フワトロ山の北面の山肌は折り重なる屍の堆積であった、うつぶせの屍、分厚い布の服、マントに数本の矢は生えている、血の黒い染み、手は草を束ね握りしめ、片手は無く、仰向けの屍、白い顔、すき通る蝋のような、大きく開いた口、前に上げられた腕は折れ曲がり捩じれどす黒くあり
割れた盾、折れた投槍、穂先の燧石は欠けている、多数の人体の塊、小山を成している、首を伸ばし突き出す頭、1人は首を突き出して
そこら中に散乱する石と投槍の間に生える矢の羽の白は風に靡き、滑り落ちたる人体の残す血の轍は山裾へと続き其処に堆積する屍の向こうに盾と肉とマントは円形に小山を成し押し潰れた顔と黒々と髪の毛と捩じれ曲がった足と腕は垂れ下がり、その周囲に散らばる人体は歪み潰れ、静かに倒れて人形のように
鎖帷子はほつれ破けへこみ、或いは不自然に中から突き出して、黒く染まる中の所々に金属の煌めきはあり、顔は潰れて赤く黒々と、拳大の石は周囲に散らばって黒く染みたるもの多く
西方の山肌には金属の光おおくして、横たわる馬の巨体はよく目立ち、その足は多くが折れ骨は飛び出して、胴に長柄槍の深く突き通ったもの多く、長く長く馬体から生える長柄は風に揺れ、散らばる人の屍の多くは分厚い布の服を着て分厚い布のマントを着けたるもので服は切り裂かれ糸くずはほつれひらひらと宙に舞い、それらに囲まれるようにして良く光る金属の塊は血で土を濡らしながら横たわり
その多くは首が折れ、また四肢も折れ、もがくように硬直し、指は捻じ曲がり取り落としたる長剣は血にまみれ横たわり
長柄の折れ飛んだもの、はねられた首の転がるもの、腕の転がるもの、指はぱらぱらと其処らに落ちて、頭頂より両断されたる頭部は開いてうつぶせに、曲がった木の棒はサスマタの一部であり、四角い木の板と埋め込まれた黒曜石は剣の一部であり、赤黒く長く伸びるは臓物の流れ出でたるものだ
カヤバンダ人は夕暮れの下を歩き回り金属を回収していく、地面に突き立つ矢は引き抜かれ死骸に突き立つ矢も引き抜かれ
長剣は取り合いだ、誰もが我先にと殺到する、十数人が争って死ぬ、人々の笑顔は夕闇に陰影を濃くし、声は不思議と聞こえない
「殺伐淫獣」に続く