ガゴンッ!
ゲートが開く。先頭になったのは『へアリーブラッド』…『アナザー』になっているとはいえアグネスフライト本人の脚質は後方を得意とするため不慣れなポジションとなる。
2番手は
3番手はサンデーサイレンス。引退後に事故で寝たきりになっため15年ほどのブランクはあるが、それでもマンハッタンカフェやディープインパクトへの憑依時の経験を活かして前の2人に並びにいく。
最後方はシックスセンス。現役でかつG1レースでも掲示板に入る戦績であり、この中では1番力を発揮できる。得意の追い込みで足を溜めており、表情も3人と比べれば余裕そうである。
「…
「んー、このままだと『へアリーブラッド』が押しきって勝つかな…」
「…ふーん。」
「ディープインパクトはどうみてる?」
「…デサイレンはダメ。…それくらい。」
「厳しい評価だな…」
「…憑依時と現状のギャップに慣れてない…だからダメ。」
「お、おう…」
今回の条件は左回りの2000m…『へアリーブラッド』の最も得意とする距離。既に最終コーナーに入っており、先頭は『へアリーブラッド』。サンデーサイレンスは得意のコーナーで
「はあぁぁ!!」ダンッ
「あはははっ♪」ダッ
「ぐっ…!」
「いきますよっ!!」ドンッ
全員…いや、3人が仕掛ける。『へアリーブラッド』が後続を引き離しにかかるも
「…あと、100!」
「楽しい…楽しいわ♪…だから…絶対に食らうわ!」
「と、ど、けー!!」
3人が並んでゴール板を超えた。1着は『へアリーブラッド』…2着はゴール前で差しきったシックスセンス。
───
「…」
「はぁ…はぁ…そ…んな…」
「さぁ、レースは終わったんだ…『合成因子』とユキの身体を返してもらうよ。」
「嫌…ま、だ、…ワタシ…満足して…無い…」
「吐血までして満足に走れる訳無いだろ…手を出したまえ。」
「嫌…嫌嫌嫌嫌…かハっ!」どぼっ
「ユキ!?」
「タキオン!適応出来てたんじゃ…」
「分からない…けど、一刻も早く『因子』の回収をしないといけないようだ!ユキ、少し我慢だ!」ガチャ
「か…か…」
「…そんなっ!?回収出来ない…!」
「タキオン!九十号はあるか?七号でもいい…カバンを寄越せ!」
「分からない…というか何をする気だ?」
「九十号があった!俺が直接回収する…ユキっ!」
「…!?」
ソウジは試験管に入った『合成因子』を口に含むと同時に
「何をしてるんだソウジ!?」
「…
「2人とも待ちなさい!…邪魔すればユキちゃんが危ないわ。」
「お姉ちゃん?」
「…危ない?」
ゴクリ
「…!……!」びくっ
「………。………。」
唇を重ねた状態でソウジは器用に『合成因子』を飲み込むと、ソウジの身体は栗毛の『ウマ人』へと姿を変えた。すると舌が長く伸び…少しずつ
「あれは…グラス君とエアグルーヴ君の『合成因子』…!」
「『レロレロレロレロ』ね。どうやら文字通りユキちゃんの体内から直接回収するみたい。」
「…!」びくっ
「…。」すぽっ
後退していたソウジだったが…ついに
「…。」ガチャ
ゴクンっ
そして、ソウジは『レロレロレロレロ』の『合成因子』を腕輪に回収すると…今度は舌先にあるユキの使用していた『ウマ人』の『合成因子』を飲み込んだ。ユキ同様にソウジの髪が青鹿毛へと染まり…肌の表面は纏うように血で覆われる。流石に負担が大きかったから、ソウジはその場で膝をついた。
「はぁ…はぁ…!」
「ソウジ!」
「俺は大丈夫だ…今はユキを何とか…してくれ。」
「タキオンちゃん!救急車が着いたわ…手伝って!」
「…スティル?レース終わったよ☆だから、起きてよ…☆ねぇ?ねぇ…スティル!!」
「…」
「ネオユニヴァース、私たちは邪魔にならないようにここから離れるよ。」
「…
「プイ、俺たちもいくぞ!シックスセンスも来い!」
「はい!」
その後、駆けつけた救急車によりユキは病院へと運ばれた。