうか」
「そうですね、俺もう喉カラカラですわ。」
「じゃあ5分後にまたここ集合ね。」
「はい!」
ジムトレーナーなだけあり、アイコさんの教え方はとてもわかりやすい。
トシヤさんが熱血型で根気強く教えてくれるのに対し、アイコさんは的確なタイミングで分かりやすく指示をくれる。二人ともサイトウさんの教え方ともまた違うが、それぞれに良さがあり、勉強になる。
「ん?」
水分補給中、何かを感じ振り向くと、そこには笑顔でこちらを見ているサイトウさんがいた。気のせいだろうか。今日はやけにサイトウさんとよく目が合うような…。
「ほら!どこ見てんだい!次の稽古に移るよ!」
声をかけられ、俺は慌てて振り向く
「はい!引き続きお願いします!」
その後もひたすらアイコさんの指示通り、体を動かし続けた。
「よし!今日は終わり。よく頑張ったわね。」
「丁寧なご指導、ありがとうございました。次の機会までに絶対ものにしてみせます!」
「良い返事ね。でも気負いすぎないこと、サイトウちゃんが心配しちゃうわよ?」
「?そうですね!気をつけます!」
その後俺が一人で片付けをしていると、サイトウさんが近づいてきた。
「ササギさん、今日はお疲れ様でした。動き、良くなってきてますよ。」
「ほんま?サイトウさんに言われるとやっぱり嬉しいなぁ。さっきアイコさんからめっちゃ丁寧に教えてもらってん。」
「………」
「ん?どないしたん?」
「では、私に実践してみせてください。」
俺はもうクタクタだったが、彼女のいつになく真剣な顔を見て、最後の力を振り絞る。
「じゃあいくでサイトウさん!ケガせんように気付けてな!!」
気のせいだろうか、いつもよりサイトウさんの動きがよく見える。いつもなら見逃していたであろう一手も、間一髪で躱す。
「おぉ!見た?今のアイコさんに教えてもらった動きや!!」
「…試合中に私語は禁物ですよ。」
しかし彼女の反応速度の前には敵わず、空いた胴体に蹴りを喰らってしまう。
「ほら、どうしました?動きが崩れていますよ?」」
「そんなん言われてもッッ!!」
結果、俺は完膚なきまでに叩きのめされた。疲れもあるのだろう。彼女の一挙手一投足はいつもより鋭く感じた。やはり彼女には敵いそうにない。
「すいません。少し力が入りすぎました…。」
「いや全然。むしろええ勉強になったわ。っていうても、俺は手も足も出んかったけど。」
「以前からは想像も出来ないほどに持ちこたえていました。十分な成長です。」
「ほんま?頑張った甲斐あるわ。やっぱ色んな人と組むとまた変わるもんやな。」
俺が笑いながら立ち上がると、彼女は神妙な面持ちで俺の目を見つめている。
「やはり…私では力不足なのでしょうか。」
「そんなことないで。確かに色んな人に教わるんはおもろいけど、やっぱサイトウさんとやってる時が一番やわ。」
「……!!」
「今すぐとはいかんかもしれんけど、サイトウさんに全力出させるようにしたるで!」
「えぇ、楽しみにしていますよ。」
サイトウさんはその日、いつもの2倍食べた。
そろそろサイトウ視点書いた方がいいか…