オブシディアン・エンパイア   作:ゴミ(かわいそうな人)

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ホゲホゲウルス国の王、撲殺単于(ぼくさつぜんう)は詔を発し、都トントンポーに兵を集めた、前年に西方のサカ国で王、悪辣ヒドーイが没し、その国内は大いに乱れる、ほぼ同じころ北方の殺伐部族にて長、殺伐禽獣(さつばつきんじゅう)が横死、部族は大いに混乱する、撲殺単于はこれをついてサカ国と殺伐部族に戦をしかけようというのではない、狙いは南方のカヤバンダ帝国、金属を持たない原始人の国だ

 

混乱の只中にあるとは言え高度な冶金技術を有し能く訓練された強兵を持つサカ国や殺伐部族でなく、貧相なカヤバンダを平らげ其の豊穣な山岳農地群を手に入れようとのCleverな戦略(ストラテジー)である

 

臣ヘシェンが進み出る、「恐れながら、カヤバンダ帝国は金属を持たぬとは言え彼の地は豊穣にして人口は多く峻険な山地にありて兵の侵入を拒みます、また西方のさらに西方の淫国と攻守同盟を組んでいます、淫が出てきたらやっかいな事になりますぞ」

 

撲殺単于はすっくと立ち上がるとヘシェンに歩み寄り、剣を抜き放ってスパーンと首を落とした、ぶっしゃああああああーーーーと血は上がる、撲殺単于はヘシェンの首を持ち上げてちょうど立っていた杭にぶっ刺すと並みいる臣たちを見回して、「みなさん、私の政策に異論はありますかな」

 

臣たちはみな顔に笑顔を張り付けて答える、「いえいえ撲殺単于様のお言葉に異論のあろうはずもありません」

 

こうしてホゲホゲウルス国は4万の軍勢を集めて南方を目指した、その中核は8千の重騎士、フル・プレートを着込み其(そ)の下にキルトと鎖帷子からなる鎧下を着込み長剣を背に負い鎧の脇に固定できる騎槍(ランス)と凧型の盾を持つ、盾は板材を張り合わせ中空の構造の凝ったもので、槍は円錐または三角錐の断面の木でつくられた長いものであって突撃の衝撃によって砕け散るものだ、乗る馬は大きく頑強で馬甲もつけていた

 

それに続くは8千の射手、動物の骨や腱を用いた長弓、それは管弓であって矢は小さく多くを持ち運ぶ事が出来た、矢筒は腰に下げ、軽装であるがよく訓練されていた、6千の輜重は馬車を御し馬を引き、武具は斧を佩くばかりの軽装備、荷を背負うものもいた

 

数の上での主力は2万の奴婢兵で国の全土から駆り集められた襤褸(ぼろ)切れのような者たちだ、殆どは鎧を着けず武器は2から3メートル程の粗末な槍、または子供でも使える弱い弓を持っていた、腕に括りつけられた、さほど大きくはない四角や丸形の盾は木の枠に革を張ったものであり、あるいは木の枝を盾に横に束ねたものであって多くのばあい唯一の防具である、戦場で功名を揚げれば貴族になれる其(そ)れが彼らの希望であった

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