狂愛を取り戻せ   作:アマノジャック

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狂愛の紅 + 沈黙の日曜日 ﹦血飢えしケダモノ

「…(ソウジ)、私走る。」

 

ユキ(コウセツ)の勝負したいという脅迫に答えるディープインパクト。しかし今日は既に2度も模擬レースをしており、オーバーワークになるためソウジはそれを許さない。

 

「止めてくれ…無敗の三冠を勝ち取ったお前を…大好きなお前をこんなことで終わらせたくない!!」

「…大…好き?」

「あぁ、そうだ!ずっと俺のことを好きと言ってくれるお前を…意識してないわけがないだろ!」

「…(ソウジ)♡……じゃあ、タキオンと離婚して私と結婚してくれる?」

「それは無理。」

「…柔軟スタート。」ググッ

「あぁ!?だから走る準備をしないでくれ!お前、ここで終わっていいのか?」

「…そしたら(ソウジ)が責任とって一生私を養ってくれるでしょ?」

「そんなことで終わったなら取らねえわ!」

 

「何あレ?何でコイツらはコノ状況でワタシを無視出来るノ?何であんナのがディープインパクトに好かれテイるの?」

『…』

「…そう。サンデーサイレンスまでソンなこと言うのね…腹立たシい!もう1回…」

 

ソウジとディープインパクトのやり取りに怒りを覚えるユキ(コウセツ)。そのまま右手を前に…

 

ガシッ

 

「ユキちゃ~ん、今から何をするつもりかしら~?」

 

背後から表れた栗毛のウマ娘に掴まれた。

 

「アグネスタキオン……じゃない。姉の『アグネスフライト』ね。ワタシはあの2人の足に触レようとしたダけよ?」

『…!?…!…!!!』

「ふーん、触れるだけか…そっかそっか。それでユキちゃん…その姿は何?」

「アのトレーナーと一緒。『因子』を飲ンだらこウナったの。」

「ふーん、タキオンちゃんの研究成果をねぇ…?」

『…!……!!』

 

アグネスフライトは笑顔をユキ(コウセツ)に向けているものの…目は笑っていない。

 

「サンデーサイレンス、さっキからうるサイワ!」

「…サンデーサイレンスさん?あぁ、なるほどなるほど。今はユキちゃんに取り憑いているんだ……剥がすか。」グイッ

『…!?』

「──エっ!?本当にイナくなッテる?何をシタノ?」

「何って…摘まんで剥がしただけよ?はい、自分の身体に戻るっ!」パンッ

 

「かはっ!」がばっ

 

宙を掴んだアグネスフライトが倒れたサンデーサイレンスの背中を叩くと…サンデーサイレンスが起き上がり、ソウジとディープインパクトのいる所へと駆け出した。

 

「サンデーサイレンスさん?助けてあげたのに何で何処か行っちゃうのですか?」

「助けてあげたじゃねぇよバカ!今、そのトレーナーの中にはスティルがいたから余計なことだわバカ!…プイ、大丈夫か?」

「…デサイレン、邪魔。…今、(ソウジ)といいところ。」

「プイッ!?」がーん

 

対してディープインパクトの反応は冷たい。そして、アグネスフライトの腕に血の手形が付いた。

 

「…あら?」

「ワタシはディープインパクトを食ラい尽くシたイの…邪魔しナイでくレる。」

「えいっ……っぐ!」バチッ

「……ハ?何をシてルの?」

「本体にはノーダメージか。繋がってる訳じゃなさそうね…」

 

アグネスフライトは冷静にスタンガンを取り出して…血の手形へと電気を流す。自身にも電撃が走ったものの血は弾けるように消え去った。

 

「そんナノありッ!?なら、もウ1回…」

 

ユキ(コウセツ)が前に手を伸ばし…

 

「なるほど…そうやって手から血を飛ばして操っていたのね。」

 

バチッ

 

飛んできた血をスタンガンで蒸発させた。そして、アグネスフライトはユキ(コウセツ)の首を片手で捕まえて…宙へと持ち上げた。ユキ(コウセツ)の肌を染めている血が手へと流れ、右腕の血濡れた部位が掴まれたかのように食い込むが…アグネスフライトは気にする様子はない。

 

