ソウジはアグネスタキオンから腕輪を受け取ると体内の『合成因子』を回収し、『ウマ人』から人間へと戻る。
「よし…『合成因子』の回収完了っと。タキオン、五十五号を…」
「これ以上君を走らせる訳にはいかないねぇ!足を見てたまえ!」
「今日のタイツはツルツル…」さわさわっ
「誰が私の足を触れと言った!ほらここだ……って熱っ!?これは人間しちゃいけない熱さだよ!?冷却スプレーを吹くからこのままじっとしてるんだ!」シュー
「どうせ直ぐに治るのに…」
「その体質を過信し続けるのは危険だ!いつ効果を出さなくなるか分かったものじゃない…」
「…
「やらせないよ?君の担当はデサイレン君だろ?」
「ほらプイ、俺がやるからじっとしてろ!…お前の足も結構熱を持ってるぞ。」
「…むぅ。」ぷくー
そして、そのままアグネスタキオンによりケアが始まり…ソウジはその場から動けなくなった。ついでにディープインパクトも同じ状況だ。
「ねぇ…休んでるところ悪いけど…ディープインパクトの代わりって誰なの?」
「あー…」
「これが芝2000の世界レコード出せるレベルで強いのよ。だからタキオン、もう1回だけ…」
「今のソウジの肉体的疲労に加え、その『合成因子』の危険性からダメに決まってるだろ!というか早くユキの『因子』の回収しないといけないのに何だいこの状況は?彼女は誰だ?」
「コウセツだけど…」
「いや、本当に誰だ!?」
「あー、ユキの身体にスティルインラブが入ったことで『ウマ人』になって…コウセツって名乗ってきて…」
「???」
アグネスタキオンは宇宙ネコとなる。そんなアグネスタキオンへ…アグネスフライトは抱きついた。
「わぁ…アホみたいな顔のタキオンちゃんもかわいい♡」だきっ
「お姉ちゃん!?」
「…おいフライト、俺がいいと言うまで動くなって言ったよな?」
「だから動いてるんじゃないですか~。少し前に自分が言ったことを思い出してみてください。」
ソウジは自身の顎に指を当て…
『
台詞を思い出して頭を抱えた。
「要するにスティルちゃんが取り憑いたことでユキちゃんが『ウマ人』になれたってこと。びっくりだよね…スティルちゃんがサンデーサイレンスさんみたいなこと出来たことにさ。こんなの公式にはない設定だよね。」
「公式?何言ってんだお前?」
「それで自分の強さを試すためにプイちゃんに勝とうと勝負を挑むのだけど、そもそもユキちゃんの身体だから自分の力じゃないじゃんって気づいた感じ。」
「なるほどなるほど、それはソウジが悪いね。じゃあスティル君、『因子』を回収……ギブギブギブっ!?」パンパンパンっ
「少しは興味を持ってくれないかしら?」ギチギチっ
「…スティルちゃん?タキオンちゃんに何をし…」
「止めんかフライト!」ビシッ
「あう♡」
アグネスフライトの話を聞き流し、回収用の腕輪を取って
「お前ら…グダグダ喋ってねぇでさ…さっさとレース行ってこいよ!」
「…結局誰が走るの?…私と
「いや、俺でいいなら走るけどさ…」
「なら今からもう1人呼ぶわね。シックスちゃーーん!!」
「は~い!」
アグネスフライトが大声で呼ぶと…青毛のウマ娘が1人駆け寄ってきた。『シックスセンス』…トレーナーとなったアグネスフライトと担当契約をしたウマ娘。ディープインパクトと同世代であり、勝ったレースは未勝利戦のみだが、皐月賞2着、ダービー3着、菊花賞4着とG1レースでの好走が続いている。
「…シックスセンスか。…彼女では実力不足。」
「プイちゃん、失礼なこと言わない!アンタがいなかったら三冠ウマ娘だったのよ!」
「…だったらクタ姉さんも怪我してなかったら三冠ウマ娘。」
「フライト、ディープインパクト、レースにもしもは禁句だ。」
「あのー、呼ばれたので来ましたけど…私は何……をっ?」びくっ
困惑するシックスセンスだが突然に身体が跳ねる。
『よしっ、準備オーケー。さっさとやろうぜ。』
「サンデーサイレンスさん!?何シックスちゃんに取り憑いてるの!?」
『え?走るためだけど?』
「自分の身体で走りなさいよ!」グイッ
『うがっ!』
サンデーサイレンスが憑依したのだ。慌ててアグネスフライトはシックスセンスからサンデーサイレンスを引き剥がし元の身体へと戻す。
「これで3人…タキオンちゃん、これ使うね。」
「待ってお姉ちゃん!それはソウジでも危険な『合成因子』で…」
「えい♪」ガチャ
続いてアグネスフライトは2つの腕輪を付け、自身の『因子』を抜きつつ、別の『合成因子』を注入して…
「…ぐっ!」ガクッ
「フライト!?」
「お姉ちゃん!?」
「はぁ…はぁ……はあっ!よし!」バチンっ
「まさか、上手くいったというのか…『へアリーブラッド』の『アナザー』*1がっ!?」
体勢が崩れ、髪が伸び始めるアグネスフライト。慌ててソウジとアグネスタキオンが支えにくるも…自身の頬を叩き気合いを入れる。すると栗毛色の髪と尻尾が血の色に変色し、『へアリーブラッド』へと姿を変えた。
「はぁ~、本当にヤバイわねこれ。血が沸騰してる感じがする…」
「そうなのか?俺には分からなかったが…」
「フライトさん!?そそその姿ははは…?」
「シックスセンスは初めてみるのか…」
「お姉ちゃん、本当に大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。じゃあ…レースをしよっか。タキオンちゃん、ゲートの準備をお願い。」
「あぁ…お姉ちゃん!無理だと思ったらすぐにリタイアするんだよ。」
「分かってる分かってる♪デサイレンさんと着替えてくるからゲートの点検とバ場の手入れをお願いね。シックスちゃんはこのまま私たちと一緒に来てね。」
「はい!」