オブシディアン・エンパイア   作:ゴミ(かわいそうな人)

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「ねーえ、あれ逃げてなあーい?」

 

マレーナが指先に抓んだするめいかでひらひらと山の方を指す、撲殺単于はナッツを抓みながら「うーん」と山の方を見る、奴婢兵が盾を投げ槍を投げ捨てて山から逃げてくる数十人、数百人、撲殺単于は大あくびをすると「あーあ俺の勝ちー」と言って、サレマを撫でる、メリメは「負けたー」と言って大げさに肩を落とすと、「単于の勝ちー」と言って、キャビアを乗せたカナッペを撲殺単于の口に持っていく

 

ちなみにこのキャビアはカナッペ1つ分で奴婢の家族を1年養える額のものである、撲殺単于はそれを1口で平らげると、輿の隣を進む臣、モアチョイ2に「ぶっ殺せ」と命じた

 

モアチョイ2が命ずるとホゲホゲウルスの精鋭たる長弓兵、重装長弓兵は横隊を成して弓を構え矢を番える、3人張りの強弓である、動物の骨とかを用いた合成弓である、現実の方のイングランドの長弓よりも強い、標的はもちろん逃げてくる奴婢兵だ、風切りの音と共に矢は放たれて、当たる、当たる、矢は水平に近く低伸しシューティングゲームの標的のような奴婢兵を打ち倒していく、胴を貫き頭を貫き、バッタバッタと薙ぎ倒す

 

奴婢兵たちは泣き叫び逃げていく、そこに石が降ってくる、カボネン・オベは馬を走らせて剣を抜き放ち奴婢兵の間を駆け抜けて自軍の方に逃げる者を片っ端から斬り捨てる、奴婢兵たちは泣きながら山を上っていく、豪と塁壁は立ちはだかる

 

その上より相変わらず石礫と鉛弾とは降り注ぐけれども3万もが押し寄せ来るのを打ち倒しきれるものでない上に豪も塁壁も急造のか弱いものであれば奴婢兵たちはそれを押し渡りよじ登り、カヤバンダ兵の近くへ到達する者しだいに数を増し、次々と投げ槍を投げつける

 

カヤバンダ軍は前面に盾兵が列を成し盾を並べ背を低くして其(そ)の下に隠れ、投げ槍は殆どがそれに防がれて弾かれて、他のカヤバンダ兵は後ろに引き石と鉛の雨は止まるけれども投げ槍は見る見ると減っていく、業を煮やしたのはカボネン・オベ、辺りの奴婢兵を斬り捨てながら突撃を命じる

 

奴婢兵は投げ槍を持って盾の列に近づいて上から隙間から穂先を突き入れると、盾兵もまた動き出し立ち上がり右手に持った棍棒を叩きつけ黒曜石の剣で斬りつけて前線は躍動し次第に両軍入り乱れ

 

奴婢兵の投げ槍はリーチが長く盾は軽くて扱いやすく、盾兵の盾は重く鈍いが大きく投げ槍を能く防ぎ棍棒と剣は短いが振り回せばよく当たり、混戦の中で盾兵の盾は次第に用を成さなくなり横から後ろから投げ槍に突き刺されて倒れる者は続出し、奴婢兵は棍棒に頭を叩き潰され手は潰されて指はぶら下がり

 

ポッピペチョは精鋭投石兵と近衛投石兵を後ろに下げ只の投石兵に棍棒を持たせて前方に突っ込ませる、投石兵は棍棒を持って混戦の中に突入し奴婢兵に叩きつけ叩きつけ、肩を潰し腕を潰し、盾に防がれて投げ槍は突き出され腹を突き刺されて倒れのたうち回り、死骸の体を踏みつけながら息のある者の痙攣する体を踏みつけながら血と泥の中で両軍は争い続ける

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