「離しナサい…!」

「ユキちゃん…じゃなくてスティルちゃんか。スティルちゃんさ~、さっきさ~…プイちゃんを食らい尽したいって言ってたよね~?」

「そレが何?離しなサイ!」

「…ユキ(その身体)は食われた側だぜ。」

「──ッ!?」

 

アグネスフライトの口から突然ドスの効いた低い声が出る。それ聞いた瞬間、ユキ(コウセツ)の力が抜けて、重力のままにアグネスフライトの右手が逆に自身の首へと食い込み始めた。

 

「何デ…急に力が入ラ……ナっ!?ドコに手を…!?」ずぼっ

「んー、血でザラザラしてて分かりにくいけど………ここはトロットロォ♡身体はちゃんと覚えてるみたいね…あぁ、美味し♡」れろっ

「何の話ヨ!」

「ユキにとって私は初めての相手だった…それだけの話よ。」

「…初めて?」

 

『暴れても無駄だ。ウマ娘に人間が勝てない訳がない。けど、安心しろ…ちゃんと気持ちよくしてやるから♡』

『ん!んんー!!』

 

アグネスフライトはユキ(コウセツ)のズボンの中に左手を入れ…すぐに抜くと手に付いた血と混ざった透明なナニかを舐める。さらに続いたアグネスフライトの言葉にユキ(コウセツ)の思考が止まる。…次の瞬間、アグネスフライトによりベッドに押さえ付けられたユキの姿が、当時のユキの記憶が頭に流れ…激昂する。

 

「まサか……!許さない!!この身体はワタシのものなのに…!!」

「へ~、スティルちゃんもユキちゃんを食べたことがあるのね…私たち仲良くなれそうじゃない?」

「ふざけないで!」

「私としては…スティルちゃん自身を食べたいな~♡ティアラ三冠のウマ娘の身体ってとっても美味しいのよ♡まぁ、終始無反応でつまらなかったけど…だから、この前実家にいるラモーヌちゃんにリベンジしようと寝室に向かったの♡そしたら、何故か一緒に寝てたじいちゃんに邪魔されて~」

「何で貴女の実家にメジロラモーヌがいるのよ!?と言うか早くユキの身体を離しなさい!」

 

「止めろフライト!」

 

「は~い♡」ヒョイ

 

どさっ

 

「…うぐっ!?」

 

ソウジの声に反応してアグネスフライトは手を離す。すると、宙にいたユキ(コウセツ)は地面へと落ちた。

 

「けほっ!けほっ……よくも!」

「コウセツ、お前は何でディープインパクトと走りたいんだ?」

「何でって…今、一番強いウマ娘だからよ。それ以外に何があるの?」

「つまり…強い相手と戦いたい、でいいんだよな?」

「えぇ!私はワタシを求めた…つまり、全てを蹂躙しろっとこと!その第1歩として…無敗の三冠ウマ娘(ディープインパクト)を倒すわ!」

「無敗ね…言っておくが俺の方が強いぞ?さっき走って分かっただろ?」

「そうね…でもそれは『合成因子(インチキ)』な力によるものでしょ?貴方自身の力じゃないわ。」

「それはお前もだろ?ユキが『合成因子』を飲んでそうなってるし。」

「……あ!?」

「今気付いたのかよ…」

「何よ…ワタシに…どうしろって言うのよ…」

 

自身の行動の矛盾に気付き狼狽えるコウセツ。そこにアグネスフライトが肩へと手を置いた。

 

「私のペットになるとかどうかな♡大丈夫、一生可愛がってあげるから♡」はぁはぁ

「…は?」

「フライト、お前は喋るな。俺がいいと言うまでそこでお座り。」

「わんっ♡」ペタン

 

アグネスフライトの発言に頭痛を覚えつつソウジは無理やり引き剥がすと再びユキ(コウセツ)へ顔を向けた。

 

「コウセツ、お前は強いウマ娘とレースしてその力を実感したい…それは合っているか?」

「えぇ…」

「…此方でディープインパクトレベルの強い相手を用意する。それなら納得出来るか?」

「…分からないわ。」

「それなら試すとしよう……ちょうど来たようだ。」

 

ソウジが後ろを振り返る…そこには大きく膨らんだリュックを背負うアグネスタキオンが此方へと向かっていた。

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